郷が杜備忘録

旅行や読書と日々の行動の記録。
日常のできごとや思い出の写真が中心。 たまに旅行の記事も投稿します!

『15歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」』を読む

2017-08-20 | 読書
鉄道ミステリー作家 西村京太郎の自伝的ノンフェクション。
昭和5年(1930年)生まれの戦中派の証言。

昨年亡くなった父が昭和3年生まれで、幼年学校ほどのエリート機関ではなかったが、
戦争末期に15歳で陸軍野戦砲兵学校生徒隊に行っており、中国戦線に送られて
苦労をしてきた話をしていたので、同じような境遇のかたの証言ということで読んでみた。

父は実際に中国戦線に行き、中国の奥地まで行き、終戦後捕虜となり終戦の翌年
上海から帰還したと言っていた。内地にいた西村氏とは違うが、戦後の苦労と戦争を
指導した人たちへの考えなど、父からあまり聞いていないので、戦中派といわれる
人たちの気持ちも知りたかった。今まさに戦争への危機もあり、過去の悲惨な経験
や間違った道へ進んだ経緯にも、過去に学ぶ意味があると思った。

読んでみると、戦中期に生まれ育った人は周囲の状況が戦争に進んでゆく中で育って
いるので、周りに戦争に反対の状況がなければ、国の方針に沿った中で育てられ、
そのような気持ちをもって大きくなってゆくということである。
西村氏も大人になり生活も落ち着いてから考えてみるとおかしかったと思うことが
たくさんあるようである。
世間、世の中がある方向に進んでいると、善悪が見えなくなり、周りと同じような考え
や行動になり、間違った方向に進んでいるのもわからなくなるのだと思う。中には
反対を唱える人がいても、周りから批判されたり、無視されたりして、反対の声も
消されるのかもしれない。また。過去の出来事でも都合の悪いことは表には出にくくなり
あったことも無かったように、事実や記録が変えられてゆくのかもしれない。

西村氏が著書の中で述べているように、日本人は戦争には向いていない、石原莞爾も
永田鉄山も天才ではないし、軍人が国の行く先を決めてはいけない。人間を大事にしない
組織は長続きはしない。

昨今の日本の経済、政治状況、世界特にアメリカ情勢、いずれも20世紀前半の時代に
似てきており、我々も注意しながら世の中の状況を見てゆき、流されないように、物事を
考えていきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする