人生の先輩の話を聞くことはためになる。自分のこれからを生きる参考になるからだ。
旅好きを自任する脚本家の橋田壽賀子さんのエッセイに「人生を楽しむヒント」の本があったので読んでみた。
橋田さんの人生とともにあった旅についていろいろと語られていた。
最後の7章にあった、「旅と人生―旅も人生も過程が目的だから」が、橋田さんの考え方が出ていて私も共感した。
それは、二流人生、二流だから丈夫で長持ち、ということだった。
橋田さんは女学校時代バレーボールをやられていたそうで、でもレギュラーになれない「十三番目人生」だったそうです。
試合に出れるのは十二人で、橋田さんの役目はボール拾いやタオル渡しだったそうです。でも見るのが好きだったからそれでよかったそうです。
大人になってからも、あまり不満を抱えない、高望みしない人だったといいます。あまり「ああなりたい」「こうしてほしい」ということを
強く思わない人間なのだといいます。一流になりたければ、不満やストレスをたくさん抱えることになります。
橋田さんは向いていないといいます。
書きたいことが書けて、それがドラマになって、少しでも誰かに伝えることができたらそれで十分ということです。
だから、今まで生き延びてこられたし、二流は二流なりの信念をもって生きていけばそれでいいといいます。
世の中のお母さんも完璧なことをしようと思ったらウツになってしまうから、何か足りなくて当たり前、自分にできないことは無理をしないで、
ほかのだれかの手を借りてもいいといいます。
一流とか一番にこだわるあまりに、自分の持っている「味」を見失うことだけは避けたいと言っています。
「人生二流で結構!」ということです。
もう一つ、「旅は過程が大切。それは人生と同じ」にも教えられました。
橋田さんは旅にガイドブックの類は持ったことがないといいます。行きたいところに行く、それだけということだそうです。
いつも心は空っぽのままだから、いくらでもお土産が入るといいます。旅はやっぱり道すがらが面白いといいます。
旅は日常の住まいを離れ、どこかへ行くこと、移動することが本来の旅の意味だといいます。
旅は目的地ではなく、その過程が大切だとということです。
人生も同じで、肝心なのは生きているということです。「ああ、いい人生だった」と最後に思えるとしたら、
その過程と精いっぱい向き合ってきたかどうかだと言います。