昼間の明るさは
鬱の症状が身にしみて
寒空の下
夜の散歩に出る
まど窓の灯りは
夕餉の匂い
一番星におすそ分け
犬を連れる人や
ウオーキングに勤しむ人は
顔は見えぬが
息を切らしている
カラスや猫や
人嫌いな老父は
どこかに潜んでいる気配
ベンチで休んでいると
風景と宇宙が
なだらかに重なり
夜はいっそう賑やかになった
楽しい語らいが始まる
樹木は背伸びをして
やっと仲間入り
昼間の明るさは
鬱の症状が身にしみて
寒空の下
夜の散歩に出る
まど窓の灯りは
夕餉の匂い
一番星におすそ分け
犬を連れる人や
ウオーキングに勤しむ人は
顔は見えぬが
息を切らしている
カラスや猫や
人嫌いな老父は
どこかに潜んでいる気配
ベンチで休んでいると
風景と宇宙が
なだらかに重なり
夜はいっそう賑やかになった
楽しい語らいが始まる
樹木は背伸びをして
やっと仲間入り
季節を巡って
羽根はまわる
暑いときはそれなりの風を
寒いときは間のぬけた風を
密室のうたた寝に
風を吹かせた
あるときは
農夫の汗に
日焼けした少年の喉に
ミケ猫の房毛に
羽根は姿を見せずに
風を吹かせた
どこに隠れているのか
心当たりはあるが
それを捜すまでもなく
そのたびごとに
向きを変えながら
風を吹かせつづけた
一月一日の朝
見知らぬ女性と抱き合った
幸先よく日の出を拝み
華やぎに浮かれていると
案の定、初夢だったので
目覚めてお雑煮をほおばる
受けとった賀状は
僕と母の仕分けをして
苦手なヘビは
縁起のいい象徴と
気を取り直す
一月二日の朝
初恋の女性と
五〇年ぶりに再会をした
目と目が合い
懐かしさと嬉しさではにかむ
はじまりはいつも幻想に満ち
精霊の結晶が降りそそぐ
天から女神
吐息はしろく冴え冴えと
佳い年になりますように…
結び言葉に愛を込め
嘘を嘘と思わなかった頃の
夜はしばらく薄目を開けていた
サンタが本物だったら
きっと天国に生まれていたはず
あれから本当の嘘を知り
ずるさも言い訳も覚えてきた
いまサンタは
本当にやって来ると
自信を持って言えるのは
君にわたせる
ほんの少しのプレゼント
仮装ではない
天国でもない
ランプの灯りを付けたまま
一夜だけ信じていよう
嘘の理由など
問わなかったときのように