写詩之日々

写真と詩を載せています。

夜の集まり

2025-02-19 23:01:31 | ポエム・写真

昼間の明るさは
鬱の症状が身にしみて
寒空の下
夜の散歩に出る

まど窓の灯りは
夕餉の匂い
一番星におすそ分け

犬を連れる人や
ウオーキングに勤しむ人は
顔は見えぬが
息を切らしている

カラスや猫や
人嫌いな老父は
どこかに潜んでいる気配

ベンチで休んでいると
風景と宇宙が
なだらかに重なり
夜はいっそう賑やかになった

楽しい語らいが始まる
樹木は背伸びをして
やっと仲間入り


羽根捜し

2025-02-17 23:31:32 | ポエム・写真

季節を巡って
羽根はまわる
暑いときはそれなりの風を
寒いときは間のぬけた風を
密室のうたた寝に
風を吹かせた

あるときは
農夫の汗に
日焼けした少年の喉に
ミケ猫の房毛に
羽根は姿を見せずに
風を吹かせた

どこに隠れているのか
心当たりはあるが
それを捜すまでもなく
そのたびごとに
向きを変えながら
風を吹かせつづけた


朝の空

2025-01-26 11:00:21 | ポエム・写真

朝の空は
生まれたて

皮膚は
原初に
もどり

地面の翳りは
払われて

足どりは
つつましく

道ゆく人は
すがすがしい


つつしんで愛

2025-01-10 03:24:08 | ポエム・写真

一月一日の朝
見知らぬ女性と抱き合った

幸先よく日の出を拝み
華やぎに浮かれていると
案の定、初夢だったので
目覚めてお雑煮をほおばる

受けとった賀状は
僕と母の仕分けをして
苦手なヘビは
縁起のいい象徴と
気を取り直す

一月二日の朝
初恋の女性と
五〇年ぶりに再会をした
目と目が合い
懐かしさと嬉しさではにかむ

はじまりはいつも幻想に満ち
精霊の結晶が降りそそぐ
天から女神
吐息はしろく冴え冴えと

佳い年になりますように…
結び言葉に愛を込め


嘘と真実

2024-12-22 00:19:00 | ポエム・写真

嘘を嘘と思わなかった頃の
夜はしばらく薄目を開けていた
サンタが本物だったら
きっと天国に生まれていたはず

あれから本当の嘘を知り
ずるさも言い訳も覚えてきた
いまサンタは
本当にやって来ると
自信を持って言えるのは
君にわたせる
ほんの少しのプレゼント

仮装ではない
天国でもない
ランプの灯りを付けたまま
一夜だけ信じていよう
嘘の理由など
問わなかったときのように