地軸の傾きに乗っかりながら
長い夜の入口に立つ
かじかんだ手に
数冊の本をかかえ
電熱線ストーブの前で
ひっそりと過ごしている
温まったココアは直に冷める
足先に気を配りながら
とおく果てない夢をみる
最北端に近いロングイェールビーンでは
今夜オーロラが見えるという
闇に光るのは人々の眼と
天空の神々
暗闇と宇宙の輝きが交わるときだ
だれかとだれかが
手を繋ぐだろう
一冊の本を読みかけて
僕はながい夢の途中で引き返す
真っ直ぐにならなくていい
傾いたまま手を合わせる
スタンドの灯りは
頷くように瞬いている