こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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在宅緩和ケア研究会 その1

2009-03-18 23:33:15 | めぐみ在宅緩和ケア関連
毎月第3火曜日の夜に、連携先のめぐみ在宅クリニックで地域緩和ケア研究会をやっています。
なんだかんだで、もう23回もやっていて、ほとんど出席しているので、なんとなく会話記録の分析も注意散漫になってきていて、そろそろ形を変えてはいかがなもんだろうか、と思ったりもするこのごろだったけど・・・
やっぱり、まだまだわかっていないんだなーと、再び反省しました。
会話記録から、どこでどのような反復をして、相手に自分を理解者だと思ってもらうか…そして、そこから、その人の支えを理解し、マイナスをプラスにできるか・・・って、ハ~。難しいですわ。

それでも、今回自分の思い込みで会話を進めてしまった先生の反省から、「自分の世界観で思い込み、一方的に会話を進めることは、絶対にしてはいけない」ということ。
自分が理解者ではないと思うばかりか、ひいては、自律を失わせることになる。

ここで、あの補佐人を思い出してしまいました。
自分の価値観、自分の正義、自分の知識の中から導き出した、理想のプラン。
それこそが、自分の世界観で思い込んだ、彼のための最高のプラン。
だから、彼女は失望し、今までの生活を否定されたことで自律を失った。

たとえ認知でも、身体が動かなくても、自分で選択できる、自分の理解者だと思える人に、委ねられる。それが自律なわけですから、理解者でない人に、まったく違う世界観で老後の生活を仕切られてしまっては、気力を失って不穏になって当たりまえなんですよね。
これから、陪審員制度も始まりますよね。
そう考えると、人の人生を左右することを、いくら証拠があるからって個人的な判断で審判を下すのは、めちゃめちゃ怖いことですねー。

最近、独居で最後まで自宅で、と言う方も結構増えているんです。
Aさんは、絶対入院も、医療処置も拒否の人です。
つい、この前まではヘルパーもベットも看護師も医師も拒否していて、ケアマネさんは頭を抱えていたようです。
暖房器具の一切ない家。衣類や寝具も端がほつれるくらいのもの、掃除もしないし、自宅での入浴もしない。
そして、持病がどんどんと悪化して、とうとう寝たきりとなったのですが、入院させても、採血さえもさせない。
何としても家に帰る、と。
そして、願いはかない、彼は自宅で一人、闘病しています。
さすがに、本人も最低限のサービスは了解してくれました。
だって、自分がつらいから。
そして、一緒に入った先生は言いました。
「○○さん。今のご病状から考えると、ごく近い将来、お迎えが来ると思います。」
本人は小さな声でやっと答えました。「覚悟は出来ています」と。
「○○さんは、これから、どうされたいですか?病院や施設ですか?」答えない。
「この、ご自宅で最後まで過ごされたいのですか?」 「はい」

全身に大きな褥創が5か所ありました。拘縮で体は自力では動かせません。
たんも絡み、呼吸も苦しいはずです。自力で水も飲めません。
朝、昼、夕のヘルパーと、訪問看護師、時々Dr、時々遠方から訪ねてくれる甥子さん、それ以外は、その状態で一人です。
処置を終えて、「帰るけど、大丈夫ですか?」と聞くと、わずかに頷きます。
後ろ髪を引かれる思いで、毎日私たちはその家を後にしています。
でも、それは彼が選んだこと。彼の選んだ人生の終焉。
どんなに、悲惨な状況に見えても、何度確認しても、彼がそうしたいことなんです。
この人に、後見人がついて、これは不衛生であり、人として許されざる生活であると判断したら、どうなるんでしょうか??
結果的にそのほうがいいんでしょうか??

わかりませんね。なんか、いくらかんがえても、私の常識が正しいかどうかなんて。

とりとめないことを、書きました。
なんか、このところ難題続きでいささか疲れてしまいました。
もうすぐ3連休。なのに私は緊急当番・・
何事もなく過ごせますように。