こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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過去最速?

2012-07-18 22:24:11 | 訪問看護、緩和ケア
ひと月ほど前に退院され、初回訪問で両踵に4度の褥瘡を発見しました。

すぐに皮膚科の往診をお願いして、2度のデブリをしながら、処置を続けていた患者さん。

定期的に担当が写真を撮っていますが、今日の写真を見てびっくり。

担当は、実際見てびっくり。

なんと、たったひと月で黒色の痂疲に覆われ、DESIGN分類で27点だった褥瘡が、8点まで改善していました。

デブリは介入直後と、2週間後だけです。

バブ浴、洗浄、ユーパスタ、モイスキンパット、固定にはスキナゲート
高機能タイプのエアマットと、踵の除圧用クッション使用
サービスとしては、訪問入浴週2回と訪問看護

基本はこれだけです。

当初、娘さんの不安からほぼ毎日処置に入りながら、介護や処置の方法などをお伝えしました。
娘さんは、どんどん必要な技術と知識を習得し、ご自分でもドンドン実践していきました。

やがて、退院時廃用で寝たきり、無表情で傾眠状態だった患者さんに、笑顔が戻り会話ができるようになりました。
10日ほど前から、車椅子に移乗できるようになり、シャワーキャリーを購入した娘さんは、毎日シャワーキャリーに乗せて、風呂場でシャワーを浴びせるようになりました。

シャワーをしながら、もちろんバブ浴は続行し、創部をシャワーで刺激し、その後指示の処置をしていました。

娘さんは、とにかくお母さんを介護できることに、喜びを感じていて、そのパワフルな介護にあっけにとられるほどでした。

もちろん、大切な栄養もちゃんと食卓で取らせるようにして、たくさん声をかけ、懐かしい話をしながら、毎日毎日車椅子に乗せたり、シャワーキャリーに乗せたりしながら、よく介護をされました。
認知の進行で、ほとんど声掛けにも反応しなかったお母さんが、今では冗談まで言えるようになったのです。

そして、傷はみるみる縮小していきました。
重度の神経障害を伴う糖尿病をもちながら、感染もなく今はきれいな赤色肉芽だけが、当初の半分以下まで縮小していたのです。

私たちは、今までも相当ひどい褥瘡を治してきましたが、あの深さでデブリからここまでの改善の速度としては、うちでは過去最速だとおもいます。

ここまで1か月。
もう、あとひと月もかからないで治るのではないでしょうか。

お見せできないのが残念ですが、手をかけるとこんなにも早いのか~。
というのを実感した事例です。

バブもふんだん用意され、なによりお母さんに対する強い思いと、マメなケアと、状況に応じた説明をちゃんと聞き入れ、お伝えした処置を手を抜かず、きちんと励行されるバランス感覚の良さが、介護を楽しいものに変えて行ったのだと思います。

小さな体で、大きなお母さんを、それは楽しそうに移動させる彼女を、スタッフ一同、拍手喝采でたたえたいと思います。

今ある困難を、プラスに転換することの、思わぬ効果に感嘆しました。