こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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何とかしたいのに・・。

2013-01-19 23:17:29 | 訪問看護、緩和ケア
「俺は騙されないぞ!」という言葉から始まった訪問看護。

そんな言葉とはうらはらに、次の訪問からはすっかり信頼してくれたKさん。

頑固でワンマンで、それでいて何とも可愛いおじいさんです。

また、電車に乗って好きなところへ行くんだと張り切っていたのですが・・。

腰椎圧迫骨折によるADLの低下に対する訪問看護依頼で始まったものの、短いあいだに次々と襲いかかる病魔に、妻も私たちもなすすべがありませんでした。

訪問の度に新たな問題が発見され、大変な思いをしながら、あちこち検査をしたり、薬を変えたりしてきました。

在宅医も、紹介状を何度も書きましたが、いくつかの科をまたがる病状変化に頭を悩ませていました。

病院というところは変なところで、臓器一つ一つに専門科があるのに、それをひとりの人間が持っているということを、すっかり忘れているような気がします。

頭は見るけど肺は呼吸器なので、改めて来てください。とか泌尿器科のことは、泌尿器に聞いてください。
血尿なのでワーファリンは切ってください。いやいや。もうワーファリンは始めてください。

あちらを立てれば、こちらが立たず・・。

すべてが連動しているはずなのに、あちこちの科をぐるぐると回っているあいだにも、ひとつの体の中でいろんなことがどんどん変化しているのです。
やがて、すっかり寝付いてしまったKさんの、目からは力がなくなって行きました。

「Kさん、外に歩いていくんだって、言っていましたよね。もう少し暖かくなったら、一緒に行きましょうね。桜も見ましょう。」
そう言うと「外か・・。行けるかな・・。」と。

「行くんです。一緒に。」

弱々しく頷いたKさんは、すぐにウトウトと眠り始めました。

どうしたら、また頑固で元気なKさんに戻ってくれるのか・・。
奥さんもだいぶお疲れの様子。
いつも、献身的に介護されていて、奥さんの体も心配です。

もう少し、総合的に全体を見てもらえないのでしょうか。
いつから病院は、こんな変な見方しかしなくなったのでしょうか。
専門ごとに見るのはいいけど、総合的に診れるところがないのは、すごくおかしいですよね。
総合診療科って言っても、最初だけですね。
振り分けられてしまったら、あとは専門ごとにぐるぐる回っては、それぞれの話を聞くだけなんて、本当におかしな話です。

私たちも、それに振り回されているような気もします。

どうしていけばいいのかな・・。
私は、Kさんと散歩をする日が来るのを、まだ諦めたくはないのです。