隊長が観賞した「テレビ番組」を紹介するシリーズの第503回は、『ドラマ 「男たちの旅路」』をお送りします。
昭和51年(1976)2月28日から翌年6月25日にかけて、NHK総合テレビの「土曜ドラマ」枠で放送された『男たちの旅路』、『男たちの旅路 第2部』、『男たちの旅路 第3部』(全九話)が、2022年8月15日から8月25日までの平日に、同局 BS4Kにて、再放送されました。
放送当時、大好評を博したこの作品は、第4部、そしてスペシャルまで制作されました。今回は、その第1部から第3部までが、再放送されました。
脚本:山田太一。
尚、「隊長のブログ」で紹介した、山田太一さんの原作・脚本ドラマ一覧は、こちらをご参照下さい 。
製作:近藤晋、ほか。
音楽は、ミッキー吉野(ゴダイゴ)。
主演が、昭和62年(1987)に、62歳で亡くなられた鶴田浩二。
共演者:水谷豊、桃井かおり、森田健作、柴俊夫、前田吟、五十嵐淳子、池部良、志村喬、笠智衆、殿山泰司、加藤嘉、藤原釜足、長塚京三、根津甚八、高松英郎、ほか。
内容:元特攻隊の生き残りである警備会社の司令補・吉岡晋太郎(鶴田浩二)と、戦後生まれの若者達との世代間の断絶を、警備会社を舞台に描き出したドラマです。
戦後に生まれた、吉岡の部下の若手ガードマン・柴田竜夫 (森田健作) や、杉本陽平 (水谷豊) 、島津悦子 (桃井かおり) らと、世代間の考え方や価値観の違いを激しくぶつけ合いながら、当時のさまざまな社会問題を浮き彫りにしつつ、彼らが生きていく姿を、一話完結の物語で描き出しています。
感想:当時、注目度の高かった「土曜ドラマ」で、初めて脚本家の名前を冠し『山田太一シリーズ 男たちの旅路』として、華々しくスタートしただけあって、山田太一さんの脚本が秀逸です。
同時代の脚本家・橋田壽賀子さんのドラマ 同様に、山田太一さんの脚本もセリフの一言一言に重みがあり、そして長いです。
その重厚な言葉が含まれた長セリフを、役者さんたちが脚本家の思いに答えて、活舌良く、語ります。
さすが、鶴田浩二さん、登場するだけで、絵になりますね。自らも特攻機の整備士として青春時代を過ごした体験が、吉岡に乗り移ったかのような迫力ある演技でした。
今では、ベテラン俳優と呼ばれる水谷豊(当時24歳:以下同じ)さん、桃井かおり(25)さん、柴俊夫(29)さんの演技も若手らしい生きの良さだけでなく、将来の演技派を感じさせます。第1部では、準主役だった森田健作は、政治の世界に転身してしまいましたが。。。
当時の人気若手俳優と言えば、第3部第2話「墓場の島」で地方出身の人気歌手を演じた根津甚八(29)さんも、存在感がありましたね。今年8月のトーク番組「ボクらの時代」で、小泉今日子さんが「根津甚八さんの大ファンだった」と語った くらいですから。
「墓場の島」では、三人組女性アイドルグループ「キャンディーズ」も、登場します。三人の中の一人、伊藤蘭さんと水谷豊さんがその後に結婚するのですが、当時はお互いに全くそう思っていなかったでしょうね。
あと、興味深いのは、画面に登場するロケ地の様子です。今でも走っている「都電荒川線」の沿線に吉岡のアパートがある設定なのですが、当時の様子が偲ばれます。「都電荒川線」は、今年の夏の連ドラ 「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」 でも、効果的に使われています。
志村喬さん演じる施設入居者の高齢者たちが、その都電の留置中の車内に入り込み籠城したのが、第3部第1話「シルバーシート」です。当時は、まだ高齢者問題が真剣に考えられていなかった時に、センセーショナルなストーリー展開の物語になっていました。
渋谷区神南にある「NHK放送センター」でロケが行われたのが、第1部第1話「非常階段」。「NHKホール」で撮影されたのが、第2部第2話「冬の樹」。この回には、ドラマの音楽を担当したミッキー吉野が所属するロックバンド「ゴダイゴ」も出演しています。
最後になりますが、初回放送から既に46年。鶴田浩二さん以外にも、多くのスタッフ・出演者が、鬼籍に入られています;
近藤晋、池部良、志村喬、笠智衆、殿山泰司、加藤嘉、藤原釜足、長塚京三、根津甚八、高松英郎、など(敬称略)。
亡くなられた皆さんのご冥福をお祈りいたします。
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