別れの朝 / 世良公則
別れの朝ふたりは
さめた紅茶のみほし
さようならのくちづけ
わらいながら交わした
別れの朝ふたりは
白いドアを開いて
駅につづく小径を
何も言わず歩いた
言わないでなぐさめは
涙をさそうから
触れないでこの指に
心が乱れるから
やがて汽車は出てゆき
一人残る私は
ちぎれるほど手をふる
あなたの目を見ていた
言わないでなぐさめは
涙をさそうから
触れないでこの指に
心が乱れるから
やがて汽車は出てゆき
一人残る私は
ちぎれるほど手をふる
あなたの目を見ていた
作詞 / なかにし礼
作曲 / Udo Juergers
■ 昭和譜心 ■
愛嬢に
無理強いが
できるほどの自信が
なかったことは言うも愚かだし
遠距離が原因とするのは言い訳になる
かといって、ズルズルいくのは未練がましいもの
来るか来ないか ・・・ 男らしく訊ねてみた
朝、何も言わず駅まで歩いた二人
もう二度と逢うことはないと
互いに感じとれた
「別れの朝」
だった
第五大成丸