「M-1 グランプリ 2008」
若手(コンビ結成10年未満)漫才師の登竜門である 「M-1グランプリ」 は、今年
8回目を迎え、過去最多の4,489組が参加して、優勝獲得賞金 1,000万円を争い
ました。決して、昨年よりレベルが上がったとは思わないのですが、確かに参加者
が年々増えることで、この 「M-1」 という場が若手漫才師たちの気持ちの中でも
ステイタスとなり、漫才に対する捉え方そのものが洗練されてきた感もあります。
“洗練” という言葉を言い換えれば、ネタの豊富さや元々持っている笑いのセンス
だけではなく、何をどの場面でどう表現すればウケるかを計算(分析)しながらネタを
繰っている若手が増えている、という意味での “洗練” であり、私なりの厭味かも
しれませんが ・・・ 。
優勝は 「NON STYLE」
4,489組から始まった闘いは、66組が準決勝に進出し、そのうちの8組が決勝に
勝ち残りました。そして、準決勝敗退組の58組中から1組の敗者復活を加えた
9組で決勝が行われました。そして、「NON STYLE」 が見事に優勝を果たしました。
ここ数年、力をつけてきたコンビですが、今年、東京に進出して気合が入ってきた
のでしょうか、漫才に厚みが出てきたように感じます。ただ、パッと売れるパターン
ではないと私は感じます。要は、そこそこ王道を行くタイプの漫才ですので、良い
歳のとり方をしながら、常にネタを磨かなければ、長続きしない可能性があります。
特に、インパクトもなく存在感も薄いタイプの二人に見えますので! ・・・ ???
【 優勝 】 NON STAYLE ・・・・・・・・ (644点)・・・(5票)
【 2 位 】 オードリー ・・・・・・・・・・・・ (649点)・・・(2票)
【 3 位 】 ナイツ ・・・・・・・・・・・・・・・ (640点)・・・(0票)
【 4 位 】 笑い飯 ・・・・・・・・・・・・・・・ (637点)
【 5 位 】 U字工事 ・・・・・・・・・・・・・ (623点)
【 6 位 】 ダイアン ・・・・・・・・・・・・・・ (619点)
【 7 位 】 モンスターエンジン ・・・・・ (614点)
【 8 位 】 キングコング ・・・・・・・・・・ (612点)
【 9 位 】 ザ・パンチ ・・・・・・・・・・・・ (591点)
「キングコング」 の敗因
下馬評ではトップだったのではないでしょうか ・・・ しかし、気負い過ぎていてリズム
が悪く、“笑えない空気” であったことは否めません。もう一つ加えるなら、優勝した
「NON STAYLE」 とスタイルがカブっています。先にネタを披露したNON STAYLE の
リズムが良く、審査員の心証がことのほか良かったことも大きかったと思います。
それから、これは無いとは思いますが、一部、「キングコング」 を優勝させるために
今回のM-1はあるのでは ・・・ といったような報道もあり、審査員が妙に厳しく見て
いたように感じたのは私だけでしょうか ・・・ それで、8組目のキングコングに辛目の
評価をした反動で、敗者復活で最後の9番目に登場した 「オードリー」 が高得点に
なったのでは ・・・ という私の見方は歪んでいるのでしょうか ・・・ ???
( キンコン、今回の結果で、漫才封印やコンビ解消がないことを願ってます ・・・ )
無冠の帝王 「笑い飯」
7年連続で決勝に進出した常連の 「笑い飯」 ですが、やはり、今回もトップになること
はできず、4位という結果でした。たぶん、笑いのレベルは常にトップと言っても過言
ではないはずです(個人的には好きなコンビです)。ただ、このコンビの強みでもある
Wボケツッコミ が、逆にメリハリを作れない要因になっているような気もします。表と
裏どちらでも着れるリバーシブル、主と副、二人どちらも代表(党首やキャプテン)の
組織などは、責任の所在がハッキリしないことで、信用されにくく、 “一番良い”
という判断に至らないことが多いのではないでしょうか ・・・ 。まあ、今後の活躍に
期待しましょう!( 景気が良くなると売れるタイプでしょうから ・・・ )
演芸場で鍛えた 「ナイツ」
ネタのスタイルは、昨年の覇者の 「サンドウィッチマン」 と似通っています。しかも、
世の中の事情や流れの感覚も取り入れていて、ハイクラスの漫才だと感じます。
残念なのは、存在感のインパクトが弱く(真面目な空気でコンビ共に遊びがない)、
サンドウィッチマンのような、いい意味でのアクの強さがほしいところです。ただ、
この先、どんな漫才に変わっていくのか楽しみでもあり、期待したいと思います。
( この手の漫才、“あると思います!” ・・・ ってか? )
「FIFA クラブワールドカップ」 と 「M-1 グランプリ」
夕方、「ガンバ大阪 × パチューカ(メキシコ)」 の3位決定戦を見ました。決勝は
「リガ・デ・キト(エクアドル) × マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)」 だった
ので、どうしようか(サッカー生、漫才録画)と迷ったのですが、ロナウドとルーニー
の活躍で、マンUが優勝するようなシーンしかイメージできず、どのコンビが優勝
するか分からない “「M-1」 を生で!” と自分の中での軍配が上がりました。
いずれにせよ、ただサッカーが好きとか、漫才が面白い、といった端的な見方で
終わらせたくない両イベントです。特に、今、どういうスタイルで、どういった選手が
どのようなアクションを起こせば勝ち進めるのか、には興味が湧いてくるものです。
サッカーも時代の流れでスタイルが変化します。「組織の欧州」 「個人技の南米」 と
昔は言われていましたが、今ではその分け方だけで世界のサッカーを語ることは
難しくなりました。どちらか一方で通用するという時代ではないということです。ただ、
両方持ち合わせていればよいということでもありません。今や、南米の有能選手が
個人技を持ちつつ、欧州のクラブで組織サッカーの中心として活躍する時代です。
そういう意味では、日本人でもフィジカルの強ささえあれば、元々持っているパスの
技術(正確さ)などで、他国の強いクラブからも大いに声が掛かる時代になっていく
のでしょうね。ただし、ゴール前の決定力は諦めた方がよいかもしれませんが ・・・
( ガンバ大阪のサッカーが、今後の日本代表のヒントになると思いますよ )
漫才(M-1グランプリ)も、うまいとか面白いだけで評価しにくくなっているはずです。
審査委員長の島田紳助も語ってましたが、要は、“好みの問題(時代)” なんです。
少数の審査員が勝ち負けを付けるのは無理があります。特に、審査員の年齢が
近すぎて、幅広い年齢層の視点で見れているとは言えない状態にあります。今後、
同じ状況が続くとすれば、それこそ、審査員の嗜好(思考)を分析した上で、ネタを
繰って出場してくる若者も現れるかもしれません。そうなると、主旨が変わってしまい
ます。そろそろ、審査方法を含め、グランプリのあり方を再考すべき時期にきている
かもしれませんね ・・・ 。
「楽時々益」
スポーツや娯楽といった枠で
括れなくなっているのは時代のせいか
楽しいとか面白いという表現だけで
満足できない時代になってきたということか
良いとか悪いとかでなく
見る側の目線に合わせるとそうなるだろう
やはり、ここでも
ビジネスという顔が一層大きくなって ・・・
第五大成丸
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