「テレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャル」
手がけた殺人事件124件、昭和に実在した 「鬼の刑事」 の物語を
主演 「渡辺 謙」 でドラマ化して、二夜 [6/20(土)・21(日)] 連続で放送されました。
新聞記者 岩瀬(小泉孝太郎)とカメラマン 吉崎(相武紗季)が
退官した元刑事の平塚八兵衛(渡辺 謙)の自宅で、平塚が手掛けた昭和の
大事件の内容や感想をインタビューする中で、回想していくというストーリー
「昭和な息遣いと豪華キャスト」
私は昔のワンパターンな2時間サスペンスドラマが意外と好きなのですが、
若い俳優が主演するような最新のテレビドラマには全く興味が湧きません。
この作品は、実話を元にした事件(刑事もの)ドラマでリアリティーがある一方で、
昭和の色合いが醸す描写や表現も多々ありました。そして何といっても、
昭和を跨いできた名俳優がこれでもかというほど脇役で登場して惜しげもなく
それぞれの役柄を演じる ・・・ その百戦錬磨の俳優陣の中で主役を張っている
「渡辺 謙」 という俳優の “良さ” を素直に感じ、引き込まれた2日間でした。
「平塚八兵衛とは」
“捜査の神様” とまで呼ばれた、昭和を代表する実在の名刑事 「平塚八兵衛」 は
“落としの八兵衛” “ケンカ八兵衛” “鬼の八兵衛” などの異名を持ち、数多くの
テレビドラマでも刑事のモデルとなってきた人物のようです。戦後日本の犯罪捜査
の最前線に立ち、『帝銀事件』 『下山事件』 『吉展ちゃん事件』 『三億円事件』 など、
事件史に残る大事件の多くを担当し、巡査から巡査部長・警部補・警部・警視 と
すべて無試験で昇進されたようです。帝銀事件で 「警察功労章」、吉展ちゃん事件
で 「警察功績章」 を受章しています。
「一人の刑事の生きざま」
物語の主人公、平塚八兵衛が最も活躍したのは 「吉展ちゃん事件」 でした。
社会現象にもなった戦後最大の誘拐事件で、上層部が捜査の打ち切りを決定する
中、八兵衛は上司の命令に背いてまで取調べを続け、期日ギリギリで犯人を自白に
追い込んで事件解決に結びつけています。何気ない犯人の一言から矛盾点を探し、
そこから犯人を畳み込む展開が、現在の刑事ドラマの原点になっているようです。
戦後の暗澹たる時代から立ち直った日本ですが、その歩みとともに時代を象徴する
ような事件も数多く生まれてきました。この作品は変わってゆく時代に生きながらも、
変わることのない一人の刑事の生きざまを描いた人間ドキュメントであると同時に、
戦後事件史の裏面でもあると解説があります。
「キャスト」
・ 平塚八兵衛 (警視庁捜査一課刑事) : 渡辺 謙
・ 石崎隆二 (警視庁捜査一課刑事) : 高橋克実
・ 草間毅彦 (警視庁捜査一課刑事) : 山本耕史
・ 尾藤和則 (警視庁捜査一課課長代理) : 大杉 漣
・ 加山新蔵 (警視庁捜査一課主任) : 柴田恭平
・ 平塚つね (八兵衛の妻) : 原田美枝子
・ 平沢貞道 (帝銀事件の容疑者) : 榎木孝明
・ 平沢咲子 (貞道の娘) : 木村多江
・ 森川剛三 (警備員殺人事件の容疑者) : 杉本哲太
・ 森川八重子 (剛三の妻) : 余貴美子
・ 小原 保 (吉展ちゃん誘拐殺人事件の容疑者) : 萩原聖人
・ 岩瀬厚一郎 (産政新聞社社会部記者) : 小泉孝太郎
・ 吉崎真由 (産政新聞カメラマン) : 相武紗季
・ 宅麻 伸 ・ 永島敏行 ・ 小野武彦 ・ 大和田伸也 ・ 平泉 成
・ 梨本謙次郎 ・ 宍戸 開 ・ 大杉 漣 ・ 中西良太 ・ 升 毅 ・ 鳥越俊太郎
・ 長門裕之 ・ 佐々木すみ江 ・ 根岸希衣 ・ 池内博之 ・ 浅野和之
・ 渡辺 哲 ・ 山田明郷 ・ 大高洋夫 ・ 六平直政 ・ 矢島健一 ・ 中原丈雄
・ 深水三章 ・ 菅原大吉 ・ 浜田 学 ・ 歌澤寅右衛門 ・ 半海一晃
・ 六角精児 ・ 岩崎加根子 ・ 大森暁美 ・ 中島ひろ子 ・ 野村宏伸
・ デビット伊東 ・ 長谷川朝晴 ・ 竹内晶子 ・ 相馬一之 ・ 朝加真由美
・ 松澤一之 ・ 山本龍二 ・ 星井七瀬 ・ 芦川 誠 ・ 根岸季衣 ・ 森次晃嗣
・ 西沢仁太 ・ 杉山文雄 ・ 立原麻衣 ・ 花原照子 ・ 山崎大輔 ・崎山 凛
・ 寺井文孝 ・ 勢 至郎 ・ 大西耕治 ・ 岸端正浩 ・ 高橋光宏 ・ 上岡紘子
・ 伊藤正之 ・ 加門 良 ・ 坂田雅彦 ・ 牧村泉三郎 ・ 渥美 博
「スタッフ」
・ 脚本 : 長坂秀佳 吉本昌弘
・ 監督 : 石橋 冠
『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』 (佐々木嘉信 著)
「第一夜」
昭和50年10月、
新聞記者 岩瀬厚一郎(小泉孝太郎)と新米カメラマンの吉崎真由(相武紗季)は、
緊張の面持ちで一人の初老の男の背中を見つめていた。この男こそが 「落しの
八兵衛」 「ケンカ八兵衛」 「鬼の八兵衛」 など数々の異名を持ち、「捜査の神様」
とまで呼ばれた名刑事 平塚八兵衛(渡辺謙)であった。
戦後間もない日本を震撼させた 「帝銀事件」、科学捜査の信憑性が問われた
「警備員殺人事件」、そして、戦後最大の誘拐事件と言われている「吉展ちゃん
誘拐事件」。それらの事件の捜査に文字通り体ごとぶつかり、解決に心血を注いだ
八兵衛だったが、9ヶ月前、「三億円事件」の時効成立を前に突然、退官した。
波乱に満ちたその刑事人生を振り返ってもらおうとした岩瀬だが、八兵衛は背を
向けたままだった。
「俺たちにはよ、100点か0点かしかねえんだよ。80点とか90点とか、そういう中途
半端な点数は俺たち刑事(デカ)にはねえんだよ……」。希代の名刑事と呼ばれた
男の生きざまとは、いったいどのようなものだったのか。
八兵衛が刑事になって9年目にその事件は起きた。
昭和23年1月26日、帝国銀行椎名町支店で東京都防疫班の名を騙った男が
行員に毒を飲ませ、現金を盗むという事件が発生。いわゆる「帝銀事件」である。
八兵衛は当時の捜査の主流だった聞き込みを中心とする 「地取り」 ではなく、犯人
が残した名刺を徹底的に調査することを主張。それが上司の反感を買い 「名刺班」
という閑職部署に配置されてしまう。しかし、名刺班のメンバーと協力して配られた
名刺の行方を徹底的に洗い直し、最終的に容疑者である平沢貞道(榎木孝明)の
逮捕に多大な貢献をするのであった。
昭和33年9月11日、
銀座そごうデパートの倉庫で警備員が刃物で刺され死亡する事件。捜査に当たった
八兵衛は現場に残された二つの湯飲み茶碗から顔見知りの犯行と断定。当日、
会社を休んでいた運送会社の運転手、森川剛三(杉本哲太)と影山五郎(宍戸開)
に詳しい事情を聞く。事件の夜、妻の看病をしていたという森川に対し、影山には
アリバイがなかった。誰もが影山を疑う中、八兵衛はただ一人 “影山はシロ” という
自分の直感に従い、相棒の石崎(高橋克実)と共に捜査を継続。防水加工を施した
レインコートに付着した血液を洗い流す実験で科学捜査の盲点を指摘すると共に、
森川の偽証に加担した妻 八重子(余貴美子)の自白を引き出し、事件を解決へと
導いた。
昭和38年3月31日、
東京都台東区の公園で当時4歳になる男の子、吉展(よしのぶ)ちゃんが何者かに
誘拐される。これが戦後最大の誘拐事件といわれた「吉展ちゃん誘拐事件」である。
警察は捜査本部を設立し逮捕に全力を注ぐが、犯人に身代金を奪われるという
失態を演じ、それ以降、犯人からの連絡は途絶えてしまう。事件から2年後、捜査
本部に招集された八兵衛は容疑者リストの中にあった小原保(萩原聖人)という
一人の男に目をつける。“いいか八兵衛、難しいぞ……引き時を誤るとおまえのクビ
だけじゃ済まなくなる” と八兵衛を気づかい、そうアドバイスする加山(柴田恭兵)。
はたして彼の言葉の意味とは……。
取調室から出て来る小原、その姿を黙ってじっと見つめる八兵衛。
“正直怖くなった……なんだか分かんねえけど、怖くなったんだよ……この時から、
小原との戦いは始まった……”。
(テレビ朝日HPより抜粋)
「第二夜」
「吉展ちゃん誘拐事件」 の容疑者として小原保(萩原聖人)を洗い直すことになった
八兵衛(渡辺謙)は、小原のアリバイを崩すために石崎(高橋克実)と共に小原の
故郷である福島へと向かう。犯行当日と最初の脅迫電話があった日、小原は福島
で複数の人間によって目撃されていたからだ。しかし、八兵衛たちの綿密な捜査に
より、次第に小原のアリバイが崩れていく。
“このたびは保がご迷惑をおかけすて申し訳ごぜえません ・・・ 保を産んだオラを
許して下せえ ・・・ どうか、どうか ・・・” 最後に訪ねた小原の実家で聞いた母トク
の悲痛な叫びに胸を締めつけられ東京に戻った八兵衛。だが、課長代理の尾藤
(大杉漣)から取り調べに残された期間はわずか10日間であることを告げられる。
八兵衛は改めて小原に関する情報をどんなに些細なことでも頭の中に叩き込み、
取り調べに備える。
小原の取り調べが始まった。あくまでも自分は何もしていないとのらりくらり証言を
はぐらかす小原。少しずつ焦りと疲労が募っていく。結局、期限の10日を過ぎても
小原は自白をすることはなかった。翌日、小原の声紋鑑定をするために彼の声を
録音せよとの命令が下る。雑談の中で緊張感が薄れた小原はふと、2年前、日暮里
で起こった大火事を山手線の中から見たと口を滑らす。あきらめかけていた八兵衛
だったが、そのひと言を聞き逃しはしなかった。もしそれが本当なら最初の脅迫電話
があった日、小原は福島ではなく東京にいたことになるからだ。
これまでに調べたアリバイの矛盾点を一気に叩き付ける八兵衛。 “おっ母さんの
ためだろ・・・おふくろに申し訳ねえと思ってるんだよおめえ・・・だけどよ、保、おめえ
間違ってるよ・・・罪を認めて、まっとうな真人間になることだけが、おまえに残された
道なんだよ・・・”。そう言って八兵衛は、涙をこぼした。“・・・ やりました ・・・ 誘拐して
・・・ 僕が ・・・ お金を ・・・”。小原は泣き崩れ犯行を自供。こうして事件は解決した
のであった。
吉展ちゃん誘拐事件解決から間もなく、苦楽を共にした盟友 石崎が病に倒れる。
“どんな事件(ヤマ)かな。次におまえらと組むのは ・・・” 見舞いに来た八兵衛と
草間(山本耕史)に笑いかける石崎。しかし、吉展ちゃん誘拐事件の警察功績賞が
贈られた半年後、石崎は帰らぬ人となった。
昭和43年12月10日、
東京都府中市で三億円を積んだ銀行の現金輸送車が白バイ警官を装った男に
車ごと強奪されてしまう。日本の犯罪史に残る大事件 「三億円事件」 である。
証拠品や目撃情報はたくさん寄せられるものの、なかなか進展しない捜査状況を
打開すべく呼び出された八兵衛。犯行当日は豪雨で、目撃者がヘルメット姿の
犯人の顔をはっきりと見たかどうか疑わしく、八兵衛は錯綜する膨大な目撃情報が
逆に捜査の妨げになると判断し、手配中のポスターから犯人のモンタージュ写真を
外すことを提案する。しかし、既にデータ重視の近代捜査の波は否応無しに押し
寄せていた。
“時代がどんなに変わってもな、事件を起こしてるのは人間なんだよ!”
“だからその人間が変わったんです!”
かつて小原保の取り調べで苦楽を共にした草間が叫ぶ。最後まで自分のやり方を
貫こうとする八兵衛の眼は決して輝きを失わなかったが、時効を9ヶ月後に控え、
八兵衛はあれほどまでにこだわり続けた現場を自ら去っていった ・・・ 。
岩瀬(小泉孝太郎)と真由(相武紗季)と共に福島を訪れ、ある墓に案内された
八兵衛は、墓の横にある土盛りを見つめる。それこそがあの小原保の遺骨が埋め
られている場所だった。“私は真人間になって死んでいきます。” 八兵衛が三億円
事件を捜査している途中、その言葉を残して彼は刑に服し、この世を去っていった。
“そうか ・・・ 母ちゃんと一緒に入れてもらえなかったんだな ・・・ 悪かったな ・・・
すぐ来てやれなくて悪かったな ・・・ 悪かったな ・・・。” そう言って土盛りに顔を
埋める八兵衛。だが、彼はすぐさま立ち上がると、そのまま黙々と歩いていく。
人の想い、時の流れ ・・・ すべてを受け止めて進むその後ろ姿には、
希代の名刑事 平塚八兵衛の生きざまがしっかりと刻み込まれていた。
(テレビ朝日HPより抜粋)
■ 造形憧憬 ■
漫然と作ること、何となく出来ること
これらを最終目的にしているうちは
大した仕上がりは期待できないもの
この最終形で、こんな感動を ・・・
求める結果がハッキリしていれば
自ずと仕上がりは期待できるもの
確かに、プロセスも大事である
ただ、最終形を持たないプロセスは
いつまで経っても “経過” でしかない
それでは 「満足」 も 「感動」 もない
第五大成丸
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