ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

084. バスティーユとボーヌの朝市

2019-01-11 | エッセイ

11月のパリは寒い。
そのうえ毎日雨にたたられた。
今回はワインの産地ブルゴーニュをぶらつく旅なので、いつも泊っていたサンミッシェルではなく、
リヨン駅近くにホテルを取った。
リヨン駅はブルゴーニュ地方やプロヴァンス地方への汽車の発着駅なのだ。
近くにはバスティーユ広場がある。

日曜日と木曜日にバスティーユ広場の公園で朝市が開かれるというので、行ってみた。
ガレ・リヨンからサンマルタン運河沿いにぶらぶら歩いて20分もかからない。
運河の両岸には白いテント張りの小屋が立ち並んで、最初これが朝市の出店かと思ったが、
そうではなく骨董市の出店が並んでいるのだ。
でもまだ朝9時なので、開いている店は一軒しかなく、他はまだしっかりと閉まっていた。
バスティーユ広場に着くと、この骨董市の入り口があったが、入場料8ユーロいる。

18世紀、ここには政治犯を収容する牢獄があり、その当時生活苦にあえいでいたパリ市民によって牢獄が襲われ、それがフランス革命の発端となった。
今は牢獄跡がバスティーユ広場になり、モダンなガラス張りのオペラバスティーユができ、広場はクルマであふれている。

広場の一角から延びる公園が朝市の舞台だ。
日曜日の朝、買い物籠を持った人々が集まっている。
公園は幅が広いので、出店は3列も立ち並び、他の朝市のようにごった返すことはない。
人気のある店には行列ができている。
特に魚屋の店の前は長い行列。
いつも感じることだが、パリの朝市に並んでいる魚や貝類はとても鮮度が良い。
種類も豊富で買いたいものばかり。
でも値段はポルトガルに比べてやはり高い。
カフェのコーヒーも2倍の値段だからね~。

 

今が旬の牡蠣も種類が多い

 

 

ポルトガルではぜんぜん見かけないウニ

 

 

キノコの季節

 

 

鍋に入れたら美味い

 

 

 仏像の頭のような緑のカリフラワー

 

 

インゲン豆とミニトマト。手間ひま掛けた飾り方

 

 

色とりどりのオリーヴ

 

 

魚の燻製、東欧人やロシア人も買いにくるのだろうか

 

 

パセリ入りガーリックバターをたっぷり詰めたエスカルゴ

 

 

青かびチーズも種類が多い

 

 

ポルトガル食品店が出ているのには驚き

 

 

奥にポルトガルキャベツと手前にバカリャウ

 

ガレ・リヨンからセーヌ川にかかる橋を渡ると、オーストリッツ駅がある。
スペイン、ポルトガル方面へ行く列車の発着駅だ。
大きな荷物を持ったポルトガルの移民が列車に乗り込み、故郷へと里帰りする。
クリスマスと新年、夏の休暇を故郷で過すために、いっせいに乗り込む。
日本と同じように帰省ラッシュ。

以前このあたりを歩いていた時、どこからともなく焼き魚の匂いが漂ってきた。
パリ市内では絶対にないことだ。
ポルトガルへの発着拠点オーストリッツ駅、そしてガレ・リヨン周辺、バスティーユあたりは、ポルトガル人がたくさん住み着いているのだろう。
バスティーユの朝市でポルトガル食品の店を見かけたとき、驚いたが、「ああ、やっぱり」と思って、なぜか懐かしかった。


ボーヌの朝市

パリのガレ・リヨンからTGVに乗って2時間半。
ボーヌはワインとマスタードが特産、こじんまりとしたきれいな町だ。

この季節、フランスの町はどこも菊飾りで覆われる。
ボーヌの町も街中が菊の花飾り、ワイン市場の大屋根の窓もみごとな菊の花。

大屋根のワイン市場の建物の前にとても小規模の朝市が出ていた。
10軒ほどの出店では、美味しそうなパンやチーズや野菜が並べられ、取ってきたばかりのような土のついたキノコが、森のにおいを漂わせていた。

11月の第三週にボーヌでは盛大なワイン祭りが開かれるという。
このワイン市場の横にあるオテル・ド・デューで作っているワインは最高級の評価を受けている。
ワインのオークションや盛大なパーティがあり、それを目がけてたくさんの観光客とワインの愛好家が集まり、賑わうことだろう。

 

 

ボーヌの朝市

 

 

ワイン市場の屋根のみごとな菊飾り

 

 

小雨の中、ひっそりと

 

 

サラミの種類もたくさん

 

 

朝取れセップ

 

 

新鮮な野菜が少しずつ

 

 

巨大チーズと生ハムとワインの酒樽

 

 

ボーヌ特産マスタードのおみやげを売っている

 

雨に降られ、美術館も工事中で観られず残念だったが、でも私たちにとっては、ひっそりとしたなかに歴史と文化を感じたボーヌの町と、朝市もなかなか良かった。
MUZ
2010/11/21

 

©2010,Mutsuko Takemoto
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(この文は2010年12月号『ポルトガルのえんとつ』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルのえんとつ』も見られなくなるとの事ですので、このブログに転載しました。)

 

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