えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

『私のアラビアン・ナイト』 (Aug. 2001作) 1.

2007年03月18日 | ショートショート
1.
 夏休みもあっという間に7月が終わろうとし、まだ決まっていない旅行の予定について家族で話し合いました。ある暑い暑~い夜のことです。
 4人の予定はバラバラ、行き先も意向がまとまらず、おまけに暑さも手伝って、長女なんぞ「やっぱアルバイトしたいから、あたしいいや...留守番する」などと言い出す始末...。
 結局収拾がつかないままに終わりました。

 そして2日後...子供達に留守番させ、急に思い立って夫と二人だけで旅行することにした。鬼怒川温泉である。なぜ鬼怒川か? それは訊かないで!

 たった1泊でも夫婦水入らずは久しぶり...ちょっと新婚の頃っぽい...そう思いながら期待して暖簾をくぐった宿は...宿代をけちったせいか、お世辞にもこぎれいとは言えないひなびた宿だった。
 何しろ今年は暑いから、冷房代も庭にまく水道代も気温とともにうなぎのぼり...おまけに食べ盛りの息子のおかげでエンゲル係数もすごいのだ。

 通された部屋はどことなくかび臭く、壁は昔懐かしい漆喰があちこちはげていて、押入れとの間には必要以上の隙間が空いている。夜中そこからゴキブリでも出てきそうだ。
 「仕方ないね...」と、仲居さんの手前、心の中でつぶやきながら夫の顔を見ると、「そうだね...」と彼の目も語っていた。

 それでも、温泉に浸って汗を吹き出させ、扇風機の風で乾かすと、気分はさっぱり! それにここ鬼怒川は、夜になると東京より気温が下がるのだ。よかよか...やっぱり来てよかった...。
 差し向かいでご馳走を食べ、ビールを飲み、テレビを見て...あぁぁぁ、上げ膳据膳って、ほんと幸せ~っ!
 そのうち仲居さんが来た。「お床をご用意します」

 <この後は適当にご想像ください>



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第1章 ある日突然… 4. | トップ | 『私のアラビアン・ナイト』... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ショートショート」カテゴリの最新記事