36.
4月になった。手術からちょうど1年が経ったことになる。去年満開の桜を病棟から眺めたことを思えば、今年はまだ平和だといえるだろうか…。
ところが、私が心のよりどころにしていた絵門ゆう子さんが、闘病の末に亡くなってしまった。急に連載の文調が変わったので心配していた矢先のことだった。ぎりぎりまで筆を執っていた彼女の気力に敬服したり、勇気をもらったり、でもとてもとても哀しく辛かった。奇しくも、4年前に白血病で逝った高校時代の友人の命日と同じ日だった。お2人に合掌…。
それを皮切りに7月の初めまで、これでもかこれでもかというくらいに、なぜかまた事件が押し寄せることになる。
胃がんの疑いがあると言われていた母は、私の奨めた別の病院で腫瘍の組織検査を受け、4月下旬にクラスV(:悪性腫瘍)と診断された。病期はIで内視鏡手術ができるのが不幸中の幸いだった。さらに、全国でまだ100名ほどしか施術できる内科医がいないといわれている「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)*」という最新手術がその病院ではできるので、幸運に恵まれたといえる。5月下旬に入院する段取りになった。
5月の連休が明け、半年間お世話になったカイロからようやく解放された。八味地黄丸のお蔭か、やはり半年間悩まされた左上腕の痛みや肩甲骨のだるさも、いつのまにか消えていた。かなり気分が軽快し、年に一度と決めている目の眼底検査を受けたところ、緑内障の疑いがあると言われ、がんの告知を受けたときとは別の衝撃を受けた。眼圧が正常でも視神経が萎縮することにより起こる「正常眼圧緑内障*」を疑われたのだ。4日後に受けた視野検査の結果疑いは晴れたが、その3日間は不安と闘わなければならなかった。がんに加え、また一つ大きな荷物が増えるのかと思うと、ぞっとしたものだ。昔のように失明にすぐ直結する病気ではなくなっているものの、一度病名がつけば一生眼圧のコントロールが必要になることを知っていたからだ。定期的な検査を怠らないよう医師に言われた。
母の入院が近づいた頃、かつて絵門ゆう子さんの本を贈ってくれた高校の先輩、Sさんご自身が急逝されたとの訃報が入り、寝耳に水だった私はパニックに陥ってしまった。聞けば、半年前に悪性リンパ腫を発病、一時は抗がん剤治療が効いて体調が安定していたにもかかわらず、一転しての急死だったようだ。奥様が乳がんから転移した脳腫瘍で自宅療養していたのは聞いていたが、本人までもが悪性の病気に侵され、しかも奥様より先に亡くなってしまうとは…明るく、周囲を元気にしてくれる人だっただけに、報を受けた電話口で私は泣いてしまった。そして、参列した通夜の席で、実は奥様もSさんの死の1週間前に亡くなっていたことを知った。Sさんは奥様に呼ばれてしまったのだろう。お2人で安らかにお眠りください…。
* 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
* 正常眼圧緑内障
4月になった。手術からちょうど1年が経ったことになる。去年満開の桜を病棟から眺めたことを思えば、今年はまだ平和だといえるだろうか…。
ところが、私が心のよりどころにしていた絵門ゆう子さんが、闘病の末に亡くなってしまった。急に連載の文調が変わったので心配していた矢先のことだった。ぎりぎりまで筆を執っていた彼女の気力に敬服したり、勇気をもらったり、でもとてもとても哀しく辛かった。奇しくも、4年前に白血病で逝った高校時代の友人の命日と同じ日だった。お2人に合掌…。
それを皮切りに7月の初めまで、これでもかこれでもかというくらいに、なぜかまた事件が押し寄せることになる。
胃がんの疑いがあると言われていた母は、私の奨めた別の病院で腫瘍の組織検査を受け、4月下旬にクラスV(:悪性腫瘍)と診断された。病期はIで内視鏡手術ができるのが不幸中の幸いだった。さらに、全国でまだ100名ほどしか施術できる内科医がいないといわれている「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)*」という最新手術がその病院ではできるので、幸運に恵まれたといえる。5月下旬に入院する段取りになった。
5月の連休が明け、半年間お世話になったカイロからようやく解放された。八味地黄丸のお蔭か、やはり半年間悩まされた左上腕の痛みや肩甲骨のだるさも、いつのまにか消えていた。かなり気分が軽快し、年に一度と決めている目の眼底検査を受けたところ、緑内障の疑いがあると言われ、がんの告知を受けたときとは別の衝撃を受けた。眼圧が正常でも視神経が萎縮することにより起こる「正常眼圧緑内障*」を疑われたのだ。4日後に受けた視野検査の結果疑いは晴れたが、その3日間は不安と闘わなければならなかった。がんに加え、また一つ大きな荷物が増えるのかと思うと、ぞっとしたものだ。昔のように失明にすぐ直結する病気ではなくなっているものの、一度病名がつけば一生眼圧のコントロールが必要になることを知っていたからだ。定期的な検査を怠らないよう医師に言われた。
母の入院が近づいた頃、かつて絵門ゆう子さんの本を贈ってくれた高校の先輩、Sさんご自身が急逝されたとの訃報が入り、寝耳に水だった私はパニックに陥ってしまった。聞けば、半年前に悪性リンパ腫を発病、一時は抗がん剤治療が効いて体調が安定していたにもかかわらず、一転しての急死だったようだ。奥様が乳がんから転移した脳腫瘍で自宅療養していたのは聞いていたが、本人までもが悪性の病気に侵され、しかも奥様より先に亡くなってしまうとは…明るく、周囲を元気にしてくれる人だっただけに、報を受けた電話口で私は泣いてしまった。そして、参列した通夜の席で、実は奥様もSさんの死の1週間前に亡くなっていたことを知った。Sさんは奥様に呼ばれてしまったのだろう。お2人で安らかにお眠りください…。
* 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
* 正常眼圧緑内障
奥様、大変ですね。ご本人がそのことでストレスを感じていらっしゃらなければよいですけれど。
緑内症の疑い
自覚症状は全くない
眼圧の異常はない
状態で目薬を使っていらっしゃるとすれば、私の知識の範囲で申し上げればやはり「正常眼圧緑内障」かもしれませんね。視野検査でひっかかったのでしょうか。
おっしゃるとおり、昔なら発見したときは手遅れの病気、でも今では早期発見できるので昔ほど怖くはなくなった病気、なのだと思います。
眼底検査で視神経の萎縮が見られると疑われるようですね。私もそうでした。
遺伝性を心配していらっしゃいますが、定期健診を怠らないことと、目の酷使を避けていればよいのではないでしょうか?
だから、ほんとはブログをガンガン更新したりしていてはいけないのだと思いますわ、私の目にとっては...とほほ。
友人がかかっている目医者が言ったそうです:「蒸しタオルを1日10分目に当てていれば、私の患者は半分に減りますよ」
体全体と同様、目も血行をよくしていればよい、ということではないでしょうか。
「正常眼圧緑内障*」かどうかはしりませんが、家内も緑内症の疑いで毎月病院に行って目薬をさしています。たしか眼圧の異常はなくて眼底検査で診断されたのだったと思います。自覚症状は全くないので昔ならたぶん見つからなかったでしょう。
私の祖母も母も緑内症で、これは遺伝性があるということなので私も危ないのではないかと心配しています。