えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

第1章 ある日突然… 12. 

2007年03月29日 | 乳がん闘病記
12.
 午前の受付はとっくに終わっているはずなのに、患者はまだ大勢残っていた。約束の時刻を過ぎてもなかなか呼ばれず、苦悶の時間がどんどん延びていく。1時過ぎに再び超音波室に呼ばれた。

 早鐘のごとく脈打つ心臓の鼓動を感じながら中に入ると、午前中のときとは明らかに違った空気が漂っていた。F先生の顔が緊張で引き締まっているのだ。最初のような柔らかい笑みは消えていた。一瞬にして私は察した。―やっぱり悪性なんだ………―
 F先生は病理検査の結果を見ながら、少し言いにくそうに、しかし私の顔をしっかりと見て切り出した。「やはりクラスIVでした…」 ―やはり…? やはり……??―

 やはり先生には悪性との予想がついていたのだなと、その「やはり」の一言で感じ取ると同時に、私自身もやはりそうだったかと思った。「そうですか…」と言ったが、その後は続かなかった。血の気が引き、口が一瞬にして渇いていくのがわかった。ゴクッと固唾を飲み込み、しっかりしなければと自分を奮い立たせた。

 F先生はまたメモを取り出し、説明した。
・クラスVではないので悪性と決まったわけではないし、厳密に確定するには患部を摘出して病理検査をしてからでないとわからない。しかし、今まで9年間の自分の経験上、クラスIVを放置しておいて、悪化したことはあっても良くなった例はない。限りなく悪性に近いとみなして、すぐに治療に移った方がよい。
・クラスIVなので、針生検や患部部分切除による生検は省き、手術を前提にした全身の検査を、予約が取れ次第すぐに始める。
・厚生労働省が定めている乳房温存手術のガイドラインがあり、腫瘍の大きさで言えば間違いなく温存できるし、遠隔転移も考えにくい。ただし、腫瘍が乳頭に近い(2センチ)ので、その点が温存できるかどうかの考慮の対象になるだろう。
・一連の検査の結果により病期が決まるので、それによって今後の治療方針を決める。そこからはY医師という自分の上司が行う。
・MRI検査の予定が詰まっていていつ予約がとれるかわからないが、とにかくY先生の診療予約を取っておく。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第1章 ある日突然… 11. | トップ | 『ぎっくり腰えつこ抄2005』... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

乳がん闘病記」カテゴリの最新記事