えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

第1章 ある日突然… 9.

2007年03月26日 | 乳がん闘病記
9.
 F先生は急に引き締まった顔になって、看護師に次々と指示を出した。しばらくすると、看護師がワゴンに載った機械を運んできた。F先生は検査の目的と手順を説明してから、申し訳なさそうに言う。「細胞を少し太い注射針で吸い出すので、かなり痛いです。もちろん麻酔をかけますが、あまり効きません。でも、長い時間ではありませんから、我慢してくださいね…」
 ―ひぇぇぇ、どんな痛さなんだろう??? ま、でも、陣痛より痛いはずはないからね。私は2度も陣痛に耐えて子供産んだんだ。耐えられないはずはないよね…― 私は懸命に自分に言い聞かせ、麻酔が少しでも効いてくれることを願った。

 麻酔の注射をしてから1分も経たないうちに、F先生は検査を始めた。再度触診とエコーで場所を確かめ、自分の手にでも言い聞かせるかのように「ここだな…」とつぶやきながら狙いを定めた。緊張した面持ちで再び繰り返した。「痛いですよ。我慢できなかったら言ってくださいね」
 ―そんなに何度も痛いって言わないでよ~!―と思いながら、私は来たる痛みに身構えた。どんな注射針なのか、怖くて見ることはできない。パシッという音が聞こえて、針が入った。

 F先生の言葉に偽りはなかった。確かに痛い。唇をぎゅっと結び、表情を変えずにいるのが精一杯だ。一刻も早く終わることだけを考えていた。

 検査が終わると、F先生はまた私を椅子に腰かけさせ、自己紹介した頃とは違った顔つきでメモに何か書きながら、説明し始めた。

 ・行った検査は、「穿刺吸引細胞診」という検査であること。
 ・その結果はクラスI~Vまでの5段階に分類され、数字が大きくなるにつれ悪性度が高いこと。
 ・クラスIIとIIIにはそれぞれa・b2段階あるので、実質は全部で7段階に分けられていること。
 ・クラスIIIaとIIIbが良性と悪性の境界であるが、その区別は非常に微妙なので、クラスIIIと出た場合は、針生検や患部部分切除による生検というさらに詳しい検査に進むこと。
 ・その結果クラスIIIaまでは良性とみなし、経過観察すること。
 ・クラスV はほぼがんに間違いないので、手術などの治療に進むこと。
  IIIb・IVでも、手術を前提とした全身の検査に移ること。………

 キーワードだけを記した紙を私に渡しながら、「2時間ほど待っていただければ、病理診断の結果が出ます。今……10時半ですから、12時半過ぎには出ていると思います。その間食事なさってかまいません」とF先生は告げた。

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