ケイシロウとトークアバウト

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

かまぼこを食べる少女

2024-02-29 23:07:00 | 日記




この話は、
第一次コロナパンデミック真っ只中に、
モーさんの友人のウツイが体験した出来事や。

ウツイは、
コロナ禍吹き荒れる日々にあって、
勤務しているサービス業が経営不振となり、
減給に次ぐ減給の為、
これまで住んでいたマンションから、
裏町の古いアパートに引っ越さなければならなくなった。

裏町のアパートを経営してるのは、
かまぼこ製造所の所長をしている、
オオヤという人物やった。
オオヤはウツイに、
賃貸契約する際、
「私は大家(おおや)ですけど大家さんなどとかしこまらずに大家と言ってください。けれど、私の名は大矢(オオヤ)ですの馴れ馴れしくオオヤと呼び捨てにせず、オオヤさんと言ってください」と約束させた。

引っ越してしばらくしても、
勤務先の業績が良くなることはなかった。
それで、
貧しさは食生活にも現れるようになり、
ウツイは、
日に一度のバナナやもやし炒めで、
過ごすようになった。

人は飢えれば、
食べ物への臭覚が過敏になる。
ウツイは、
毎夜毎夜、
部屋の前から、
かまぼこの匂いと、
それを食べる音を耳にした。
そしてある夜、
部屋を開けると、
小学生くらいの女の子が、
ウツイの部屋の前でかまぼこを食っていた。

こういうことが毎晩続くので、
ウツイは女の子に、
「すみませんが、そのかまぼこを少し分けてくれませんか?」とお願いした🤲
女の子は、
オオヤの住む部屋に駆けて行った。

しばらくして、
オオヤが先の女の子を連れて、
ウツイの部屋にやって来た。
その際、
袋に、
四つのかまぼこを入れて持って来て、
語った。
「今まで、生活に困った入居者を見てきました。その際、いつも、かまぼこをあげようとしてましたが、プライドの高い方が多く、怒って拒絶されました。それで、あなた様が本当にかまぼこを食したいのなら、私の娘がかまぼこを食ってる姿を目にして、かまぼこを所望されると思い、毎晩、あなた様の部屋の前で、娘にかまぼこを食わせたのです」

ウツイは心に、
「それはわかるんだけど、ナンでこんな回りくどいことをするんやろうか🤔」と考えた。
そして素直に、
「オオヤさん、ありがとうございます😊少しばかりの料金を払わせていただきます」と言うと、
オオヤは、
「結構の限りにござります(どういう表現やろか🤔🤔🤔)。あなた様に差し上げるかまぼこは、製造所のあまり物ですから」と、
答えた。

この日から毎日、
日に3度、
かまぼこを四つ持って来てくれるようになった。
けど、
さすがに、
朝、昼、晩、
いつもかまぼこというのは、
しんどい。
夏が終わり秋が来るとかまぼこにも飽きが来た!
が、
底辺で飢えに苦しんでいた時の好意のカタチ。
ウツイはいつまでもかまぼこを食う決意をした。
かまぼこの塩分で、
血圧が上がったらしいけど------。