夏に、
「日本史上、最も知的な雑談」
という裏表紙の一文に興味を持って、小林秀雄と岡潔の対談本、『人間の建設』を買った。
夏の新潮フェアか何かで、涼しげなアクリルの栞を選んでいいと本屋さんがいうので、青いのをもらって挟んでおいたら、夏休みに少し帰ってきたぽんぽんがそれを見つけて、
「あ、お母さんも青にしたんだ、青、すごく人気」
という。
そうだった、この子、本屋でバイトしてたんだ。
その本の中で話が絵画論になり、坂本繁二郎という人の絵をお二人が誉めているので、見てみたいなといったら、ぽんぽんが、
「坂本繁二郎なら、今、アーティゾンでやってるよ」
というではないか。
そうはいっても、母と老猫の介護+コロナ第七波で出かけることが憚られ、あきらめていたのだが、ようやくコロナも下火になり、母が7時間のデイサービスに行ってくれる日に合わせて、滑り込みで見に行ってきた。
半世紀以上東京にいるが、アーティゾンは多分初めて(わすれてなければ)。
坂本繁二郎は馬の絵で有名らしいが、静物がとても良かった。
晩年の月の絵は、静かな静かな、でも暖かな色彩のある絵で、仙人が描いたみたいな絵だった。
常設を見ても少し時間があったので、遅いお昼ご飯に海鮮丼を食べて(マグロ、はまち、タコ、きゅうり、たくあんが角切りになってて、真ん中に黄身が乗ってた。不思議な新食感)、
「あれ、丸善ってここだった?」
と脳内迷子になりながら、高島屋前の丸善に。
焼き物フェアが開催されてて、良さげな小皿を見つけて2枚買う。
その後、
「読んでない本が何冊あると思う?」
という脳内ツッコミを自覚しつつ、たまのお出かけだからさ、と言い訳しつつ、三冊ほど本を買って帰宅。
いやいや、心の栄養でした。
アーティゾンの横は只今建設中。どんなビルが建つのかな。見渡す限りビル。人間って怖いわー。
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