「 茵(しとね) 」
平安時代より使われた殿上人の敷物で現在では寺院などで使われています。茵は、歴史の中で綿入りの畳から、現在の布団と稲藁で造られた畳に分かれる原型であったことが窺(うかが)えます。茵の構造は綿入りの畳です。畳表を5枚重ね、鏡と呼ばれる中央の部分には、綿を載せ、白地の大和錦を被せます。そして周りのへりの部分には、四方に赤地の大和錦の中に、綿を入れて製作します。(※昔は生地の織り幅が狭く、幅の広い生地がないために真ん中の鏡の部分は継いでいたそうです。)
今晩は。ここのところ格闘していた畳です。畳に見えないですよね!!立派な畳です。
上記説明のとおり、畳表を5枚重ね、各生地の中に、綿が入っています。極上なふかふです。
イメージ的には、良く時代劇とかで、権威な人物が一段高いところで、茵(しとね)に座っているのを
見た事があるやもしれません。まさに、高貴な敷物です。造作は昔ながらの工法で製作しました。
まさに手に目を付けるような感覚です。大変にありがたい事に今年で2作目ですが
いつでも新鮮な気持ちにさせてくれます。そしてプレシャーとの戦いの中で、胸に想うことは・・・。
御注文頂いたお客様に想いを馳せる。
先人に想いを馳せる。
自分の心に想いを馳せる。
とても貴重な体験です。私はお客様に育て頂きながら、今もてる自分を表現しました。
畳職人としてこのようなお仕事をさせて頂ける事は、感謝の極みですし、経験が糧になります。
そして決して満足することはありません。憤慨するほうが多い。経験を積むごとに
先人に対する敬意や驚き、そして技能の奥深さに触れます。
そして何より、自分と向き合う事の大切さを感じます。
素直な気持ちで仕事に臨む姿勢。失敗したらやり直す勇気を持つこと。
お客様を感動させる心意気を持つことが大事だと感じています。
高価な材料だからお客様が感動するのではなく、畳職人がその畳に込める心意気が
お客様を感動させる事が出来ると、私は信じています。
この度は、誠にありがとうございました。次に向き合うときは、今の心意気を越える
心意気で畳に向かう事を心に刻みます。そして精進し続けたいと思います。