(写真)マンサクの花
春を知らせる花木の一番。
「まんず先に咲くだ~」といったのは太平洋側の東北の山麓の住人とか言われているそうな??
初めて見る人にとっては、
黄土色に輝く奇怪なとでもいえるものが木に絡み付いていると見える。
海に咲くクラゲの一種のようでもあり、顕微鏡で見る微生物のようでもあり、春一番に木に咲く花「マンサク」と知らなければ怪奇な代物と思ってしまう。
だが、まだ雪が残る白と灰色のモノトーンの世界で、この怪奇なものは生の喜びをもたらす力強さを秘めていそうだ。形にこだわらずに生きたいように生きるという形態なのだろう。
木は硬く、また、このマンサクの樹皮は、粘りがあり強靭なので岐阜県白川郷の合掌造りの梁を締めているという。囲炉裏の煙は防虫効果となりこの合掌造りを長持ちさせている。昔懐かしいシーンだが、暖房だけでなく合理的な理由があったので生活の知恵というものは素晴らしい。
こんな生活に根付いた利用がされていたので、「まんず先に咲くだ~」から来たと言うマンサクだけでなく、中部地方では、「ネソ」とも呼ばれているそうだ。漢字に直すと「練(ネ)り麻(ソ)」となる。
(写真)満開に咲くのでマンサクといわれた説もある。
マンサク(満作)
・マンサク科マンサク属の落葉小高木。
・学名はHamamelis japonica Sieb. et Zucc.。英名は Japanese witchhazel。
・原産地は日本及び中国で、日本では、東北地方南部以西の太平洋側の山の斜面に自生する。北海道から東北地方には変種のマルバマンサクが自生し名前のごとく葉の先端が丸みを持つ。
・樹高は2―5mで10mの高木ともなる。
・開花期は、1月下旬から3月末頃までで葉がでる前に黄色い花が咲く。花弁はヒトデのようなよじれたひも状の4枚からなる。
・開花後に葉がでてくる。葉はひし形の丸みを帯びた形であり縁がギザギザになっている。
・漢方では、葉にタンニンが含まれているので止血剤として使われたようだ。
・欧米でも観賞用の木として広まる。
命名者はシーボルト(Siebold, Philipp Franz (Balthasar) von、1796-1866)とその盟友ズッカリーニ(Zuccarini, Joseph Gerhard 1797-1848)。