メキシコのサルビアとプラントハンターの物語 No45
ヒントン父子が採取したサルビアでこれまで記載してこなかったものをアルファベット順に紹介する。
9.Salvia cyanocephala Epling (1935) サルビア・シアノセパラ
(出典)INSTITUTO DE CIENCIAS NATURALES
植物標本しか見つからなかったが、サルビア・シアノセパラは、草丈100cmで、卵形の大きな葉とブルーの花を咲かせる。原産地は、メキシコからコロンビアまでの中南米で、2000mの高地の小川の近くの荒れたところに生息する。
ヒントンは、1938年11月にミチョアカン州でこれを採取するが、最初の発見者は、米国の植物学者Killip, Ellsworth Paine (1890-1968)とHazen, Tracy Elliot (1874-1943)の二人で、1922年8月にコロンビアで採取している。
10.Salvia dichlamys Epling (1939) サルビア・ディクラミス
(出典)flickr.com
サルビア・ディクラミスは、1932年7月にメヒコ州でヒントンが最初に採取した。とあるが、1909年9月にフランスの修道士で植物学者のアーセン(Arsène,Gustave Joseph Brouard 1867-1938)がミチョアカン州でこのサルビアを採取している。
円鋸歯状のグリーンの葉、花序を伸ばしそこに真っ赤な花が咲く。グリーンの萼との組み合わせが美しい。
サルビア・フルゲンス(Salvia fulgens)と似ていて、セッセ探検隊が採取したサルビアが最初なのかもわからない。
11.Salvia elongata M. Martens & Galeotti (1844) サルビア・エロンガタ
ヒントンは、サルビア・エロンガタ(Salvia elongata)を1932年10月にメヒコ州で採取しているが、最初の採取者はベルギーのプラントハンターガレオッティ(Galeotti, Henri Guillaume 1814-1858)だった。
このサルビアのビジュアルを見つけることが出来なかったが、種小名の“elongata”は、ラテン語で“細長い”を意味しているので、きっとこんな姿だったのだろう。
(写真)Salvia elongata.Kunth(1818)
(出典)Missouri Botanical Garden
長い槍の様であり、こんなサルビアもあるのかと驚きをもってこの絵をじっと眺めている。槍の穂先に花が咲き、その姿の拡大図は、左下にサルビア特有の口唇型の花の姿が描かれている。
この「Salvia elongata.Kunth(1818)」は、フンボルト探検隊が最初に採取したサルビアであり、上の絵は、盟友の植物学者ボンプランが描いたようだ。白黒の線画も味があっていいものだ。
同じ学名をつけているので似たところがあるのだろうが、近年になって「Salvia elongata M. Martens & Galeotti (1844)」は、「Salvia protracta Benth.(1848)」であり、「Salvia elongata.Kunth(1818)」は、「Salvia stachyoides Kunth(1818)」なので、別種とされていることを付け加えておこう。
この4品種はどう調べてもこれ以上違いがわからないので、私もチンプンカンプンだ。
12.Salvia excelsa Benth.(1841) サルビア・エクセルサ
ベルギーのプラントハンター、ハートウェグ(Hartweg, Karl Theodor 1812-1871)が最初に採取したサルビア・エクセルサ。ヒントンは、人生およびプラントハンターとしての活動の晩年である1940年1月にゲレーロ州でこのサルビアを採取した。
種小名の“excelsa”は、ラテン語で“高台の”を意味する。
写真・標本とも見つからなかったが、認められた学名は、「Salvia tubifera Cav(1791)」なので、セッセ探検隊かスペイン人が採取したものだろう。
このサルビア・トゥビフェラは、サルビア・ロンギスティラ(Salvia longistyla)とよく似ているが、薄い緑色の大きな葉と上を向いた真っ赤な花が素晴らしい。
(写真)Salvia tubifera Cav. (1791).
(出典)Robins salvias
13.Salvia filipes Benth.(1848) サルビア・フィリップ
太陽の沈まない国としてスペイン絶頂期の国王フェリペ二世(Felipe II, 1527-1598)の名前を冠したであろうサルビア・フィリップは、植物標本しか見つからなかった。そこに記載されている特長は、低木で白い花のサルビアということなので、現存していれば人気のサルビアとなったであろう。
最初のプラントハンターは、ハートウェグ(Hartweg, Karl Theodor 1812-1871)で、採取時期は不明だったが、1836年から1839年までメキシコを探検したのでこの時期だったのだろう。
ヒントンは、これから100年たった1939年11月にゲレーロ州でこのサルビアを採取している。
(出典)ニューヨーク植物園
ヒントン父子が採取したサルビアでこれまで記載してこなかったものをアルファベット順に紹介する。
9.Salvia cyanocephala Epling (1935) サルビア・シアノセパラ
(出典)INSTITUTO DE CIENCIAS NATURALES
植物標本しか見つからなかったが、サルビア・シアノセパラは、草丈100cmで、卵形の大きな葉とブルーの花を咲かせる。原産地は、メキシコからコロンビアまでの中南米で、2000mの高地の小川の近くの荒れたところに生息する。
ヒントンは、1938年11月にミチョアカン州でこれを採取するが、最初の発見者は、米国の植物学者Killip, Ellsworth Paine (1890-1968)とHazen, Tracy Elliot (1874-1943)の二人で、1922年8月にコロンビアで採取している。
10.Salvia dichlamys Epling (1939) サルビア・ディクラミス
(出典)flickr.com
サルビア・ディクラミスは、1932年7月にメヒコ州でヒントンが最初に採取した。とあるが、1909年9月にフランスの修道士で植物学者のアーセン(Arsène,Gustave Joseph Brouard 1867-1938)がミチョアカン州でこのサルビアを採取している。
円鋸歯状のグリーンの葉、花序を伸ばしそこに真っ赤な花が咲く。グリーンの萼との組み合わせが美しい。
サルビア・フルゲンス(Salvia fulgens)と似ていて、セッセ探検隊が採取したサルビアが最初なのかもわからない。
11.Salvia elongata M. Martens & Galeotti (1844) サルビア・エロンガタ
ヒントンは、サルビア・エロンガタ(Salvia elongata)を1932年10月にメヒコ州で採取しているが、最初の採取者はベルギーのプラントハンターガレオッティ(Galeotti, Henri Guillaume 1814-1858)だった。
このサルビアのビジュアルを見つけることが出来なかったが、種小名の“elongata”は、ラテン語で“細長い”を意味しているので、きっとこんな姿だったのだろう。
(写真)Salvia elongata.Kunth(1818)
(出典)Missouri Botanical Garden
長い槍の様であり、こんなサルビアもあるのかと驚きをもってこの絵をじっと眺めている。槍の穂先に花が咲き、その姿の拡大図は、左下にサルビア特有の口唇型の花の姿が描かれている。
この「Salvia elongata.Kunth(1818)」は、フンボルト探検隊が最初に採取したサルビアであり、上の絵は、盟友の植物学者ボンプランが描いたようだ。白黒の線画も味があっていいものだ。
同じ学名をつけているので似たところがあるのだろうが、近年になって「Salvia elongata M. Martens & Galeotti (1844)」は、「Salvia protracta Benth.(1848)」であり、「Salvia elongata.Kunth(1818)」は、「Salvia stachyoides Kunth(1818)」なので、別種とされていることを付け加えておこう。
この4品種はどう調べてもこれ以上違いがわからないので、私もチンプンカンプンだ。
12.Salvia excelsa Benth.(1841) サルビア・エクセルサ
ベルギーのプラントハンター、ハートウェグ(Hartweg, Karl Theodor 1812-1871)が最初に採取したサルビア・エクセルサ。ヒントンは、人生およびプラントハンターとしての活動の晩年である1940年1月にゲレーロ州でこのサルビアを採取した。
種小名の“excelsa”は、ラテン語で“高台の”を意味する。
写真・標本とも見つからなかったが、認められた学名は、「Salvia tubifera Cav(1791)」なので、セッセ探検隊かスペイン人が採取したものだろう。
このサルビア・トゥビフェラは、サルビア・ロンギスティラ(Salvia longistyla)とよく似ているが、薄い緑色の大きな葉と上を向いた真っ赤な花が素晴らしい。
(写真)Salvia tubifera Cav. (1791).
(出典)Robins salvias
13.Salvia filipes Benth.(1848) サルビア・フィリップ
太陽の沈まない国としてスペイン絶頂期の国王フェリペ二世(Felipe II, 1527-1598)の名前を冠したであろうサルビア・フィリップは、植物標本しか見つからなかった。そこに記載されている特長は、低木で白い花のサルビアということなので、現存していれば人気のサルビアとなったであろう。
最初のプラントハンターは、ハートウェグ(Hartweg, Karl Theodor 1812-1871)で、採取時期は不明だったが、1836年から1839年までメキシコを探検したのでこの時期だったのだろう。
ヒントンは、これから100年たった1939年11月にゲレーロ州でこのサルビアを採取している。
(出典)ニューヨーク植物園
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