天津ドーナツ

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口・唇・舌・喉の巻 ① …元NHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2011-11-06 11:20:36 | 日本語学習法
(月の初めは“体ことば”です。足から遂に“口”に上がってきました。さすがに“口”ともなると、私のような“へらず口”が、昔っから多いと見えて、いや、あるはあるは、集めたサンプルを全部消化するわけにはいかなくなりました。それでも、日本人の“体ことば”の使い回しは実に面白く、変化に富んでいますので、もったいないと、2回に分けてご紹介いたしましょう。◎は、日本語初心者用です。)

◎ 口も八丁・手も八丁、口叩きの手足らず、口幅ったいのは差し出口、口さがない奴へらず口、口うるさい奴カラス口、口が上手な口舌の徒、憎まれ口は切り口上、口のへらない野郎だねえ、世間の口に戸はたてられぬ。

* “隅から口出すソバヤの湯桶”、辛口・甘口・濃い口・薄口、喉をうるおし・喉しめし、
口が寂しい口慰み、口に合わない口直し、口が奢って口が肥え、口を拭って食わんクワン。
 (そば屋で出す湯桶の口は、なぜか角に湯口があり、入っているのは“湯・ユウ”ばかり)

* あっけにとられて開いた口、大口・受け口・阿呆口、開いた口はふさがらない、開口一番・長広舌、毒舌・饒舌・減らず口、口をとがらせ口答え・口ばっかりの軽口・閉口、口ほどにない冗談口、宵の口から無駄口叩き、口車に乗せられて、一杯食わされ・ああ口惜しや後口悪し、“くちびる寒し秋の風”。
 (長広舌・広長舌・・・・・仏様の舌は長くて広い。お説教のために・・・)

* 口が酸っぱくなるほどに、口角泡を飛ばしたものの、口が渇いて舌の根乾く、喉はカラカラ干からびて、喉を通らぬ食事でも、咽元過ぎれば熱さも忘れ、喉をしめして、死人に口なし言いたい放題、一口両舌(いっこうりょうぜつ)二枚舌、うさのはけ口あくたれ口、陰口・毒舌、口が裂けても言えないことを、つい口滑らせて・口走る。

* ニワトリの喉を絞めたる喉自慢、喉が鳴る鳴る 喉馴らし、口ずさんでは口慣らす、 口を揃えてドレミファソラソ、喉につかえた猫の舌、鶏口・鰐口・銃口・人口、虎口を脱しはしたけれど、喉を絞めては咽いがらっぽい。

*  〃〃〃〃“四百づつ、両方へ売る仲人口”〃〃〃
・・・・・口先三寸・舌先三寸、先口肝心、三百代言・口説きの上手、仲人口は口舌の徒、追従口の口達者、弁舌さわやか・饒舌・巻き舌、舌の回るは早口言葉、薫風咽より来たり口中微涼を生じたり、ハマの二つは唇の軽重・開口・滑舌・滑らか、舌の回ることゼニゴマが裸足で逃げまする。
 (口先だけでうまく相手をあしらうこと」という意味を持つ言葉に「舌先三寸」という)

* “遠くから口説くを見れば馬鹿なよう” 
 昔、川柳子は読みました。でもね、近くで聞いてもアホダラ経の口写し、語り口は臆病口の口移し、聞いちゃあいられぬ咽詰まり、むっつり何とか口臭ふんぷん口内炎・・・口説かれる身にもなってごらん。

* 上がり口に斜に構え、きざな口利き袖口捲り、「七つ口は別口なのさ貝の口」、世間の口に抜け口はなし。
 (七つ口:江戸城大奥の出入り口、日暮れの六つが鳴る前の、七つの鐘で閉められる。
  貝の口:男の角帯の結び方)