初めは“柳腰”答弁から、ふらりと出発しましたが、どうやら日本語の市井の“ことば”は、体“ことば”なしでは成り立ちませんね。日本語の中枢にしっかり組み込まれています。それが実感です。
まだ、鍋底についた汁を舐めるなら、続けることも出来るのですが、これで一応の区切りといたします。次回からは、日本語の音の持つイメージやら、オノマトペやら、愉快な用法を拾ってみることにいたしましょう。では、最後の「目・眼・瞳」です。
いつものように、◎印は、日本語初心者向けです。
◎ 衆目の耳目(ジモク)を集めて、目がくらみ。目新しいことには目を疑って、人目につくな目立つでないぞ。目と鼻の先で、目が会えば近目になるし、目を転じれば目が届く、目を遊ばせて目を覚ませ、目に付いたなら目を通せ、目を奪われたら目が曇る、目を凝らしたら目にしみる。目に角たてれば目付きが悪い、目を丸くして目を回せ、目の色変えて目は点になる。
* 目を皿にした目利きの目明かし、見附の辺りを見詰める目付き、目こぼしないかと目をこらす。この目障りな目の上のタンコブに、眼(ガン)をつけたは賊の頭目、縄目の恥はかくまいと、人目を盗んだつもりでも、壁に耳あり障子に目あり、隣の窓には覗き眼鏡のレンズがキラリ、双眼鏡か天眼鏡か、複眼・単眼・乱視の遠視、目を光らせる監視カメラは疑いの眼差しか。
* 金の切れ目が縁(エニシ)の切れ目、そこが付け目だ百年目、お目見え奉公目付きが悪い、薄目を開けて横目で見れば、“アッカンベ”して一目散、金目(カネメ)の象眼(ゾウガン)持って逃げ。
ーーー註;“アッカンベ” 拒否 からかい 下瞼の赤い裏をみせてーーー
◎ 夜目遠目、寄り目にひが目にひんがら目、素人目にはドングリ眼、贔屓目にみても二枚目とは言われまい、眉目秀麗(ビモクシュウレイ)見目うるわしき人にあこがれて、逆上せ目(ノボセメ)高じて色目を使う、眼科に通って目尻を上げて、節目を撰んで伏し目がち。
* 青眼に構えた浪人・目の付け所、心眼・正眼・目にモノ言わす。相手の家臣は目一杯、勝ち目はないと殿に目配せ、「勝負はこれまで。仕官は叶った目通り許す」と危ない目をば救われる。
* 諸国大名は弓矢で殺す。糸屋の娘は目で殺す。殺して貰えぬ町の若衆白眼視、娘は睫毛パチパチ目が早い、焦眉の急と目頭熱く、柳眉逆立て眉ひそめ、人目引こうと目玉商品、大売り出し!
* “目ン無い千鳥”は目隠し鬼の、亡き盲目の妻を想う、目と目で交わしたあの日の出会い、月に映した面影目をかすめ、曲目見るたび、目に浮かぶ。
* 目から火が出るガチンコ相撲、出来た目の上タンコブ二つ、右の目の隈・眼帯付けて、脇目も振らずにフンドシの結び目掴むや、目にも止まらぬ早業めざまし、目にモノ見せたぞ目の敵(カタキ)、目の肥えた客の目をも楽しませ。
* 三度目の正直、潮目が変わった、賽の目には注目しろ、ぞろ目が出たら押し目で買えよ、勝ち目がないときゃ斜眼に構え、目を楽しませれば出目がくる、面目・要目・不面目、死に目にあったら題目唱えて、瞑目・徳目・目を閉じろ。
* 生真面目(キマジメ)な目上の小言はいつでも堅目、あんなの目じゃあない尻目にかけろ、二言目には「目一杯」にと、破れ目・曲がり目・病み目に着目、冬の流行目(ハヤリメ)気をつけろ、口はともかく目は届く、目に一丁字もないのが引け目となって、裏目にでたのは負い目ゆえ、視線を伏せて目を覆う、大目に見たのが運の尽き。
* 頭の後ろに目はないが、目籠(メカゴ)は目だらけ荒目の作り、編み目に網の目・境目見えぬ、裂け目に要心・厚目の竹をあぶるは百目ロウソク、目を逸らせるな瞳を凝らせ。
* 三草二目は法華経、俳諧式目連歌の目次、ウオの目つらいぞ憂き目にあって、焦げ目をつけるは五目飯、品目・天目・審美眼、落ち目の跡目に反目あって、弱り目・祟り目・三白眼、まなじり決して一目散、台風の目は鬼の目か・・・これで“体ことば”一巻目の終わりでございます。
ーーーーー
・・・川柳 ・・・
“嫁の顔 眼鏡の外で じろりと見”・・・・姑の眼鏡にかなう嫁はなし。
♪♪ーーー 夫婦げんか 謝りそびれて目と目が冴えて、
二人でみている蛇の目傘、言いたいことも聞きたさも、
目と目が曇る千万無量ーーー
まだ、鍋底についた汁を舐めるなら、続けることも出来るのですが、これで一応の区切りといたします。次回からは、日本語の音の持つイメージやら、オノマトペやら、愉快な用法を拾ってみることにいたしましょう。では、最後の「目・眼・瞳」です。
いつものように、◎印は、日本語初心者向けです。
◎ 衆目の耳目(ジモク)を集めて、目がくらみ。目新しいことには目を疑って、人目につくな目立つでないぞ。目と鼻の先で、目が会えば近目になるし、目を転じれば目が届く、目を遊ばせて目を覚ませ、目に付いたなら目を通せ、目を奪われたら目が曇る、目を凝らしたら目にしみる。目に角たてれば目付きが悪い、目を丸くして目を回せ、目の色変えて目は点になる。
* 目を皿にした目利きの目明かし、見附の辺りを見詰める目付き、目こぼしないかと目をこらす。この目障りな目の上のタンコブに、眼(ガン)をつけたは賊の頭目、縄目の恥はかくまいと、人目を盗んだつもりでも、壁に耳あり障子に目あり、隣の窓には覗き眼鏡のレンズがキラリ、双眼鏡か天眼鏡か、複眼・単眼・乱視の遠視、目を光らせる監視カメラは疑いの眼差しか。
* 金の切れ目が縁(エニシ)の切れ目、そこが付け目だ百年目、お目見え奉公目付きが悪い、薄目を開けて横目で見れば、“アッカンベ”して一目散、金目(カネメ)の象眼(ゾウガン)持って逃げ。
ーーー註;“アッカンベ” 拒否 からかい 下瞼の赤い裏をみせてーーー
◎ 夜目遠目、寄り目にひが目にひんがら目、素人目にはドングリ眼、贔屓目にみても二枚目とは言われまい、眉目秀麗(ビモクシュウレイ)見目うるわしき人にあこがれて、逆上せ目(ノボセメ)高じて色目を使う、眼科に通って目尻を上げて、節目を撰んで伏し目がち。
* 青眼に構えた浪人・目の付け所、心眼・正眼・目にモノ言わす。相手の家臣は目一杯、勝ち目はないと殿に目配せ、「勝負はこれまで。仕官は叶った目通り許す」と危ない目をば救われる。
* 諸国大名は弓矢で殺す。糸屋の娘は目で殺す。殺して貰えぬ町の若衆白眼視、娘は睫毛パチパチ目が早い、焦眉の急と目頭熱く、柳眉逆立て眉ひそめ、人目引こうと目玉商品、大売り出し!
* “目ン無い千鳥”は目隠し鬼の、亡き盲目の妻を想う、目と目で交わしたあの日の出会い、月に映した面影目をかすめ、曲目見るたび、目に浮かぶ。
* 目から火が出るガチンコ相撲、出来た目の上タンコブ二つ、右の目の隈・眼帯付けて、脇目も振らずにフンドシの結び目掴むや、目にも止まらぬ早業めざまし、目にモノ見せたぞ目の敵(カタキ)、目の肥えた客の目をも楽しませ。
* 三度目の正直、潮目が変わった、賽の目には注目しろ、ぞろ目が出たら押し目で買えよ、勝ち目がないときゃ斜眼に構え、目を楽しませれば出目がくる、面目・要目・不面目、死に目にあったら題目唱えて、瞑目・徳目・目を閉じろ。
* 生真面目(キマジメ)な目上の小言はいつでも堅目、あんなの目じゃあない尻目にかけろ、二言目には「目一杯」にと、破れ目・曲がり目・病み目に着目、冬の流行目(ハヤリメ)気をつけろ、口はともかく目は届く、目に一丁字もないのが引け目となって、裏目にでたのは負い目ゆえ、視線を伏せて目を覆う、大目に見たのが運の尽き。
* 頭の後ろに目はないが、目籠(メカゴ)は目だらけ荒目の作り、編み目に網の目・境目見えぬ、裂け目に要心・厚目の竹をあぶるは百目ロウソク、目を逸らせるな瞳を凝らせ。
* 三草二目は法華経、俳諧式目連歌の目次、ウオの目つらいぞ憂き目にあって、焦げ目をつけるは五目飯、品目・天目・審美眼、落ち目の跡目に反目あって、弱り目・祟り目・三白眼、まなじり決して一目散、台風の目は鬼の目か・・・これで“体ことば”一巻目の終わりでございます。
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・・・川柳 ・・・
“嫁の顔 眼鏡の外で じろりと見”・・・・姑の眼鏡にかなう嫁はなし。
♪♪ーーー 夫婦げんか 謝りそびれて目と目が冴えて、
二人でみている蛇の目傘、言いたいことも聞きたさも、
目と目が曇る千万無量ーーー