炎天下、青空がうらめしい。
昨日(17日)のこと、日陰をよって歩いていたら、電信柱から、蝉の声が降ってきた。
・・・ツウク ツク ツク ボウシー ツクツクボウシー ツクツクボウシーー・・・
何と、秋の蝉ではないか。
「うへっ このクソ暑いのに、気の早い・・・」
連日の暑さに、地下の蝉も耐えきれなくなったか。
8・6も終わった。8・9も、8・15も過ぎていった。
昔、見渡す限りの焼け跡に真っ赤な花が咲いていた。
あの夾竹桃の赤が、私の心に刃を立てたのだ。
だから、あの花が、未だに好きになれないでいる。
早く終われ!八月よ。
鎮魂の夏よ。
この悲しさは、オレの心には重すぎる。
テレビを点けると、甲子園だ。
小学生時代、私は阪神沿線の鳴尾村に住んでいた。
今では西宮市に合併されているけどね。
あの頃の夏休みは、やたらに楽しかったな。
ラジオをつけると、当時の中等野球の歓声が響く。(今の高校野球)
ヒットを打ったのか、長打らしいぞ。
一呼吸置いて、500メートル程離れた甲子園球場から、生の歓声が風に乗って聞こえる。
この時間差が、小学生には、不思議でならなかった。
「なぜラジオの方が早いんだ!」
何はともかく、昼飯もそこそこに、外野の入り口に向かう。
グランドの歓声が一際高く、聞こえる。
ギンラギンラ、陽ざしが白一色の客席を焦がしている。
外野席は、小人・無料。
「カチワリ!」
「マイドー!」
氷を割るオヤジの手の動きが待ちきれない。
ソフトアイスのコーンの形に紙を巻き、鋭い目抜きで“カチ割った”氷は、光るガラス色。
そいつを、引ったくるようにして、外野の階段を駆け昇る。
グランド全体が揺れている。
「チャンスだ」
白い帽子の応援団が乱舞する。
・・・
野球という奴は、どちらか一方を応援していないと、間延びした、退屈なスポーツになる。
当然、どちらかを応援する。
「ボクはコッチ」
「じゃ オレはアッチ」
私の流儀は、弱そうなチーム、前評判の低いチームと決めていた。
特段、該当するチームでないときには、白い帽子のチームに決める。
紺色だの黒っぽい帽子は、なんとなく大人びて、強そうに思えるんだ。
時には、両校とも白い帽子の組み合わせもある。
そのときは、投手の小さい方を撰ぶ。
今と違って、赤だの空色だのという帽子は皆無だったな。
空いた席の辺りで、鬼ごっこの仲間入りをする。
かけずり回りながら、グランドの歓声が高まると、足を止める。
指を二本出して叫ぶ。
「ミッキ ミッキ」・・・(タンマのことだよ)
時には夕暮れになっても勝負がつかぬことがある。
腹が減ってくる。
一人帰り、二人減る。
「もう帰るか・・・」
グッショリ濡れたシャツ、足取りは重い。
あとにした球場から、追い掛けるように、どっと歓声が上がった。
足を止めて、振り返る。
「白いチームが勝ったのかな」
そうだ、思い出した・・・
毎年、準決勝か準々決勝の頃になると、決まって、秋を告げるイワシ雲が空に浮かんだっけ。
不思議にそうなんだよ。
・・・
今でもね
昨日(17日)のこと、日陰をよって歩いていたら、電信柱から、蝉の声が降ってきた。
・・・ツウク ツク ツク ボウシー ツクツクボウシー ツクツクボウシーー・・・
何と、秋の蝉ではないか。
「うへっ このクソ暑いのに、気の早い・・・」
連日の暑さに、地下の蝉も耐えきれなくなったか。
8・6も終わった。8・9も、8・15も過ぎていった。
昔、見渡す限りの焼け跡に真っ赤な花が咲いていた。
あの夾竹桃の赤が、私の心に刃を立てたのだ。
だから、あの花が、未だに好きになれないでいる。
早く終われ!八月よ。
鎮魂の夏よ。
この悲しさは、オレの心には重すぎる。
テレビを点けると、甲子園だ。
小学生時代、私は阪神沿線の鳴尾村に住んでいた。
今では西宮市に合併されているけどね。
あの頃の夏休みは、やたらに楽しかったな。
ラジオをつけると、当時の中等野球の歓声が響く。(今の高校野球)
ヒットを打ったのか、長打らしいぞ。
一呼吸置いて、500メートル程離れた甲子園球場から、生の歓声が風に乗って聞こえる。
この時間差が、小学生には、不思議でならなかった。
「なぜラジオの方が早いんだ!」
何はともかく、昼飯もそこそこに、外野の入り口に向かう。
グランドの歓声が一際高く、聞こえる。
ギンラギンラ、陽ざしが白一色の客席を焦がしている。
外野席は、小人・無料。
「カチワリ!」
「マイドー!」
氷を割るオヤジの手の動きが待ちきれない。
ソフトアイスのコーンの形に紙を巻き、鋭い目抜きで“カチ割った”氷は、光るガラス色。
そいつを、引ったくるようにして、外野の階段を駆け昇る。
グランド全体が揺れている。
「チャンスだ」
白い帽子の応援団が乱舞する。
・・・
野球という奴は、どちらか一方を応援していないと、間延びした、退屈なスポーツになる。
当然、どちらかを応援する。
「ボクはコッチ」
「じゃ オレはアッチ」
私の流儀は、弱そうなチーム、前評判の低いチームと決めていた。
特段、該当するチームでないときには、白い帽子のチームに決める。
紺色だの黒っぽい帽子は、なんとなく大人びて、強そうに思えるんだ。
時には、両校とも白い帽子の組み合わせもある。
そのときは、投手の小さい方を撰ぶ。
今と違って、赤だの空色だのという帽子は皆無だったな。
空いた席の辺りで、鬼ごっこの仲間入りをする。
かけずり回りながら、グランドの歓声が高まると、足を止める。
指を二本出して叫ぶ。
「ミッキ ミッキ」・・・(タンマのことだよ)
時には夕暮れになっても勝負がつかぬことがある。
腹が減ってくる。
一人帰り、二人減る。
「もう帰るか・・・」
グッショリ濡れたシャツ、足取りは重い。
あとにした球場から、追い掛けるように、どっと歓声が上がった。
足を止めて、振り返る。
「白いチームが勝ったのかな」
そうだ、思い出した・・・
毎年、準決勝か準々決勝の頃になると、決まって、秋を告げるイワシ雲が空に浮かんだっけ。
不思議にそうなんだよ。
・・・
今でもね