第1回ドーナツ杯天津市PKスピーチコンテスト(2011年11月5日 天津工業大学)
今年の一月に書き始めた「50音図の落とし穴」ですが、もう10回を数えたでしょうか。
初めに取り上げた「サ行」や「タ行」の「落とし穴」は、その行の、音の変化として気をつければ済むのですが、「ハ行」の反乱ともなりますと、音の混乱ばかりでなく、表記と音の乖離、「仮名遣い」にまで、波紋を広げるに至りました。
9月にも書いたように、新らしもの好きな江戸の学者たちが、「漢音のh音」を、日本語の音として定着させようとして、「は行」を強引に乗っ取り、それまでの「ふぁ ふぃ ふ ふぇ ふぉ」という音を追い出してしまったのですね。
この音の集団移動は、どおうやら語頭にくる音が中心だったようです。
その語頭の場合も、「ハヒ ヘホ」は、なんとか収まりましたが、「フ」は未だに落ち着かず、宙ぶらりんです。
また、語中にくるハ行は、表記は「〜は」で音は「〜wa」、「ひ」と書いて「i」、「ふ」と書いて「u」、「へ」と書いて「e」、「ほ」と書いて「o」と読むなど、表記と音との分裂を招き、旧仮名遣いの複雑さを、一深めてしまいました。
でも、それだけで、これまであった音列が、全部収まった訳ではありませんし、「ファ行音」は、多くの地方語にしっかりと根付いておりました。
問題は、なぜそれほど無理をして、“50音図の中に居場所を探さなければならなかったのか”ということなのですが・・・それには、時代の背景がありました。そのことに触れると少し長くなりますので、これは、のちほど、しっかりと書きましょう。
今回の話は、そのすぐあとに、西欧から救いの手が伸びてきましたことです。
いわゆるカタカナ語の定着です。
もともと「f音」と混同されがちだった「ph音」は、ここでも混同されながらですが、ともかく復活を遂げるのです。
50音図の脇役としては、拗音の表があります。
「きゃ きゅ きょ」とか「しゃ しゅ しょ」、「にゃ にゅ にょ」、「ひゃ ひゅ ひょ」など、イ段の母音を持つ拗音ですが、この別枠に「ファ フェ フォ」というカナ表記が、当然のこととしてですが生まれたのです。
これも、新しもの好きの日本人の習性でしょうが・・・
私は、これを「ファ フィ フ フェ フォ」として、50音の一行とすればよかろうと考えております・・・でも、そう考える人は、まだ少数派です。
多くの学者諸兄の数える、日本語の「拍の数」がマチマチなのも、この音列の「どれを認めどれを認めないか」にかかっている気配があります。
勿論、「フ」については問題がありませんね。問題は、それ以外の表記を、日本語と認めるかどうかですね。
いまのところ、この行は、外来語だけに用いられる、50音表の番外としての存在なのですが・・・
競馬のファン、野球のファン ファンタジーのファン・・・いずれも本当は「f」の音なのですが、日本人が外来語として発音するのは、殆ど「ph」の両唇音なのです。
フェンシングはどうでしょう。垣根・フェンス、フェロモン、フェーン現象・・・も、カタカナ日本語として定着しています。
また、フォルム・フォーム(投球の)、フォーカス(焦点)、フォーク(食器)も、もう日本語として欠かせない言葉になっています。
いまのところ、語彙の少ないのは「フィ」です。
それでも、電球のフィラメント、球場のフィールド、フィジカル、フィックス、フィルム、フィルハーモニー・・・ことに最後の例は元音も「ph音」ですね。
さて、この音列を、正式な日本語の表記と位置づけるかどうか・・・ま、認める可能性は低いのではないか・・・認めたとしても・・・恐らく、時間が掛かると思いますねえ・・・
来月は、「ヤ行 ワ行に子音はない!」です。
初めに取り上げた「サ行」や「タ行」の「落とし穴」は、その行の、音の変化として気をつければ済むのですが、「ハ行」の反乱ともなりますと、音の混乱ばかりでなく、表記と音の乖離、「仮名遣い」にまで、波紋を広げるに至りました。
9月にも書いたように、新らしもの好きな江戸の学者たちが、「漢音のh音」を、日本語の音として定着させようとして、「は行」を強引に乗っ取り、それまでの「ふぁ ふぃ ふ ふぇ ふぉ」という音を追い出してしまったのですね。
この音の集団移動は、どおうやら語頭にくる音が中心だったようです。
その語頭の場合も、「ハヒ ヘホ」は、なんとか収まりましたが、「フ」は未だに落ち着かず、宙ぶらりんです。
また、語中にくるハ行は、表記は「〜は」で音は「〜wa」、「ひ」と書いて「i」、「ふ」と書いて「u」、「へ」と書いて「e」、「ほ」と書いて「o」と読むなど、表記と音との分裂を招き、旧仮名遣いの複雑さを、一深めてしまいました。
でも、それだけで、これまであった音列が、全部収まった訳ではありませんし、「ファ行音」は、多くの地方語にしっかりと根付いておりました。
問題は、なぜそれほど無理をして、“50音図の中に居場所を探さなければならなかったのか”ということなのですが・・・それには、時代の背景がありました。そのことに触れると少し長くなりますので、これは、のちほど、しっかりと書きましょう。
今回の話は、そのすぐあとに、西欧から救いの手が伸びてきましたことです。
いわゆるカタカナ語の定着です。
もともと「f音」と混同されがちだった「ph音」は、ここでも混同されながらですが、ともかく復活を遂げるのです。
50音図の脇役としては、拗音の表があります。
「きゃ きゅ きょ」とか「しゃ しゅ しょ」、「にゃ にゅ にょ」、「ひゃ ひゅ ひょ」など、イ段の母音を持つ拗音ですが、この別枠に「ファ フェ フォ」というカナ表記が、当然のこととしてですが生まれたのです。
これも、新しもの好きの日本人の習性でしょうが・・・
私は、これを「ファ フィ フ フェ フォ」として、50音の一行とすればよかろうと考えております・・・でも、そう考える人は、まだ少数派です。
多くの学者諸兄の数える、日本語の「拍の数」がマチマチなのも、この音列の「どれを認めどれを認めないか」にかかっている気配があります。
勿論、「フ」については問題がありませんね。問題は、それ以外の表記を、日本語と認めるかどうかですね。
いまのところ、この行は、外来語だけに用いられる、50音表の番外としての存在なのですが・・・
競馬のファン、野球のファン ファンタジーのファン・・・いずれも本当は「f」の音なのですが、日本人が外来語として発音するのは、殆ど「ph」の両唇音なのです。
フェンシングはどうでしょう。垣根・フェンス、フェロモン、フェーン現象・・・も、カタカナ日本語として定着しています。
また、フォルム・フォーム(投球の)、フォーカス(焦点)、フォーク(食器)も、もう日本語として欠かせない言葉になっています。
いまのところ、語彙の少ないのは「フィ」です。
それでも、電球のフィラメント、球場のフィールド、フィジカル、フィックス、フィルム、フィルハーモニー・・・ことに最後の例は元音も「ph音」ですね。
さて、この音列を、正式な日本語の表記と位置づけるかどうか・・・ま、認める可能性は低いのではないか・・・認めたとしても・・・恐らく、時間が掛かると思いますねえ・・・
来月は、「ヤ行 ワ行に子音はない!」です。
(月の初めは“体ことば”です。足から遂に“口”に上がってきました。さすがに“口”ともなると、私のような“へらず口”が、昔っから多いと見えて、いや、あるはあるは、集めたサンプルを全部消化するわけにはいかなくなりました。それでも、日本人の“体ことば”の使い回しは実に面白く、変化に富んでいますので、もったいないと、2回に分けてご紹介いたしましょう。◎は、日本語初心者用です。)
◎ 口も八丁・手も八丁、口叩きの手足らず、口幅ったいのは差し出口、口さがない奴へらず口、口うるさい奴カラス口、口が上手な口舌の徒、憎まれ口は切り口上、口のへらない野郎だねえ、世間の口に戸はたてられぬ。
* “隅から口出すソバヤの湯桶”、辛口・甘口・濃い口・薄口、喉をうるおし・喉しめし、
口が寂しい口慰み、口に合わない口直し、口が奢って口が肥え、口を拭って食わんクワン。
(そば屋で出す湯桶の口は、なぜか角に湯口があり、入っているのは“湯・ユウ”ばかり)
* あっけにとられて開いた口、大口・受け口・阿呆口、開いた口はふさがらない、開口一番・長広舌、毒舌・饒舌・減らず口、口をとがらせ口答え・口ばっかりの軽口・閉口、口ほどにない冗談口、宵の口から無駄口叩き、口車に乗せられて、一杯食わされ・ああ口惜しや後口悪し、“くちびる寒し秋の風”。
(長広舌・広長舌・・・・・仏様の舌は長くて広い。お説教のために・・・)
* 口が酸っぱくなるほどに、口角泡を飛ばしたものの、口が渇いて舌の根乾く、喉はカラカラ干からびて、喉を通らぬ食事でも、咽元過ぎれば熱さも忘れ、喉をしめして、死人に口なし言いたい放題、一口両舌(いっこうりょうぜつ)二枚舌、うさのはけ口あくたれ口、陰口・毒舌、口が裂けても言えないことを、つい口滑らせて・口走る。
* ニワトリの喉を絞めたる喉自慢、喉が鳴る鳴る 喉馴らし、口ずさんでは口慣らす、 口を揃えてドレミファソラソ、喉につかえた猫の舌、鶏口・鰐口・銃口・人口、虎口を脱しはしたけれど、喉を絞めては咽いがらっぽい。
* 〃〃〃〃“四百づつ、両方へ売る仲人口”〃〃〃
・・・・・口先三寸・舌先三寸、先口肝心、三百代言・口説きの上手、仲人口は口舌の徒、追従口の口達者、弁舌さわやか・饒舌・巻き舌、舌の回るは早口言葉、薫風咽より来たり口中微涼を生じたり、ハマの二つは唇の軽重・開口・滑舌・滑らか、舌の回ることゼニゴマが裸足で逃げまする。
(口先だけでうまく相手をあしらうこと」という意味を持つ言葉に「舌先三寸」という)
* “遠くから口説くを見れば馬鹿なよう”
昔、川柳子は読みました。でもね、近くで聞いてもアホダラ経の口写し、語り口は臆病口の口移し、聞いちゃあいられぬ咽詰まり、むっつり何とか口臭ふんぷん口内炎・・・口説かれる身にもなってごらん。
* 上がり口に斜に構え、きざな口利き袖口捲り、「七つ口は別口なのさ貝の口」、世間の口に抜け口はなし。
(七つ口:江戸城大奥の出入り口、日暮れの六つが鳴る前の、七つの鐘で閉められる。
貝の口:男の角帯の結び方)
◎ 口も八丁・手も八丁、口叩きの手足らず、口幅ったいのは差し出口、口さがない奴へらず口、口うるさい奴カラス口、口が上手な口舌の徒、憎まれ口は切り口上、口のへらない野郎だねえ、世間の口に戸はたてられぬ。
* “隅から口出すソバヤの湯桶”、辛口・甘口・濃い口・薄口、喉をうるおし・喉しめし、
口が寂しい口慰み、口に合わない口直し、口が奢って口が肥え、口を拭って食わんクワン。
(そば屋で出す湯桶の口は、なぜか角に湯口があり、入っているのは“湯・ユウ”ばかり)
* あっけにとられて開いた口、大口・受け口・阿呆口、開いた口はふさがらない、開口一番・長広舌、毒舌・饒舌・減らず口、口をとがらせ口答え・口ばっかりの軽口・閉口、口ほどにない冗談口、宵の口から無駄口叩き、口車に乗せられて、一杯食わされ・ああ口惜しや後口悪し、“くちびる寒し秋の風”。
(長広舌・広長舌・・・・・仏様の舌は長くて広い。お説教のために・・・)
* 口が酸っぱくなるほどに、口角泡を飛ばしたものの、口が渇いて舌の根乾く、喉はカラカラ干からびて、喉を通らぬ食事でも、咽元過ぎれば熱さも忘れ、喉をしめして、死人に口なし言いたい放題、一口両舌(いっこうりょうぜつ)二枚舌、うさのはけ口あくたれ口、陰口・毒舌、口が裂けても言えないことを、つい口滑らせて・口走る。
* ニワトリの喉を絞めたる喉自慢、喉が鳴る鳴る 喉馴らし、口ずさんでは口慣らす、 口を揃えてドレミファソラソ、喉につかえた猫の舌、鶏口・鰐口・銃口・人口、虎口を脱しはしたけれど、喉を絞めては咽いがらっぽい。
* 〃〃〃〃“四百づつ、両方へ売る仲人口”〃〃〃
・・・・・口先三寸・舌先三寸、先口肝心、三百代言・口説きの上手、仲人口は口舌の徒、追従口の口達者、弁舌さわやか・饒舌・巻き舌、舌の回るは早口言葉、薫風咽より来たり口中微涼を生じたり、ハマの二つは唇の軽重・開口・滑舌・滑らか、舌の回ることゼニゴマが裸足で逃げまする。
(口先だけでうまく相手をあしらうこと」という意味を持つ言葉に「舌先三寸」という)
* “遠くから口説くを見れば馬鹿なよう”
昔、川柳子は読みました。でもね、近くで聞いてもアホダラ経の口写し、語り口は臆病口の口移し、聞いちゃあいられぬ咽詰まり、むっつり何とか口臭ふんぷん口内炎・・・口説かれる身にもなってごらん。
* 上がり口に斜に構え、きざな口利き袖口捲り、「七つ口は別口なのさ貝の口」、世間の口に抜け口はなし。
(七つ口:江戸城大奥の出入り口、日暮れの六つが鳴る前の、七つの鐘で閉められる。
貝の口:男の角帯の結び方)
1.スポンサー
日本料理店…2つ
ユニクロ…日本の本社の許可を得ていますし、報告もされます。
南開大学出版社
津菱物流…日本の商品を宅配してくれる会社です
ガンガンデリカテッセン…日本人経営のパン屋さんです。天津と北京にお店があります。
カシオ…説明不要ですね。
2.ゲスト
北京の日本人留学生
中国日本人留学生ネットワーク天津代表
天津市の日本人留学生
日本企業の方
日本語の雑誌社…コンテストの告知・取材をしてくれます
ドーナツOB
3.審査員
4つの大学の日本語科主任
4人の日本語教師
3人の企業のかた
4.11の大学から24人の選手
5.30人以上のコンテストスタッフ
6.各大学のドーナツメンバー
7.当日、聞きに来てくれる各大学の学生
8.報告先
国際交流基金北京日本文化センター
海外青年協力隊の日本語教師の方
日本語教育学会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このうち、もっとも大切なのは、5のコンテストスタッフだと私は考えています。
その人たちが、「もう一度やりたい」と思わなかったら次はありません。
日本料理店…2つ
ユニクロ…日本の本社の許可を得ていますし、報告もされます。
南開大学出版社
津菱物流…日本の商品を宅配してくれる会社です
ガンガンデリカテッセン…日本人経営のパン屋さんです。天津と北京にお店があります。
カシオ…説明不要ですね。
2.ゲスト
北京の日本人留学生
中国日本人留学生ネットワーク天津代表
天津市の日本人留学生
日本企業の方
日本語の雑誌社…コンテストの告知・取材をしてくれます
ドーナツOB
3.審査員
4つの大学の日本語科主任
4人の日本語教師
3人の企業のかた
4.11の大学から24人の選手
5.30人以上のコンテストスタッフ
6.各大学のドーナツメンバー
7.当日、聞きに来てくれる各大学の学生
8.報告先
国際交流基金北京日本文化センター
海外青年協力隊の日本語教師の方
日本語教育学会
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このうち、もっとも大切なのは、5のコンテストスタッフだと私は考えています。
その人たちが、「もう一度やりたい」と思わなかったら次はありません。