昔々、あるクラスに少人数指導で入っていたときのことです。
そのクラスの担任は全ての授業を教卓でしていました。
自力解決や作業の時、机間指導を全くしませんでした。
課題が終わったら持って来させて、教卓で丸つけをしたり、個別指導していました。
その教卓での丸つけや個別指導をしている間、課題が終わらない子ども達は、はっきり言って放置状態でした。
勉強のできない子たちは、手いたずらをし、おしゃべりをし、立ち歩きもありました。
担任は時々気付いて、教卓に座ったまま、怒鳴って子供を静かにさせようとしていましたが、ほとんどの時間は騒乱状態でした。
少人数指導であった僕が、子供たちに机間指導し、終わらない子への個別指導ました。
本来なら、担任はできない子への個別指導を先にすべきであり、終わった子への丸つけはその後のはずです。
その担任に机間指導した方がいいとアドバイスをしましたが、授業スタイルは変えてはくれませんでした。
机間指導することは、教師のスキル基本のキです。
子どもに自力解決をさせたり、練習問題などの作業をやらせる時、教師は子供たちの中に入って様子を観て回りながら、個別にアドバイスをしたり、褒めてやるべきなのです。
また、机間指導する事で、クラスに程よい緊張感を作ることができます。
教師が近くに来れば、子どもは緊張し、ちゃんとやろうとします。
脳内に、ノルアドレナリンという神経伝達物質がでて、やる気をひきだすのです。
机間指導の仕方としては、全ての子どもが観られるよう、ルートを決めておきます。
例えば、右端前の子から通路を通り、右側後ろまで、1列全員観たら、折り返して左側の子たちを後ろから前に観ていきます。その後、次の机の間の列に入り、同じく右側を観て後まで行ったら、左側を見ながら前に戻ってきます。同様に残りの列も見て、最後の左後ろの子(または左前)まで見ます。
逆ルートや、左右に机の上に指導する際も、必ず全員を観ます。
ポイントは1人に時間をかけない事です。
できている子はチラ見のみ。
5秒もかけません。
個別指導が必要な子にも、5秒から10秒程度で、一問だけアドバイスします。
どんなに長くても、1人1分まで。
1人に時間をかけると、その子は勉強ができないと、他の子に思われます。
さらに、他の子たちの机間指導の時間がなくなります。
5分でクラス一回り出来ればバッチリです。
一回り机間指導が終わったら、教卓に戻って、全部できた子に持ってこさせます。
机間指導は、1時間に1回、多くても2回で充分です。
3回以上は、自力解決や作業が多すぎです。
最初に例として挙げた先生も、机間指導してから、教卓で丸つけにすれば、教室は騒然とせず、出来ない子にも指導できるんですけどね。
もう一つだけ付け足します。
机間指導の際、終わった子に手を挙げさせる事は、NGです。
教師が丸つけに教室中を行ったり来たりする事になります。
そんな授業研を観たことがありますが、先生を待って、五分以上手を上げ続ける子たちがかわいそうでした。
机間指導は個別指導と全員を観る事、丸つけは教卓に持って来させる、きちんと分けて行うといいですよ。