怖い絵 ①

　春先だったと思う
息子がくれた　旅行券　の使用期限が迫って来て、一泊なので近場の四国で観光先を決めた
淡路から四国に渡ってすぐの場所

　大塚美術館

入場料の高い美術館として有名とも言える
しかも　偽物　ばかりの絵が掛かっている
なんて思っていたが、行くとその魅力が解る

　普通は、　触らないで下さい
　　　　　　　これ以上近づかないで！
と言われるところが
　　　　　　もっと近くでご覧ください
　　　　　　触って壁画の手触りを感じて下さい
と言われる

　それに事前の申し込みや現地での参加で、色々と　ツアー体験　できる
学芸員や美術史に詳しいボランティアの方々から詳しい説明が受けられる
私も主人も　芸術　にはとんと疎い
しかし館内に6時間余りも居たが、全く退屈しなかった
美術館を出たのは、閉館時間になった為だったが
同じように出口を出たご夫婦がこう言っていた
「もっと早く入館したかったなぁ～時間が足りなかった」
「でも昼食も船の中で済ませてたから、その分は観られると思ったのにね」

　多分、私達よりも1～2時間入館が遅かったのだろう
私たちは館内で昼食を済ませていたから～

　私たちは事前に　「怖い絵ツアー」　に参加を申し込んでいた
定員は20名余り
スタート時間になり、ぞろぞろと案内と説明をして下さる方の後に付いて出発

　「夢魔」　と言う絵も怖かった
貧しいが故に、恋人の両親から結婚を反対された画家の作品だ
画家の恋人だった女性はベッドから体を少しずり落ちさせて眠っている
夢の中で彼女はとても素敵な男性と過ごしている
しかしベッドの上の彼女の体には、恐ろしい形相の　夢魔　が座って
彼女の表情を覗き込んでいる
自分を裏切って、両親の勧める別な男性と結婚する恋人への復讐の絵

　又、真正面から観ると解らない　隠し絵　になっていてそれがメッセージになっている絵
若い男性が二人描かれているのだが、彼らは殺される運命に有る
案内をして下さる方の指示される場所から観ると
絵の中には　髑髏　や　二人の年齢や地位　が解るメッセージも隠れているのだ

　大変に美しい女性がいました
彼女は　神　から愛されます
それを利用して　永遠の命　を手に入れます
欲しかった物を手にすると、彼女はさっさと　神　を裏切って逃げ出してしまいます
その罰は・・・・神が一度与えた　永遠の命　は取り上げられないが・・・・
楚々として美しかった彼女は、筋肉粒々の一見　男性　に見えるような醜い姿に変わります
その醜い姿で　永遠を生きる　のが彼女に与えられた罰でした

　そうして絵を観ている内に、気が付けば　20名　だった筈のツアーは
物凄い数に膨れ上がっていました
申し込んでいなかった人達が、話の面白さに惹きつけられ
ツアーの一行と行動を共にし始めていました

　いえいえ！
案内人の方がツアーの人達を絵の前に呼ぶと
勝手に付いて来た家族連れが、最前列に並ぶんです
先ず子供達が私達を押しのけ最前列に～～
そしてそれに続いて両親も最前列に～～
これも一つ　怖い絵　だったように思います