冷たい手
2012-02-07 | 徒然
洗濯物を干して部屋に入ると、
手のかじかみ、ひとしお。
両手をこすり合わせながら口元に持って行く。
ふと、母の冷たい手を思い出した。
真冬の朝。母の冷たい手が、私を起こす。
「ほらほら、起きなさい」
外から帰って来た母の、冷たい手。
何故に朝から外なのかと言うと、
彼女はヤクルトおばさんであった。
当時は早朝、牛乳みたいに宅配していた。
幼い私が腸の弱い子で、それにはヤクルトが良いと聞くと、
それなら自分がその仕事やっちゃえ、という母であった。
そのためにはバイクの免許も取ってしまった。
合格の時、女性二人しか居なかった。
その人と抱き合って喜んだと言う。
やるなぁ、母。
母は強し。母は無敵。
冷たい手が呼び起こす、温かい思い出。
指先に頬の熱を吸わせながら、しばし時を旅する。
冬は、寒いだけではない。