走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

一流の客室乗務員(フライトアテンダント)

2010年06月02日 23時31分33秒 | ちょっといい話
林住職の講話第三弾。
今、なにかとお騒がせのJAL(日本航空)の国際便のフライトアテンダントの話。
林住職は、様々な企業の社員研修の講師としても活躍されておられるそうですが、よくそのネタ探しとして事前に現場スタッフの話をヒアリングされるそうです。

 そして、紹介されたフライトアテンダントに「何か想い出に残った経験はありますか?」という質問を投げかけたところ、「日々のサービスをいつもと変わらずに提供していますので、これといって想い出といわれても..」と悩まれたそうです。
事前に彼女がトップクラスのスタッフであり、超VIP対応も任されるくらい有能であると聞いていたので、この応えは意外だったそうです。

 すると急に彼女は顔を曇らせて「ひとつだけとっても忘れられないことがあります。」
林住職は「それは何ですか?」
彼女は話し始めました。

 カナダ・バンクーバー便に搭乗したときのことです。
 その日はビジネスクラスを担当させていただいたのですが、窓際に座られている男性が険しい顔をしておられたのです。
私は、おそらくこれから難しい商談に向かわれるか、飛行機の長旅で緊張されておられるのではないかと感じました。
私たちは、そういったお客様が搭乗中、少しでもリラックスしていただくことを願い、最善のサービスを提供しています。
 そこで、まずお客様の名前を覚え、そのお名前を呼ぶことでお客様との距離を縮めようと思い、搭乗者名簿を見ました。
すると、ご夫婦連れになっていました。
でも、奥様がおられませんでした。

 奥様が急にトイレに立たれたので、そんなに険しい顔をしているのかと思い当たりました。
 しかし、一向に席に戻られないのです。
 そうこうするうちに飛行機が動き始めました。
 私は、あわてました。
 急いで、その男性の席に行き奥様の様子を尋ねようと駆けつけました。

 そして、その男性の隣のシートを見て、思わず息を飲み込みました。
そこには、女性の写真が入った額に黒いリボンが巻かれていたのです。
行きすぎとは思いましたが、
「きれいな方ですね。奥様ですか?」とたずねました。
男性は目に涙をためながら、
「はい、家内です。現役当時、旅行へ連れて行ったことがなかったので引退をしたら海外旅行へ連れて行ってやるといったらたいそう喜びまして、行き先も本人が決めたのですが、一ヶ月前に脳梗塞で急に亡くなりました。
そこで今回の旅行をキャンセルしようと子どもたちに相談したところ、お母さんはとっても楽しみにしていたのだからぜひ行くべきだと。
そして、二人で行くのだからチケットも二人分取りなさいと。
一人分だと見ず知らずの女性が座るとお母さん、焼きもちやくよと。
そこで、旅行会社に行き相談したら、担当の女性スタッフが泣きながら『大丈夫ですよ、ご主人の隣には奥様が座れるように常に隣の席を空けておきます』と言ってくれたんです」

 その話を聴いた私は、すぐに機長に相談しました。
機長は、「機内にある赤ワインの中で最高級のワインを二人分、私からと言ってプレゼントしてください」と指示があり、すぐにグラスに入れご主人と奥様の前に出させていただきました。
すると、機長から機内放送があり、「はじめて海外旅行に行かれるご夫婦の記念に私からワインをプレゼントさせていただきました。どうぞ、ご旅行をお楽しみ下さい」と。

 そして、その様子を見ていた後輩たちが「私たちも何かしたい」と言って、機内に飾ってあった生花を集め、リボンで巻いて奥様の席にもって行き、「奥様の旅が素敵なものになりますように」と言って置いたのです。

 それからしばらくして、その席から声を殺した泣き声がしばらく聞こえてきました。


 JALとは、こんな素敵なお客様サービスができる会社なのです。