走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

お金の価値

2010年06月09日 05時21分35秒 | ちょっといい話
林住職の講話第五弾。

 知的障がい者を生活苦や家庭の事情等で面倒を見ることが出来ない家族のために18歳まで預かる施設があるそうです。
 そういった施設は、子どもたちを家族に代わって献身的に慈しみ育んでくれているそうです。
その中で、子どもたちを送り出すときにテストをしている施設のお話です。

 その施設では、子どもたちの前に硬貨をバラバラにおいて、価値の高い順に並べ替えをさせるそうです。
それは、世の中と触れ合ったときに最低限、お金の価値だけは知っておいて欲しいという親心にも似た思いからなのだそうです。

 そして、500円玉・100円玉・50円玉・10円玉・5円玉・1円玉と子どもたちが硬貨を並べてくれると雲にも上ったような嬉しさだというのです。
でも、この大人たちの思いを覆(くつがえ)すような出来事が起こったそうです。
 それは、A子ちゃんのテストのときでした。
どきどきしながら先生たちがA子ちゃんを見守る中、A子ちゃんは10円玉を最も価値の高い硬貨と選んだそうです。
もう一度やらせたそうです。
でも結果は同じでした。
何度やっても同じ結果です。

 でも、先生方はここであきらめなかったというのです。
これは、何かあると。
そこで、A子ちゃんの平素の生活様式について先生方は話し合ったそうです。
朝起きて、夜寝るまでの生活習慣は毎日毎日判を押したように繰り返されます。
それを時系列に話していくうちに、「A子ちゃんにとっての最大の喜びは何だろう」ということになりました。
A子ちゃんはお父さんと二人きりの父子家庭です。
でも、そのお父さんも病気で入院されておられるために、A子ちゃんの面倒が見られないという家庭の事情があったそうです。
ですからA子ちゃんは毎日、そのお父さんに電話をして、お父さんの声を聴くのが何よりの楽しみでした。
「あ!!」と一人の先生が声を上げました。
「みなさん、赤電話です。A子ちゃんがかけている電話は公衆電話の赤電話です。赤電話は10円玉を入れます。500円玉でも、100円玉でもありません!!」
先生方は顔を見合わせて、自分たちが言う「お金の価値」について改めて考え直させられたそうです。

 林住職は続けて言われます。
 お金も含めて、モノの価値は人それぞれでちがうと思います。
 世間で言う常識が、その常識といった価値観で判断されていいものでしょうか。
 私たちはもっと柔軟に幅広くいろいろな価値観があり、それがあってもいいということを認めるところから始めないと何も始まらないと思いませんかと。

 私もA子ちゃんのような価値観を持つことが出来るのだろうかと問いかけながら、これからの生き方を見つめ直したいと思います。