梅雨晴れや忘れられたる傘一つ
(つゆばれやわすれられたるかさひとつ)
フェイジョアの花を、傘に見立ててみました。
マスカラをぴしりと決めて夏衣
(ますからをぴしりときめてなつごろも)
女性のマスカラに見えまして。
6月1日から10日までのつぶやき句を、自選30句にまとめました。
ぼうたんの女ぶり良し緋の襦袢 少年の声まで変わり衣更え
衣更え白き一輪活けにけり 落し文ポストに恋の終わる音
落し文一つの恋の終わりけり 泥鰌鍋のらりくらりも逃げ切れず
泥鰌鍋身振り手振りで安来節 泥鰌鍋のらりくらりも逃げ切れず
泥鰌鍋掬って遊びしともがらも 泥鰌鍋つひに鰻になれぬまま
野茨の道と覚えり六十路坂 来し方の野薔薇の傷の数多かな
腕白に絶えぬ生傷野の茨 身の上を問わず語らず茨道
麦の穂や恋の二人に抜ける風 権兵衛の芒種を見をる鴉かな
老農の顔の年輪芒種かな 芒種かな農夫に似合ふ頬つ被り
芒種かなつくづく我も農耕民 男めき女めきして梅雨に入る
梅雨めくや私あなたの忘れ傘 梅雨めくや別れ演歌のをみな雨
二足さへままならぬ我百足殿 里家の古りて居を得し百足かな
さながらに恋の熱病毒百足 十薬や戦後貧しき小学校
十薬や海人草で虫下し 十薬の香残し歯科助手の指
皐月夜の夢に亡き人現れて 病床の弟如何に皐月闇
弟の手術は17時間という大手術の末、終わったようです。
2日間は麻酔で眠らせるようです。
人工の大動脈と弁に換えて、正常に動いているようですが、
脳への影響がどれだけ残るかが心配です。
ご心配いただき、ありがとうございました。