約束にルーズな奴や戻り寒
(やくそくにるーずなやつやもどりかん)
先日、2月7日の、妻の実家は、思いがけない雪の朝となりました。
もう春という約束だったのに・・・・。
寒戻る寺の屋根にも遠嶺にも
(かんもどるてらのやねにもとおねにも)
戻り寒八十路独り居まだ達者
(もどりかんやそじひとりいまだたっしゃ)
右端の軽自動車の持ち主のお婆さん、もう八十に近いが、
この日も、峠越えで運転して出かけられた。
2月1日~10日のつぶやき句を32句にまとめました。
湯気立ちやぬるき後悔の舌触り 湯気立てや酒煙に荒れしママの声
若き日に戻る病母や春隣 古希といふ潮目にありて冬干潟
営みの果てなき余情冬干潟 足跡の時にじゃれ合い冬の浜
冬の浜凪ぎて残りし波紋かな 豆撒きやあざなふ如く鬼と福
狛犬の開いたる口に年の豆 年の豆つまみ今宵は飲まんかな
肩の荷の降ろせぬままに春立ちぬ 病床で手を降る母や春立ちぬ
淡海に陽の柔らかに春立ちぬ 病む母に明日のあれかし春立ちぬ
越前の怒涛静もり春立ちぬ 人形の秘話聞く夜や春寒し
言い過ぎを悔いて寝る夜春寒し 強東風や言はずもがなのことを言ひ
強東風や高きに舞へる鳶の声 強東風や人生く道の浮き沈み
強東風や噂の主が現われて 白魚や古りし酒場の縄暖簾
針供養ちくりと嫌味言ふあいつ お逮夜に集う老女や遍路杖
義母はもう阿弥陀に抱かれ遍路杖 針供養ちくりと嫌味言ふあいつ
キリシタン隠れの里や畦を焼く 甲賀流火遁の術や畦を焼く
里に生れ里に尽く身や畦を焼く 小綬鶏や峠を越えなる通学路
小綬鶏や行きつ戻りつ物忘れ 小綬鶏や学びの庭に語らふ子