夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

ヒンデミットの「レクイエム」をめぐる対話・下

2008-11-09 | music
我々の対話の続き。 「じゃあ、原詩の構造を検討しながらヒンデミットの音楽もついでに見ていこうか。全部で16節からなる長い詩は次のように始まる(ただし、ヒンデミットはこれと違って11部に区切って作曲しているのでその対応を示しておこう)。 When lilacs last in the dooryard bloom'd, And the great star early droop'd in th . . . 本文を読む

ヒンデミットの「レクイエム」をめぐる対話・上

2008-10-24 | music
10/20にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に我々は行った。プログラムは下野竜也指揮でヒンデミットのシンフォニア・セレーナと「前庭に最後のライラックが咲いたとき~愛する人々へのレクイエム」であった。 「さて、どうだった?」 「全然ダメ。最初は指揮者の知性のなさに腹が立ったけど、『最後のライラック』を聴いてるうちに作曲家の無神経ぶりに苛立ってきちゃった」 「手厳しいね」 「だってそうじ . . . 本文を読む

ブラームスとシマノフスキとショスタコーヴィッチとスクロヴァチェフスキ

2008-09-20 | music
9/10にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムはスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮で、ブラームスの交響曲第3番、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番(独奏はアリョーナ・バーエワ)、ショスタコーヴィチの交響曲第1番です。 ブラームスの出だしはおとなしめなのに音(特に木管)がとがっているように感じました。ブルックナーを髣髴とさせるようなもやもやしたところか . . . 本文を読む

遠きアメリカに陽は落ちて

2008-07-24 | music
 7/14にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムはゲルト・アルブレヒト指揮で、前半がヴァーレーズの「アメリカ」、後半がドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」です。アメリカつながりのプログラムですが、それ以外の関連性はほとんどなくて、いちばん聴きにくい音楽といちばん聴きやすい音楽の組合せと言っていいような気がしました。  ヴァレーズの曲はサイレンが使われて . . . 本文を読む

平明なスラヴ音楽

2008-06-14 | music
 6/9にサントリーホールで行われた読売日響の名曲シリーズに行って来ました。プログラムはアレクサンドル・ラザレフ指揮で、ドヴォルザークの交響詩「真昼の魔女」、プロコフィエフの交響的物語「ピーターと狼」、ボロディンの交響曲第2番でした。  会員になっている定期演奏会は別の用事があったので、翌週の月曜日に振り替えたんですが、座席は3月までの席とほぼ同じで、なじんだ場所から聴くことができました。スラヴ . . . 本文を読む

現代音楽の表現力と想像力

2008-05-31 | music
 5/19にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムは下野竜也指揮で、ヴァーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、山根明季子の「オーケストラのための『ヒトガタ』」、後半がコリリアーノの「ザ・マンハイム・ロケット」と「ハーメルンの笛吹き幻想曲」でした。  各曲について簡単に触れます。マイスタージンガーですが、金管と弦がちぐはぐな感じでした . . . 本文を読む

だるまのブルックナー第5番

2008-04-24 | music
 4/18にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムはスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮で、ブルックナーの交響曲第5番です。4月からはコントラバスの真上って感じの指揮者から見て斜め45°の席というのは同じですが、いちばん前になりました。ほんの少し前の方に行っただけなのに音がより生々しくなって、スクロヴァチェフスキの手の動きがよく見えます。おおげさに言うとオケの . . . 本文を読む

八つ当たりベートーヴェン

2008-03-17 | music
 3/14に東京芸術劇場で行われた読売日響の名曲シリーズに行って来ました。プログラムは下野竜也指揮で、前半がベートーヴェンのコリオラン序曲とピアノ協奏曲第5番「皇帝」、後半が同じくベートーヴェンの交響曲第7番です。先日の記事で書いたように2月定期の振替えチケットなんで席は選べず、3階のやや右寄り5列目でした。ここは昨年度の前半の定期演奏会に使われていて、何回も来ててそのたびに音の硬いのが気になりま . . . 本文を読む

日本人とバーンスタインとポピュラリティ

2008-03-11 | music
 3/10にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムは下野竜也指揮で、前半が三善晃のアン・ソワ・ロアンタン《遠き我ながらに》とチョーリャン・リンのヴァイオリン独奏によるバーンスタインのセレナーデ、後半が伊福部昭の倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・ブーレスクとバーンスタインの「ウエストサイド物語」からシンフォニックダンスです。2月の定期は18日にあったんです . . . 本文を読む

ショスタコーヴィチの両義性

2008-01-18 | music
 1/15にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムはヒュー・ウルフ指揮で、前半がアンティ・シーララのピアノによるバルトークのピアノ協奏曲第3番、後半がショスタコーヴィチの交響曲第11番「1905年」です。ウルフは左足をケガでもしたのか松葉杖をついて登場し、ハイチェアに浅く腰を掛けて指揮しました。イスから転げ落ちたりしないのかなって心配になりましたが、そういうこと . . . 本文を読む

エルガーの面影

2007-12-20 | music
 12/15にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムは尾高 忠明指揮で、前半がゲルハルト・オピッツのピアノによるマルトゥッチのピアノ協奏曲第2番、後半がエルガーの交響曲第2番です。マルトゥッチですが、いつもの舞台右手奥の私の席からだとピアノの蓋が邪魔になって音がこもってしまい、「あー、こりゃピアノ協奏曲には向いてないな」って思いました。細川俊夫の曲の時は蓋を全 . . . 本文を読む

土曜日の夜の野獣

2007-11-26 | music
 11/24にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。今月と来月は土曜日のコンサートなんで、ラフな格好の人も多く、私自身もちょっと違った気分です。プログラムはオスモ・ヴァンスカ指揮で、前半がシベリウスの「イン・メモリアム(葬送行進曲)」とベートーヴェンの交響曲第1番、後半が第2番です。演奏時間はシベリウスが11分、第1番が28分、第2番が35分くらいですからとても短いです . . . 本文を読む

三角空間の風

2007-11-01 | music
 10/22にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムは下野竜也指揮で、前半が ヒンデミットの歌劇「ヌシュ・ヌシ」からの舞曲と交響曲「画家マティス」、後半がシュレーカーのバレエ組曲「王女の誕生日」と細川俊夫の「オーケストラのためのダンス・イマジネール」でした。このプログラムは、現代音楽を親しみやすくというコンセプトで、かつ踊りの曲をあしらってメインの細川の曲につな . . . 本文を読む

小さな編成のブルックナー第3番

2007-09-22 | music
 9/18にサントリーホールで行われた読売日響の定期演奏会に行って来ました。プログラムはスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮で、前半がモーツァルトのドン・ジョヴァンニ序曲とルトスワフスキの交響曲第4番、後半がブルックナーの交響曲第3番(ノヴァーク版)でした。  サントリーホールの改装が終わって池袋まで行かなくてよくなったんで、私としてはそれだけで楽なんですが、どこがどう変わったのかよくわかりま . . . 本文を読む

炎暑のドビュッシー

2007-08-08 | music
 8/5にトッパンホールで行われた辻井伸行のリサイタルに行って来ました。先日の読売日響の定期演奏会で、この人のドビュッシーだったらまた聴いてみたいって書いたんですが、ちょっと調べてみたらちょうどオール・ドビュッシー・プログラムだったんで勢いで電話を掛けました。その時既にキャンセル待ちだったんですが、1週間くらい前に取れるって電話があったんで買いました。そういう状態でも当日には空席がちらほらあるん . . . 本文を読む