国家百年の計

　秋篠宮妃紀子さんに男のお子さんが生まれて、テレビや新聞を見る限り国民全員がお祝いをしているようです。おめでたい話なんで、それはそれでいいんですが、政治家までがうかれるばかりで先々のことを考えていないような発言をしているのは困ったものだと思いました。小泉さんは今月中には退陣して安倍さんが次期首相になるのはほぼ規定路線なんで彼がどう考えているか引用します。

　安倍晋三官房長官が今春段階で、小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」がまとめた女性・女系天皇容認の報告書について、首相就任後には白紙に戻す方針を固めていたことが６日、分かった。安倍氏に近い複数の関係者が明らかにした。秋篠宮妃紀子さま（３９）の男児出産を受け、男系維持の考えが広がる中、安倍氏が早くから白紙化を考えていたことにより、次期政権が典範改正に消極姿勢を取るのは確実だ。
　この方針は、自民党総裁選に向けた政権構想を協議する側近議員らとの会合で示された。安倍氏は報告書の白紙化に言及したうえで「最初から議論をやり直した方がいい」と語ったという。
　この段階では秋篠宮家のお子さまの性別は分かっていなかった。男児誕生により、安倍氏は首相就任後、報告書に沿った政府の検討そのものをいったん凍結、再検討が必要かどうかは自民党内の議論や世論を見極めて判断するとみられる。
　安倍氏は男系維持派と目されており、紀子さまの懐妊判明を受け、首相に典範改正案の国会提出を見送るよう進言した。６日の記者会見でも「皇室典範の改正は極めて重要な問題なので、慎重に冷静に議論をしていかなければならない。国民的なコンセンサスを得られる案を作っていく必要がある」と強調した。(毎日新聞）

　皇室典範って、誰が天皇になる資格があるかとかその順番などを決めた法律のようなものですが、要は女の子が天皇になれるようにするか、その女性天皇の子どもも天皇になれるようにするか、それがポイントです。今の皇室典範は男系男子しか天皇になれませんから、簡単に言えば男の血筋だけでつないでいかなくてはいけません。皇太子や秋篠宮のお子さんの世代では今度生まれた赤ちゃんにしかその資格はありません。しかも雅子さんも紀子さんもだんだん赤ちゃんを産むのがむずかしい年齢になっているわけですから、新しい世代の天皇は一人しか資格がないことになる可能性が高いでしょう。……そんな予測はともかく男系男子を「皇室典範に関する有識者会議」の報告書のいうように女系女子でもいいことにすれば愛子ちゃんと秋篠宮のお子さんの３人で４人に増えます。一人生まれたから今後もだいじょうぶだなんて言ってる首相候補がいましたが、開いた口が塞がりませんでした。こんな人が国家百年の計なんて言っても全く信用できません。

　天皇制なんて続いても続かなくてもどうでもいいじゃんっていう人もいるでしょうし、それでも別にいいんですが、続いていってほしいと思ってるんであればマジメにどうすればいいか、万一のことも含めて最善の策を考えるのが政治家というものでしょう。だって憲法の第１条から第８条までは天皇について規定してるんですから。そんなことを言ったり、考えたりするのは縁起でもないっていう人がいるでしょうけど、そういう考え自体がこの国の危機管理がお粗末な原因の一つだろうと思います。今度の赤ちゃんが健やかに育ったとしてもそのたった一人しかいない皇位継承者と結婚する女性は大変です。子どもを産まなくてはいけない、しかも男の子でなくてはいけない、それって戦前を舞台にしたドラマなんかの話じゃないですか？　端折って言ってしまえば皇室典範を改正しないというのは、何十年か後に雅子さんの悲劇(と言っていいと思いますが）を繰り返してもかまわないということだろうと思います。もっと思いもかけないようなことかもしれませんが。

　ついでに言うと戦前に皇族で、戦後ＧＨＱによってふつうの人になった旧宮家を復活させれば皇位継承者が増えるっていう人もいますが、これまた相手にする必要のないような議論です。生まれたときからずっと成長を見守ってきた皇族だからこそみんな皇太子になり、天皇になるのを納得もし、喜ぶんです。敗戦後60年以上経って、どこでどう育ったかも知らないような人をポンと持ってきて天皇制が続けられると思うなんて想像力がありませんね。……今度の赤ちゃんは生まれながらにしてそう見られているわけですから、男系男子を第１順位にし、女子はそれ以下の順位にするしかないんだろうなって思います。男女全く差別しない「皇室典範に関する有識者会議」の報告書をそういう方向で修正するならするで早くすべきでしょう。お姉さんの眞子さんはもう14歳になっているんでしたっけ？