詩の解説をするのは野暮というか自慢たらしい気がしますが、「虞美人草」という詩はちょっとわかりにくすぎて、迷惑なものかなと思ったので、書いてみます。
虞美人草はひなげしのことです。なぜそういう名前がついたのかは後で述べます。
フランス語ではひなげしをコクリコというそうです。与謝野晶子にこういう歌があります。
ああ皐月 仏蘭西の野は 火の色す
君も雛罌粟(こくりこ) われも雛罌粟
あんまり大した歌だと思いませんが、この歌から雛罌粟(ひなげし)が風にゆれているのを恋人同士がうなずいてるように見立てました。なお、お笑いコンビとの関係はわかりませんw。
スペイン語ではアマポーラというそうです。多くの人が知ってる有名な曲ですね。歌詞の意味は知らないんですが、メロディからイメージしました。
ひなげしというと、房総半島で咲いていたのが印象的だったんで、詩の一行に入れました。
けしopium poppyからはアヘンが取れて、それを精製して鎮痛薬として使われるモルヒネが、さらに依存性の強いヘロインを作ることができます。ひなげしcorn poppyからはこうした麻薬は取れませんが、種が同じだけによく似ています。
さて、虞美人草の名前ですが、紀元前200年頃の中国の話です。漢の劉邦と楚の項羽が争い、何回も項羽が勝ったんですが、最後の最後に劉邦に破れます。四面楚歌という言葉が生まれた垓下の戦いです。その際に項羽が詠んだと言われる詩の最後に恋人に向かって「虞兮虞兮奈若何」(虞よ虞よ、おまえをどうしたらいいのか)と歌います。その後、虞美人は自刃し、彼女を葬った跡にひなげしの花が咲いたという伝説があるそうです。
まあ、こういうイメージをつなぎ合わせたのがこの詩です。漱石に「虞美人草」というごてごてした文章の小説がありますが、それをねらったわけではありませんw。
私は昔よく病気をしていて
先生に「花のように強くなれ。強くなるのだ!」と
毎晩説教?めいたことを言われてましたw
今はすっかり元気です
花のようでは全くありませんが
でも、花と強さってあんまり結びつかないですね。元気と美しさが両立したのは、先生の(意味不明の)情熱のお蔭なんでしょう。