銀河のサンマ

何でもあり

酢橘の冷やおろしソーメン

2020-09-11 | 銀河食堂

 

 

 

 

 

 

 

秋の空は猫の眼差し。

いやいや猫の目の様。

いやいや読書の秋。

僕は「ないたあかおに」を読む途中で泣いている。

何十とは言えないほど読んでいる。

うぅぅぅ・・・。本を抱きしめ身を「く」の字にして泣いている。

涙で絵本が歪む。

?・・・歪む?いや、部屋が歪んでいく・・・?

「恋の秋も銀河食堂営業中」

・・・はっ!

目の前に「銀河食堂」現・・・れた。

古民家な食堂だから品の良い老婆の御店だ。

戸をガラリ。

老婆は静かに頭をさげ

こんにちは。蒸すですな、さ、食べなっせ。

僕は静かに椅子に腰かけると、すっと一品でてきた。

「酢橘の冷やおろしソーメン」です。さ、氷が解けんうちに。老婆は花なりと笑う。

いただきます。僕は箸をとる。

麺を掴むと酢橘の香りがすっと鼻を通り清爽な気分になる。

うわっ、スッキリした喉ごしに箸が進むねっ。

蒸す暑さも一瞬は忘れるごとあるでしょう、と老婆は目を細め言った。

続けて言う。

木札に書いてあったように、恋をしなっせ。

へ・・・?

恋を。なんち時めく恋をしとりますな。安心です。ふふっ。

老婆は繰り返し言って微笑んだ。

誰にもしてないよ・・・僕は小さく返した。

人とは限定していない、物でも何でも良い。泣いて思って馳せて時めき秋を謳歌しなっせ。

僕が箸を静かに置くと

何十と読みかえす絵本、未だ好きなんですなぁ。老婆目は微笑む。

そのことを何故?!すっごく好きだよっ!あの絵本。宝物なのっ!あ、あの本は・・・ 

僕は何だか火照っている、恥ずかしくなり目を伏せた。

御変わりなく、あの絵本を読み返している貴方が好きですよ、ずっと。

・・・え・・・御変わりなく?

少し強引ですが、秋の空は恋の様。恋は桃色の様。恋する桃色な豊かな秋を。

そう言うと老婆から一粒の涙が、ぽろり。

年ですなぁ、老婆がフッと顔を伏せ歪ませる。

ぐにゃり。

あ、老婆の顔が歪んでるのではない、僕の目の前が歪んでく。

いたたたたっ・・・痛いっ。 身を「く」字にしていた僕は起き上がる。

窓が全開にあいて肌寒い。しかも朝じゃないか。

僕は伸びをしてベランダへでる。

桃色の空に桃色の雲が1つぽっかり可愛らしく浮かんでる。

ふふふっ・・・僕の心は時めいている。

「ないたあかおに」をしっかり抱きしめ、あの老婆が恋しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が生まれた時に揃えられた絵本の中の1冊。

一番好きな絵と文字。

 

 

 

 

 

 

 

※ 昨日の昼食風景

 

 

 

 

 

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