かれこれ10年ばかり前のことだ、真夜中に風呂場からガサガサゴソゴソ、トタンのバケツを引きずる音がする。私が眠っていたのは家の一番端っこのさらに二階である。因みに私の奥さんは問題の風呂場の傍の部屋に寝ているのだがこの人は夜9時を過ぎると、薩摩方言でバッタイいかん、つまりどうしようもなくダメ、眠い、そして・・・・一度眠ったら石のお地蔵さんのように眠り込んでそれこそ枕を蹴っても起きない、実は枕なしで寝るので蹴るものがないのだが・・。
話が逸れた、ホホウ、もう朝か、少し早く起きて洗濯を始めたのか、とうつらうつらしながら考えていた。・・・それにしてはいつまでもガサガサゴソゴソが続くなあ、とふと時計を見ると何と草木も眠り家々の軒が3寸下がると言われる丑三つ時ではないか。何じゃこりゃ!?と言うわけで起きて風呂場に近付いた。相変わらず音がする、実に煩い。そこで電灯を点けた。
するとこんどは天井裏でバケツを引きずる音がしだした。ねずみの奴が人をたばかるとはごぶれさあな(鹿児島方言、無礼な)と思って箒を持って来て天井を叩いた。するとその音が動くではないか、今度は隣の洗面所の天井辺りで音がする。おっかける、すると玄関に移動して何と下駄箱の中から聞こえる。頃合を見て戸をパッと開けて見るが何も居ない。すると今度は何と壁の中でガサゴソやり始めた。そして、聞こえなくなった。
妙なことがあるものだ、と思って家族に話すと案の定せせら笑うではないか、まあそういうものだろう。ところが約一月後にまた同じことが起こった。今度は石地蔵を無理やりたたき起こし、ついでに別の部屋で大鼾をかいている息子も起こして3人で見た。先回と同じような経過をたどって聞こえなくなった。こりゃ何じゃ??と家族みんなして今だに解らない。古い家で壁は表面は化粧板だがその内側は土壁である。その中からバケツを引きずる音が何故出るのかがよくわからない。
まだ結婚する前、五月の連休に信州と関東を旅行した。小諸の駅前からバスに乗って浅間牧場に行った。牧場入り口の停車場に着くと一面の深い霧、そして平日のせいかだあれも居ない。近くにあった小さな臨時の店に入った。アルバイトの女子大生と思しき二人に”あるって来たの?”と問われながら蕎麦を食った。
それから牧場に入って行ったのだが遠くで子供たちが騒ぐ声がする。そっちに何かあるんだろうと思って歩いた。坂を昇り潅木の茂みの間を抜けてかなり歩いたが一体どこに子供たちがいるのか判らない。疲れて座り込んだ。そしてふと気がつくと辺りが森閑としている。結局浅間牧場で見たのは一面の霧、聞いたのは牛の声やなんかではなくて何処から聞こえていたのか判らない子供の騒ぐ声だった。
2007年春から暫く佐賀の隠れ里に住んだ。その春のある日、作礼山に登った。この山は変わった山で頂上に池がある。池の近くの広場に車を停めて歩いた。どこかの小学校の遠足ででもあるのか藪の向うと思しき辺りから子供たちの騒ぐ声がする。時々ウグイスも鳴く。そのうち子供たちに出会うかもしれないな、と思いながら池の周囲の藪の中を歩いた。あちこち寄り道しながら小一時間も歩いた飽きてきたので車に戻った。いつのまにか子供の騒ぐ声がしなくなっているのに気がついた。
山を降りてからよーく考えて見ると私が車を停め、徘徊した辺り以外は深い藪の急斜面でおよそ子供が騒げるような場所ではない、だったらあれは何だったのだろう。
話が逸れた、ホホウ、もう朝か、少し早く起きて洗濯を始めたのか、とうつらうつらしながら考えていた。・・・それにしてはいつまでもガサガサゴソゴソが続くなあ、とふと時計を見ると何と草木も眠り家々の軒が3寸下がると言われる丑三つ時ではないか。何じゃこりゃ!?と言うわけで起きて風呂場に近付いた。相変わらず音がする、実に煩い。そこで電灯を点けた。
するとこんどは天井裏でバケツを引きずる音がしだした。ねずみの奴が人をたばかるとはごぶれさあな(鹿児島方言、無礼な)と思って箒を持って来て天井を叩いた。するとその音が動くではないか、今度は隣の洗面所の天井辺りで音がする。おっかける、すると玄関に移動して何と下駄箱の中から聞こえる。頃合を見て戸をパッと開けて見るが何も居ない。すると今度は何と壁の中でガサゴソやり始めた。そして、聞こえなくなった。
妙なことがあるものだ、と思って家族に話すと案の定せせら笑うではないか、まあそういうものだろう。ところが約一月後にまた同じことが起こった。今度は石地蔵を無理やりたたき起こし、ついでに別の部屋で大鼾をかいている息子も起こして3人で見た。先回と同じような経過をたどって聞こえなくなった。こりゃ何じゃ??と家族みんなして今だに解らない。古い家で壁は表面は化粧板だがその内側は土壁である。その中からバケツを引きずる音が何故出るのかがよくわからない。
まだ結婚する前、五月の連休に信州と関東を旅行した。小諸の駅前からバスに乗って浅間牧場に行った。牧場入り口の停車場に着くと一面の深い霧、そして平日のせいかだあれも居ない。近くにあった小さな臨時の店に入った。アルバイトの女子大生と思しき二人に”あるって来たの?”と問われながら蕎麦を食った。
それから牧場に入って行ったのだが遠くで子供たちが騒ぐ声がする。そっちに何かあるんだろうと思って歩いた。坂を昇り潅木の茂みの間を抜けてかなり歩いたが一体どこに子供たちがいるのか判らない。疲れて座り込んだ。そしてふと気がつくと辺りが森閑としている。結局浅間牧場で見たのは一面の霧、聞いたのは牛の声やなんかではなくて何処から聞こえていたのか判らない子供の騒ぐ声だった。
2007年春から暫く佐賀の隠れ里に住んだ。その春のある日、作礼山に登った。この山は変わった山で頂上に池がある。池の近くの広場に車を停めて歩いた。どこかの小学校の遠足ででもあるのか藪の向うと思しき辺りから子供たちの騒ぐ声がする。時々ウグイスも鳴く。そのうち子供たちに出会うかもしれないな、と思いながら池の周囲の藪の中を歩いた。あちこち寄り道しながら小一時間も歩いた飽きてきたので車に戻った。いつのまにか子供の騒ぐ声がしなくなっているのに気がついた。
山を降りてからよーく考えて見ると私が車を停め、徘徊した辺り以外は深い藪の急斜面でおよそ子供が騒げるような場所ではない、だったらあれは何だったのだろう。
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