<ご注意>
この内容は、あくまでも素人で一飼い主が、獣医学雑誌を読んでまとめておりますので、完全だとは保証できません。 「かーさんは、そう受け取った」という事ですので、そのおつもりでお読み下さい。もっと専門的に詳しく正しくと思う方は、VEC23号をお読みくださるようお願いいたします。
またエンセファリトゾーン症ってなに? エンセファリトゾーン・カニキュリってどんなの?と言う方は、「ウサギの斜頚とエンセファリトゾーン」を、ご一読くださいね。
では、お話の続きをば・・・
突然の斜頸やローリング(くるくる回ってしまう等の平衡感覚異常)や眼振と言った症状で、飼い主さんはあわてます。何がなんだか分からずに、とても不安になります。また知っていたとしても、とても気持ちが落ち込みます。ウサギさん自身もパニックになったり、目が回って気分が悪くなったり、食欲がなくなったりします。
こうした症状を前庭疾患と言います。
ここで大事なのは、筆者の小沼先生の言葉を引用すると
「また誤解が多いのだが、前庭疾患とは単純に耳の病気(中・内耳)ではなく、すべてがエンセファリトゾーン症でもない。」
という事です。
前庭疾患は、病気の原因部分により末梢性と中枢性に分かれます。だからどちらかを判断する事が第一なのですが、なかなか視診やレントゲンでは分かりにくかったり、どこでもCTやMRIがあるわけではありません。
となれば、症状を見て判断する事も大事になってきます。
<末梢性>
主に外耳炎や細菌(主にパスツレラなど)が侵入しての内耳炎・中耳炎によるもの。その他にも外傷や腫瘍や原因不明のものも。どうやら「耳のシステム辺りが、細菌に浸潤されて壊れる」と思えば分かりやすそうです。
<中枢性>
大脳にEZが住み着いても、大脳と斜頸は直接結びつかないようですが、どうやら二次的に延髄の前庭に影響し、斜頸を呈するのではないかという事です。大脳症状として「強制歩行」「頭部の押し付け行動」などが見られると書いてあり、以前のきち先生のお話を思い出しました。
ある飼い主さんから急に様子がおかしくなったウサギさんのお話を聞き、かーさんはEZ症かなぁ?と思いました。それで、そのお話をきち先生に話してみました。
そのウサギさんの経歴として「前の年にケージの中で怪我をした。どうしてかは分からない」そうだとお話したら
「EZの症状の一つとして、急に前に飛び出すことがあるんです。突発的に暴れるとか。前の年に怪我をしたのは、そういう行動があったのかのしれません。ケージにいたのに、何故そんな怪我をしたのかと、その時にそこまで考えなくてはいませんね」と言っておられました。
話戻って。
色々な検査をしますが、レントゲンやCT・MRIの診断は省略します。
こうしたものの読み取りは知識と経験が必要で、獣医さんでなくては解りませんからね。
その他の検査としては、血液検査、尿検査などがありますが、EZ症においては、このあたりに特徴的変化はないようです。ただ腎臓が罹患した場合は、腎機能が落ちた数値が出るかもしれませんが、それでEZとは断定できません。他にも腎機能の低下を起こす病気は、沢山あるのです。
後は抗体検査が必要になります。
抗体検査には2種類あり、どちらも血液を採取して行います。
ここで抗体の豆知識。というか、EZが侵入してから抗体が出来るまでに時間差があるというお話です。
生き物の体には自分の組織と違うものが侵入してくると、判断し攻撃し排除するシステムがあります。
この働きのうち「判断する」のが抗体です。一つ一つ細菌やウィルスといった異物に対して、それぞれ違った抗体が出来るのです。
でもこの抗体は、最初から体の中にあったわけではありません。つまり嫌な客が来てから、それにあわせて作られるのです。一度出来た専用の抗体は、以降はずっと存在することになります。
という事で、来客があってから抗体が出来るまでに要する時間は、お客によってまちまちで、EZに関したは大体「2~3週間」かかるという事です。
という事で・・・
[ IgG抗体検査 ]
EZに特有の抗体のあるなしを調べる検査。現在、検査会社のモノリスさんがやっています。
でも困った事に、これは「今EZはいないけれど、過去にEZにかかった事がある」でも、「現在EZにかかっている」でも、陽性反応が出ます。一度出来た抗体は、抗原(EZ)がなくなれば徐々に少なくなりますが、再感染した時に直ぐに反応できるように、なくなる事はありません。
(まれに過去の感染なのに、高い数値のままのケースもあるらしいので、ややこしくなる)
また、罹患していても抗体が出来る前だと「陰性」の結果が出ます。
そこで時間を開けて(2・3週間位 緊急でなければもっと後でも)、もう一度検査をします。
2回目の検査で「1回目と同じ数値」なのか、「1回目より高い数値なのか」で、判断しようと言うわけです。
整理してみると
1回目「陰性」 →2回目「陰性」 =EZはいません。
1回目「陽性」「擬陽性」 →2回目「1回目と同じくらいの数値」 =過去の感染。
1回目「陽性」 →2回目「1回目より優位に高い数値」 =EZ活動中
と言うわけです。
(もっとも、きち先生としては(-- )?らしいです。なにやらEZには上手に隠れる隠し技があるかも?とか何とか・・・・・・)
IgM抗体検査
こちらは、初感染すると最初に作られる物質で、感染後2週間くらいでピークになり、徐々に減っていくそうです。コチラが解れば話は早いのですが、あいにくこの検査をする検査会社や検査キットはありません。
専門的なところで、研究のために行われているようですが。
と言うわけで、現場の獣医さんたちは検査でEZと確定診断することは難しいから、症状を良く見て疑わしきはEZの対処治療をしてはどうかと言うわけです。
こうしたことは、何もEZに限りません。
言葉で訴えられる相手ではありませんから、ウサギさんの状態を良く見て、考えられる事から一つずつ「これではない」とはずしていく、あるいは典型的な症状が見つかれば、これだろうと言うやり方になるのです。
つづく
<参考文献> ウサギの前庭疾患の診断と治療:小沼守
関連記事:エンセファリトゾーン、前庭疾患(斜頚と眼震など)
この内容は、あくまでも素人で一飼い主が、獣医学雑誌を読んでまとめておりますので、完全だとは保証できません。 「かーさんは、そう受け取った」という事ですので、そのおつもりでお読み下さい。もっと専門的に詳しく正しくと思う方は、VEC23号をお読みくださるようお願いいたします。
またエンセファリトゾーン症ってなに? エンセファリトゾーン・カニキュリってどんなの?と言う方は、「ウサギの斜頚とエンセファリトゾーン」を、ご一読くださいね。
では、お話の続きをば・・・
突然の斜頸やローリング(くるくる回ってしまう等の平衡感覚異常)や眼振と言った症状で、飼い主さんはあわてます。何がなんだか分からずに、とても不安になります。また知っていたとしても、とても気持ちが落ち込みます。ウサギさん自身もパニックになったり、目が回って気分が悪くなったり、食欲がなくなったりします。
こうした症状を前庭疾患と言います。
ここで大事なのは、筆者の小沼先生の言葉を引用すると
「また誤解が多いのだが、前庭疾患とは単純に耳の病気(中・内耳)ではなく、すべてがエンセファリトゾーン症でもない。」
という事です。
前庭疾患は、病気の原因部分により末梢性と中枢性に分かれます。だからどちらかを判断する事が第一なのですが、なかなか視診やレントゲンでは分かりにくかったり、どこでもCTやMRIがあるわけではありません。
となれば、症状を見て判断する事も大事になってきます。
<末梢性>
主に外耳炎や細菌(主にパスツレラなど)が侵入しての内耳炎・中耳炎によるもの。その他にも外傷や腫瘍や原因不明のものも。どうやら「耳のシステム辺りが、細菌に浸潤されて壊れる」と思えば分かりやすそうです。
<中枢性>
大脳にEZが住み着いても、大脳と斜頸は直接結びつかないようですが、どうやら二次的に延髄の前庭に影響し、斜頸を呈するのではないかという事です。大脳症状として「強制歩行」「頭部の押し付け行動」などが見られると書いてあり、以前のきち先生のお話を思い出しました。
ある飼い主さんから急に様子がおかしくなったウサギさんのお話を聞き、かーさんはEZ症かなぁ?と思いました。それで、そのお話をきち先生に話してみました。
そのウサギさんの経歴として「前の年にケージの中で怪我をした。どうしてかは分からない」そうだとお話したら
「EZの症状の一つとして、急に前に飛び出すことがあるんです。突発的に暴れるとか。前の年に怪我をしたのは、そういう行動があったのかのしれません。ケージにいたのに、何故そんな怪我をしたのかと、その時にそこまで考えなくてはいませんね」と言っておられました。
話戻って。
色々な検査をしますが、レントゲンやCT・MRIの診断は省略します。
こうしたものの読み取りは知識と経験が必要で、獣医さんでなくては解りませんからね。
その他の検査としては、血液検査、尿検査などがありますが、EZ症においては、このあたりに特徴的変化はないようです。ただ腎臓が罹患した場合は、腎機能が落ちた数値が出るかもしれませんが、それでEZとは断定できません。他にも腎機能の低下を起こす病気は、沢山あるのです。
後は抗体検査が必要になります。
抗体検査には2種類あり、どちらも血液を採取して行います。
ここで抗体の豆知識。というか、EZが侵入してから抗体が出来るまでに時間差があるというお話です。
生き物の体には自分の組織と違うものが侵入してくると、判断し攻撃し排除するシステムがあります。
この働きのうち「判断する」のが抗体です。一つ一つ細菌やウィルスといった異物に対して、それぞれ違った抗体が出来るのです。
でもこの抗体は、最初から体の中にあったわけではありません。つまり嫌な客が来てから、それにあわせて作られるのです。一度出来た専用の抗体は、以降はずっと存在することになります。
という事で、来客があってから抗体が出来るまでに要する時間は、お客によってまちまちで、EZに関したは大体「2~3週間」かかるという事です。
という事で・・・
[ IgG抗体検査 ]
EZに特有の抗体のあるなしを調べる検査。現在、検査会社のモノリスさんがやっています。
でも困った事に、これは「今EZはいないけれど、過去にEZにかかった事がある」でも、「現在EZにかかっている」でも、陽性反応が出ます。一度出来た抗体は、抗原(EZ)がなくなれば徐々に少なくなりますが、再感染した時に直ぐに反応できるように、なくなる事はありません。
(まれに過去の感染なのに、高い数値のままのケースもあるらしいので、ややこしくなる)
また、罹患していても抗体が出来る前だと「陰性」の結果が出ます。
そこで時間を開けて(2・3週間位 緊急でなければもっと後でも)、もう一度検査をします。
2回目の検査で「1回目と同じ数値」なのか、「1回目より高い数値なのか」で、判断しようと言うわけです。
整理してみると
1回目「陰性」 →2回目「陰性」 =EZはいません。
1回目「陽性」「擬陽性」 →2回目「1回目と同じくらいの数値」 =過去の感染。
1回目「陽性」 →2回目「1回目より優位に高い数値」 =EZ活動中
と言うわけです。
(もっとも、きち先生としては(-- )?らしいです。なにやらEZには上手に隠れる隠し技があるかも?とか何とか・・・・・・)
IgM抗体検査
こちらは、初感染すると最初に作られる物質で、感染後2週間くらいでピークになり、徐々に減っていくそうです。コチラが解れば話は早いのですが、あいにくこの検査をする検査会社や検査キットはありません。
専門的なところで、研究のために行われているようですが。
と言うわけで、現場の獣医さんたちは検査でEZと確定診断することは難しいから、症状を良く見て疑わしきはEZの対処治療をしてはどうかと言うわけです。
こうしたことは、何もEZに限りません。
言葉で訴えられる相手ではありませんから、ウサギさんの状態を良く見て、考えられる事から一つずつ「これではない」とはずしていく、あるいは典型的な症状が見つかれば、これだろうと言うやり方になるのです。
つづく
<参考文献> ウサギの前庭疾患の診断と治療:小沼守
関連記事:エンセファリトゾーン、前庭疾患(斜頚と眼震など)