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四日間の奇蹟5

2005-06-05 00:00:00 | 映画&ドラマにハマル!

千織が、14歳という中途半端な年齢であることが、このファンタジーな物語を成立させている重要な要素だと、映画を見終えて思う。

吉岡秀隆が敬輔を演じることを念頭に入れて、映画をスタートさせたという佐々部監督だが、吉岡秀隆だと元々持っている居ずまいとか存在感で、原作の前半の過去の説明をしなくても、リアリティを示せるからだとビジュアル・ストーリーや、クランクアップのインタビューで発言している。

彼の清潔感のある立ち居振舞いが土台にないと、千織と並んだときに、妙な色気が出てきてしまうということらしい。

妙齢の千織では、敬輔が引き取るという関係が成立せず、愛憎する感情を持ちながら、彼女のピアノの才能を育てるという設定にはならない。

そして14歳の千織に、真理子が入ることで、敬輔に、恋愛感情や、無償の愛を注ぐ父性を含めた豊かな人間性が引き出される。

敬輔を演じた吉岡秀隆は、映画パンフレットで、「敬輔と千織は、結婚するのかもしれないな」と言うのだが、うーん、そこまでいくんだと思ったが、そうだろうなと納得した。しかし、それで、二人に子供が生まれるのか?とまで考えるのは、またまたリアリティに捉えられ過ぎるというものだろう。

ただ、真理子が、実際あれほど子供を切望し、敬輔と真理子の真中に千織がいて、3人が家族のように手をつなぐショットが出てくるところを見ていると、母性は、子供を欲しいと思うものだと説得させられる気もする。子供をもてなかった女性には、少しツライところである。

愛し合うカップルに子供が生まれ、家族になり、それが、社会の最小の単位になるというのが、理想だから当然か。

しかし家族が欲しかったのに、それが得られなかった真理子だからこそ、よりその母性の強さを、客観的に認め、賛美したのかもしれない。

真理子を演じた石田ゆり子が、快活でありながら、ふんわりした優しい雰囲気も漂わせ、とてもよかった。原作の饒舌すぎる真理子よりも、独特の透明感があって魅力的だと思った。去年の「解夏」よりずっといい。彼女の代表作になるんじゃないかな。

アカデミー賞の新人賞は、尾高杏奈ちゃんでキマリかなと思う(笑)

吉岡秀隆の「受け」に徹した静かな演技は、見る眼のないひとには、地味に映るかもしれないが、玄人には高く評価されるだろう。特に、俳優には嫉妬されるのではないだろうか。