リアルタイムの放送から、また微妙にずれたが、最近のドキュメンタリーのヒットはコレ。「NHKスペシャル 移民漂流」 こういう見ごたえのある番組を作ってくれるなら、NHKに、受信料お支払いしましょうという気になる。
世界の3カ所にカメラを据え、同時進行で1つの動きを追うドキュメンタリー。今回はエチオピア、イスラエル、ドイツで、仕事を求めてさすらう移民の姿を追う。
エチオピアの山間の町では、豊かさを求めてイスラエルに移住しようとする人々がバスに群がっている。アラブ人の人口急増に危機感を抱き、古代ユダヤ人の末裔を世界中で探しだして、大量の移民を受け入れることを国家政策としているイスラエルには、恐れ入る。しかし、非ユダヤ教徒と婚姻のある者は、はねてしまう。そのため、番組では、娘さん一家は、父と一緒に、イスラエルには行けなかった。受け入れ側のよくわからない基準により、選民されてしまうのだ。
その一方で、テロの不安から、イスラエルのある若者が、パレスチナに対する抑圧者として、自己認識し、イスラエルにいることに耐えられない閉塞感を感じてしまい、かつてのホロコーストの地、ドイツへ脱出しようとする。このナイーブさに、いたたまれない気がする。
「私たちが、後ろ指さされないようにいられる場所として、どんな思いで、イスラエルを作ってきたと思うの。ユダヤ人にとっての安住の地は、イスラエルしかないのよ」と涙ながらに、母は、息子を引き止めようとする。母親の心情から一歩退いて、ドイツで、外国人として暮らしたカッチイの目からみても、この息子が、ドイツでヘブライ教師になるくらいの展望しか抱いていないのだから、苦労することは目に見えている。
当のドイツは戦後最高水準の失業率に苦しみ、冷戦後、押し寄せる移民を怨嗟する気運が高まっている。戦後の復興期に、ドイツに「ガストアルバイター」としてやってきた移民たちは、もう第二世代を迎える。番組は、ベルリンの中年のトルコ人が、ドイツ育ちの息子を抱え、失業し苦悩する姿をレポートする。
EU諸国内では、人の動きをたやすくしているので、年に15万人ものドイツ人が、他国へ移住する事態まで起きている。
番組では、ヨーロッパだけでなく、カナダの投資移民向けPRビデオも紹介する。「我が国は優秀で金持ちな人間を確保したいのだ」とする主張は、臆面もなく堂々としたものだ。
「移民漂流」は、この現象を、国家の「人口問題」をキーワードに、問題を際立たせてみせる。あれほど移民のテロが激化しているフランスでさえ、移民を受け入れる方向に、法律を改正している。このままの「少子化」が進めば、国を支えていけないからだ。
国連のレポートで、先進国で、最も移民受け入れが要請されている国は、日本だと名指しされている。年間640万人もの移民を受け入れることが期待されているという。その数字を聞いてのけぞった。
しかし日本ほど移民を受け入れる条件が厳しい国はない。危険を犯して日本に違法入国しようとする人たちのニュースを伝えるが、一般に深刻に受け止められていない。町では、3kと言われる仕事に従事するのが、外国人が多いというのに、気がつかないわけではないのに。
これで、半島の北の国に崩壊でも起こったらどうなるのか?南の国だって、中国だって、流れ来る難民を受け入れる用意はない。しかし、いったん壁が取り除けられれば、それが平和的方法にのっとっても、思った以上の混乱を生むものだということを、ドイツは身をもって示している。川が決壊すれば、思いがけない方向に水はあふれていくものだ。日本もその潮流の水をかぶることは、明らかだ。
国家は、生産人口を維持し、経済発展を志向する政策をとる。しかし、自分と家族の幸せを考えて、国を捨てて漂流する個人が出現してきた。それぞれの思惑がぶつかり、混沌を生む。この流れは止められない。ドイツは、日本よりは、グローバリズムに慣れている国だと思う。悩みながらも、移民を受け入れ、ヨーロッパの中央に位置する国として模索を続けるだろう。ナイーブな日本は、この混沌を受け止められるであろうか?ナイーブというのは、誉め言葉としてここでは使っていない。
昨日の夜中に、テンプレートを触ってみて、コレにしてみた。前のも森のイメージでよかったけど、ちょっと暗めだったでしょ。
今度のは、「Gourmet」と名前がついてるテンプレート。お料理サイトじゃやないんだけどね。ショップや、ドイツ旅行情報サイトのイメージと合うとなると、クリーム系かなあと思って。ブログ人は、テンプレートが豊富なほうじゃないかもね。「ブログ人」は、一番高いジャンプコースでない限り、オリジナルは作れないそう。皆様、何か意見があったら、聞かせてくださいまし。
ところで、リアルタイムで見たときより、微妙にずれる「カッチイ’s Eye」なのだが、今日の話題は、1月29日放送の「情熱大陸」の清水直子さん。
ステキだったわあ。世界最高峰のオーケストラとして名高いベルリンフィルハーモニー管弦楽団に大抜擢で、首席ヴィオラ奏者になった清水さん。番組は、去年の大晦日に行われた恒例の「ジルベスターコンサート」前の彼女の生活を、日本での公演も含めレポートしたものだった。
音楽に詳しくないカッチイが言うのは僭越だが、どちらかというと遅咲きのタイプのよう。ドイツに音楽留学されてから、コンクールとかにも入賞されるようになったそう。指揮者のサイモン・ラトルは、彼女の静かな態度、集中力をとても高く評価していた。ガチガチの音楽エリートという感じでないところが、とても親しみが持てた。
誰かと一緒に生活するなんてないだろうなと思っていた(本人談)矢先の3年前、多分30代後半になられてから、トルコ出身のピアニストと結婚された。穏やかで優しそうなご主人と営むアパート暮らしに、カッチイの目は、釘付け。よそのおうちを覘くのは、大好き!インテリアがスキだから。機能的なキッチン、演奏フォームをチェックされる大きな鏡の置かれた自室、こたつのある居間など、気取りがないけれど知的な居住空間が、いいなあとためいき。
ドイツでは、インテリになればなるほど、成金趣味から遠ざかり、本が雑然と壁一面に並んでいたりする暮らしぶりになる。赤い四角いリュックを背負って、どこでも清水さんは、電車で移動する。無料コーヒーが飲めるスタンプを集め、日本料理屋さんでの食事は、たまの贅沢という。
しかし、彼女の結婚は、弟さんとおばあちゃん以外、賛成したものでなかったという。そのことに、彼女は、ショックを受けたが、当のご主人が、日本の両親の当惑もわかると受け止めた。コスモポリタンな町、ベルリンには、日本人女性とトルコ人男性の芸術カップルが、似合いそうだ。
最後に、ジルベスターコンサートが終わって、彼女が、アパートから、日本の両親に電話するシーンも写ったので、親子断絶というわけではないのねと、ほっとした。
バイオリンとも、チェロとも違うヴィオラの響きを、少し知る機会にもなった。ベルリンフィルを見るとき(聞く時)、ビオラのところに、清水さんがいるか探してみましょう。