モー吉の悠悠パース留学絵日記

この日記では、パースでの留学生活での出来事を中心に、心象風景を交えて、写真とエッセイにより、絵日記風に綴っています。

君の名は

2019-12-21 03:09:26 | 今日を旅する
君の名は
 
 先日、Cityのショツピンクモールを歩いていると、そこに、あの時の彼女がいました。

 私が、彼女に最初に出逢ったのは、4年ほど前の四月でした。
 その日も、彼女は同じストリートにいました。

 その年、私は写真勉強の最後の年を迎え、卒業作品の制作を始めることとなりました。
 その一つで、最大のものが、フォトブックの制作でした。
 それは、一年をかけてのフォトブックづくりで、息の長い根気のいる作業となります。そのコンセプトづくりとストリーラインの構想を、まずたてなければいけませんが、私は、それを三月に、おぼろげながら決めていました。

 それは、簡潔に言えば、この街に生きる人たちの"After dream Before 夢のあとさき"です。それは、それらの痕迹を、光りと影の交錯、光と暗闇の交響曲として描いた、人々と街の織りなす叙事詩を、落書き風に作り上げるものでした。

 そのための題材となる写真撮影をスタートしたのが、その日でした。
 その日、彼女は、ギターを抱え、そのストリートで歌っていました。

 その日のことについて、私は、"あとがき"の中で次のように記しました。
  "バースでの撮影は、4月5日から始まった。
  その日も、ストリートは日射しが強く,街には光が充満していた。
  人々は、その中を楽しそうに行き来していた。
  その中を私は一人孤独に歩いていた。
  その時、大きなギターを抱えて、一心に歌っている小さな少女の姿が目にとまった。
  彼女は強い日射しを避けるためか、大きな白い帽子をかぶっていた。
  そのため、彼女の正面に向かい、初めて彼女の顔をみることができた。
  優しく微笑みかけてくれた彼女に、私は,自然に撮影をお願いしていた。
  そこから,すべては始まった。
  振り返れば、あの出会いがすべてだったような気がする。
  作品のコンセプト、ストーリーラインは、あの時撮った数枚の写真が、キーになっている。"










 四年前のその日のイメージは、フォトブックの中には、鮮明に残っていますが、私は、彼女については、ほかには何も知りませんでした。当時、彼女は、お父さんのガードの下で、一心に歌っていました。
 私は、フォトブックが完成したあと、それをお礼として手渡そうと思い、Cityの街に何度となく、出かけましたが、その機会を失し、現在まで来てしまいました。



 そして、四年の歳月を経たこの12月、私は彼女に再会したのでした。
 彼女は、以前に比べ、随分大人びた雰囲気を醸し出していました。
 私は、不審に思われてはいけないと思い、自分の名刺とポストカードを渡し、四年前に写真を撮らしてもらったことを告げると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべて、以前と同じ様に微笑みかけて来ました。

 それで、私は、さらに話しかけてみようと思い、
 "Your name?"
 "How old are you?" と、尋ねました。 
 すると、彼女は、
 "My name is Sophiie!"
  "I'm 16 yeas old."  と答えてくれました。
 
 その彼女の言葉によって、初めて、当時、彼女は12才のうら若き少女であったことを、知りました。









 その後、彼女は少し打ち解けて来たのか、自分の夢は歌手になることであり、今日は友達と一緒に来ていると教えてくれました。






 私は、最初の出会いから、四年後となったこの日、彼女とより親しくなることができたことに感謝し、帰りがけに、私のホームページに、彼女の写真が載っている旨と、インスタグラムのアドレスを教えてあげました。 
 また、今回、お礼を告げることができ、やっと心残りが解消された、清々しい気持ちで、家路につくことにしました。

 折しも、街はクリスマスシーズンとあって、クリスマスデコレーションで飾られたストリートには、いろいろなパホーマーが出没しており、華やいだ雰囲気を醸し出していました。
 その中で、人々が彼らとともになって、楽しみ、興じている姿を見て、私も今日の嬉しい気持ちが、さらに大きくなっていました。









 家に帰って、パソコンを開くと、早速、Sophiieからインスタグラフでの応答がありました。
 私は、今度、また会う機会があったら、是非、私のフォトブックをプレゼントしようと、その時思いました。




 





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