近所にあるお宅の塀の上から顔を出していた木があった。
毎日この場所を通っていて、葉っぱだけが見えていたので、てっきりモッコクかモチノキだとばかり思っていた。
ところが、数日前にこの木に蕾が付いていたのを見て「何だろう?」とまじまじと見た結果、この木が「モクレイシ(木茘枝)」だと気づいたのだった。
最初は小さな蕾だったのが、数日前からの暖かさに一気に花が開き出した。
直径は5ミリほどで小さくて、葉の付け根あたりにまとまって咲いている。
緑色の花って珍しいし、葉と一体になってしまって、よく見ないと気がつかないかもしれない。
モクレイシは雌雄異株で、雌雄の株にぞれぞれの花を咲かせる。
この場所には3本の木があって、1本が雌株、2本が雄株だった。
雄しべの先端に黄色い葯(やく)が見えるものが雄花で、この木は雄株。
それに比べて雌株についている雌花は雄しべがほとんど目立たない。
花や葉っぱはプロパンガスのような匂いがすると言われているが、あまり感じなかった。
学名: Microtropis japonica
英名:Mokureishi tree
別名:フクボク
科名・属名: ニシキギ科 モクレイシ属
原産地:日本、台湾南部
「モクレイシ」という名前について
レイシ(茘枝)とは中華料理のデザートに出てくる「ライチ」のこと。
そしてその実は野菜の「ゴーヤ」に似ていると言われている。
ゴーヤにはツルがあるので、ゴーヤの別名は「ツルレイシ」。
「モクレイシ」には実が生り、それが裂けると赤い種子が出てくる。
この種子がゴーヤに似ているけどツルがなく、木なので「モクレイシ」と名付けたということだった。
ライチ → ツルレイシ(ゴーヤ) → モクレイシ ということらしい。
でも、ライチはムクロジ科、ゴーヤはウリ科、モクレイシはニシキギ科と全く違った植物なのに、ただ似ているからと名前をつけちゃうんだ。
命名って意外と適当なんだ・・・
そういえば、以前にどこか海外で「バンレイシ」という果物を食べたことがあった。
別名を釈迦頭というのだけど、これも似ているだけで命名されたのかも。