今回の旅行にはもう一つの目的があったのです。
それは「足立美術館」に行くことでした。
だから翌日は兵庫県浜坂から鳥取県を通り、島根県まで足を延ばしました。
この日の宿は玉造温泉の「山の井」に決めてありました。
「山の井」の宿泊プランの中には足立美術館のチケットが含まれたお得なプランがあったからでした。
しかも「山の井」が美術館に予約を入れてくれ、その日のうちならばいつ行ってもチケットなしで入場できるようになっていたのです。
足立美術館のある安来市は玉造温泉よりも手前にあるため、わざわざ宿までチケットを取りに行かなくとも済むようになっていたので、これはとても嬉しいシステムでした。
足立美術館は今までに2回ほど来たことがあったのですが、今回とは季節も違っているし、また来るたびに違った展示作品があるので、何度来ても新しい感動のある、とても良い美術館です。
素晴らしい日本庭園と名画をゆっくりと観賞しながら非日常を感じることができる、大人の雰囲気がたっぷりの場所なのです。
「足立美術館」は地元の実業家であった故足立全康氏が開いた美術館で、広大な日本庭園と横山大観などの作品や古美術品等の蒐集品で有名なところです。
この日の目的はこの美術館を見るだけだったので、時間をかけてゆっくりと回り、横山大観や北大路魯山人などの作品もじっくりと見させていただきました。
この時は冬の特別展か開催されていて、大展示室では手ざわりを感じられる絵、小展示室には美人画、おなじみの大観室では冬の大観コレクションとなっていました。
また、足立美術館には有名なスポットで「生の掛軸」、「生の額絵」というものがあります。
これは、床の間の壁をくりぬいて、そこに山水画が掛かっているかのように見せたり、また窓枠を額縁として庭を絵のように見せたりするものです。
これを考えた人も、造った人もすごいですね。
今ではこれが横山大観コレクションと並んで美術館の名物となっています。
とにかく庭園以外の写真はNGだったので、すべて目に焼き付けてきたつもりです。
[生の額絵]
美術館のパンフレットにも使われている有名な場所。
窓枠をつければ生の額絵となります。
[白砂清松庭]
横山大観の作品「白砂清松」をイメージして造られた庭。
奥の方には滝も流れていた。
[池庭]
[生の額絵]
床の間の壁をくり抜いて遠くの景色を映し、一幅の山水画が掛かっているように見せています。
「足立美術館」は1970年に開館しました。
今では西日本三大美術館として誰でも知っている、有名な美術館となっています。
ところが、当初は日本よりも海外で有名な美術館だったのです。
それは、アメリカの日本庭園専門誌の「日本庭園ランキング」でずっとトップを維持していたからなのでした。
だから、美術館よりも日本庭園の素晴らしさで海外に知られていたのです。
安来市という小さな場所なのに海外から多くの観光客が多かったのはそのような訳があったようです。
もうずっと昔になりますが、当時購読していた新聞に「日本にある美術館で、日本人よりも海外の人の方が知っている美術館」ということで取り上げられていたのを覚えています。