11月の初め頃、道路の隅にある電柱の陰にナスに似たような白い花と緑色の実が生っている小さな木を見つけた。
実はミニトマトのような形で、全体がピーマンやトウガラシのようにも思える木だった。
調べてみたらこれは「タマサンゴ(玉珊瑚)」という園芸植物だと分かった。
近所の家から抜け出してきたのか、縁石の隙間からたった1本だけ出ていた。
このタマサンゴのプチトマトのようなかわいらしい実は緑色から、黄色、橙色、赤色と変化するようなので、その場所を通るのを楽しみにしていた。
ところがある日、その「タマサンゴ」が跡形もなく消えていた。
きっと雑草として抜かれてしまったのだと思う。
実が赤くなるのを待っていたのに、見られずにがっかりしていた。
その後、12月半ばにその近くの家の庭先に何やら赤い実が生っているのが目に入った。
あっ、「タマサンゴだ。」、そう思って近づいてみた。
11月に見た「タマサンゴ」はきっとこの家のものが逃げ出したのだろう。
だとするとあの時のものはこの木の子ども? と勝手に思い込んだ。
しかも、親の方は既に赤い実、黄色い実になっていたのだ。
たったこれだけのこと、他人から見たらどうでもよいようなことでも、すごく嬉しかった。
「タマサンゴ」は南アメリカ原産で、観賞用として明治時代中期に渡来した。
実生によって増え、高さは30~50cmほどになる。
別名で「フユサンゴ(冬珊瑚)」、「リュウノタマ(竜の玉)」などとも呼ばれている。
花が咲いた後には赤色、オレンジ色の光沢のある、きれいな実を付ける。
タマサンゴは鉢植えや観賞用以外にも、漢方薬としても利用されている。
その一方で、多くのナス科の植物と同じように、有毒物質のソラニンを含んでいるので食用には適さない。
学名:Solanum pseudocapsicum
英名:Jerusalem cherry
別名:フユサンゴ(冬珊瑚)、 リュウノタマ(龍の珠)、 エルサレム・チェリー
科名・属名:ナス科 ナス属
原産地:南米