第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

ニホンミツバチの蜂蜜をもらってしまいました!総合診療と養蜂家

2021-09-16 15:04:40 | 総合診療
白石先生から、ニホンミツバチの手作り蜂蜜(末端市場価格1万5千円!!→白石先生と心通うと無料)と白石先生のお宅のお庭で育てた大葉で作った手作りジェノバソースを頂いてしまいました!
 
ニホンミツバチの蜂蜜は、昨年一緒にこのプロジェクトをお話した時に頂いてありえないくらい美味しかった品です。今年の糖度は78%にて早めに食べるようにと。
 
白石先生の横顔はいったいいくつあるのかってくらいわかりません・・
ある時は養蜂家、
ある時は狩猟家として鉄砲打つ人
ある時はヨットマン、
ある時は漁師、
ある時はアウトドアマスター、
ある時は医師、
ある時はテスラのCMに出演している人、
ある時は潜り人、
ある時はカヌー乗る人、
ある時は養鶏家、
ある時は洋犬の飼い主、
ある時は経営者
あっ忘れてました、
勿論しまね総合診療センター長の横顔もお持ちです。
 
こんなすごい人に会ったことは人生ではありません。そうとう影響を受けて僕は日々人生を学んでいます。
白石先生、本当にありがとうございます。美味しくいただきます。
 
まずはジェノベーゼパスタと、蜂蜜トーストを贅沢に造ります。

総合診療の研究 メンターメンティーの関係

2021-09-13 17:14:24 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

NEURAL GP networkのGP researchのコーナーを書きましたので転載します。

 

全体の管理者(兼)GP Research プロジェクトリーダーの燃える闘魂 です。

このコーナーでは研究面の情報も提供いたします。

今回は総合診療医のメンター&メンティーのお話です。

実は島根の総合診療のAcademic activity(研究面での貢献)は本当に高いです。

僕らNEURAL GP networkでは臨床医が日々の診療で遭遇した疑問をリサーチクエスチョンとして、実際に研究してアウトプットしたり、また学びになる症例は一生の教訓としてCase reportとして楽しく発表することを目標に活動を行っています。

ビジョンは”研究業績”の為の研究ではなく、臨床現場や政策に応用するための研究なので、現場の疑問がとてもおもしろいです。

研究に関しては、鉄は熱いうちに打て!ということで、現場の総合診療医の高い志の”鉄”は、鍛えて鍛えて”鋼”になるように、シマネのみんなで一生懸命がんばり始めました。

やっぱり僕の経験的に後期研修医の間にまず英語でCase reportから始めておくと、PubMedの使い方や効果的な検索の仕方を習得できるので非常に学習効果が高くなると思います。間違いありません。

Case reportを一度投稿する過程を練習しておけば、原著論文の投稿プロセスはほぼ同じですので国際誌投稿への心理的バリアも殆ど感じなくなると思います。

アウトカムを出すために何が一番重要かということを考えると、海外の研究でも多数エビデンスがでております。それは、研究においてはMentorshipが一番重要であり、Mentor(メンター)もMentee(メンティー)も意識してMentorshipを考えると良い相乗効果が生まれます。1)

教えてもらえる事を当たり前と思わないこと、感謝できること。また適切な姿勢と距離感をとれること。優秀なメンターはほぼ100%激務です。多くの場合、病院内外、県外、国外と色々なメンティーに対してメンタリングを要求されるからです。

そして、やはり優秀なメンターとメンティーから構成されるネットワーク網が重要であることがわかってきています。これはエビデンスとして面白い論文でした。)2 

一般書では、やはりSanjay Saint先生の書籍が素晴らしいです(徳田先生方が翻訳されていますので是非)。)3 下記

是非、お読み下さい。Sanjay Saint先生は僕の尊敬しているホスピタリスト、医療の質/安全、メンタリング、臨床研究の分野で米国を牽引する素晴らしい米国のリーダーです。

研究の全ての工程は、経験的にも適切なメンターがいればかなり心理的肉体的負担を少なくすることができます、結果的にあっという間に成果を出す事ができます。

 総合診療医における研究ではメンターが、とても重要だと感じる今日この頃、僕がお世話になってきたメンターの先生達にはやはり育てて頂いた感謝の気持ちしかありません。

初回はこの辺で、次回からこのコーナーでは我々シマネの総合診療医達が臨床現場で頑張って実施して発表した研究成果をなるべく楽しく分かりやすく紹介していこうと思います。

  1. Vineet Chopra and Sanjay Saint. Six Things Every Mentor Should Do. Harvard Business Review, 2017 March.
  2. Chaiyachati, K.H. et al. The Association Between Mentor-Mentee Network Features and Publication Productivity Among Early Career Academic Generalists. J GEN INTERN MED 34, 346–348 (2019). 
  3. 医療者のための 成功するメンタリングガイド. 徳田安春(監訳) 医学書院, 2020.12月

 

 

https://amzn.to/39MVUqr


学校で習わない医療者のためのチームマネージメント

2021-09-09 11:23:10 | 総合診療

チームビルディング

これまで僕が若い頃から一番大事にしてきた内容です。

組織運営やチームのマネージメント、また笑顔で人が集まるための秘訣をGlobis経営大学院の田久保先生に教えていただきます。

一人で2倍の分を成長することは、ある一定の年齢になると難しいです。

でも、ネットワークや仲間、チームがあれば2倍どころか、4倍も16倍も簡単に可能です。

世界中の同じような頑張っている人とつながると、どんどん可能性が広がるというのもネットワークで説明できるように思います。

このマネージメントやリーダーシップの内容は翌日から必ず現場でお役に立つとおもいますので医療者はこの機会にみなさまご参加いただけますと嬉しいです。勿論無料で日本の様々な医療組織がよくなることを考えて外部開放します。

 

--------------------下記------------------------------------------------
職場で他診療科や上下関係、他職種、または同僚がなかなか上手に動いてくれない!そうお悩みの事も多いかと思います。

 

そこで、全ての医療職/学生を対象にグロービス経営大学院研究科長 田久保善彦先生に、【チームを造り、成功させる秘訣】のエッセンスを教えてもらう機会を作らせていただきました。

 

下記から、田久保先生の事前レクチャー(8分程度)を6本を見れますので、参加される方はぜひ事前学習されて望まれると当日さらに深い学びが得られると思います。


参加者は"志"のある方ならばどなたでもOKです。
みなさまのご参加を本気で待っております!!
(島根県の総合診療医はこの機会に一緒に学びをお願いします)
9月22日夕方18時からZOOMで開始致します。
申し込みはこちらから (URLを配布致します)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeI_7R3SipJBlIzu9kjEZdi5s065dz6EYe9QIVagI5EhIaEwg/viewform


DeLonghiのコーヒーでCreativeに総合診療を考える空間と生活を~General Medicine Center~

2021-06-12 14:34:34 | 総合診療
 
皆様こんにちわ
 
身近なところで色々な事をドンドンと進めており、しまねでいったい何が起こっているのか!?
なぜ島根なのかも、全く分からないと聞かれるので、これからこれまでの事やこれからの事を少しずつ少しずつ小出しにしていこうと思います。
 
今は、ホームページや部屋づくりも含めて、全ての活動を総合診療系医師全方向性である縦*横*斜めのコラボレーションも鋭意進めている最中です〜
 
島根の最強のデメリットは物理的に東西230kmと長く交通の便がわるすぎることです。
だからこそそれを、逆にメリットにするべく、Virtual IT officeを構築するために日夜勤しんでいます。
 
 
ここは、いずれ島根に来ていてだければ、直接お見せいたしますが
 
全島根県の総合診療系医師の皆様が心理的安全性と透明性を持ってディスカッションする空間(だから壁は全てガラス張り:逆に安いです)であり
 
時には家庭医や総合診療医を目指す若者が集まるカフェとして
 
時には、FMラジオスタジオのよう
 
時には、宇宙戦艦ヤマト的な司令室モニターのように
 
大事な情報がココから発信されて、そして大事な情報がココに集約する、そして家庭医も総合診療医も病院総合診療医も総合内科医も全く関係なく仲間が自由に集まれるように素敵な空間を造りたいと思ってきました。
 
5年前に空想の世界に描いたことでしたが、夢ついに叶えれり!
 
そうそう、白石センター長はコーヒーに煩くて、僕と同じようなExtravert & Leaderタイプの人です。
空間演出や突き抜けたアイデアなどは同じ人種がなせるわざなのか、一言も交わさずに意見が同じであったり、殆どの議論で共鳴することが多いです(例外は僕が自然での遊びが苦手なくらい、アカムシとか釣りのサビキの餌のにおいが苦手)。
 
 
今回、上記のビジョンとコンセプトの為にDeLonghiのコーヒーマシーンがセンターに設置されました。
 
当然、前例がないということから始まるのが国立大学なのですが、この部屋は医師の所属など全く関係なく、年功序列や役職なども完全無視して、
自由にあつまり自由に語ることができる空間として活用したいので全ての意味でメリットしかない!!と英断いただけました。
 
感想は、まず味が良すぎます。香りが良すぎますね。
確実にお店のカフェのコーヒーです。
豆にこだわれば当たり前ですが、お店のコーヒーより美味しいです。
 
次に、費用対効果も高い。全自動であることは極めて重要です。なんだかんだ、以外と考慮されないのが維持費と手間と人件費ですが今回はそれすらも大胆に無視して計算します。
 
一杯当たりのコストを計算して比較すると下記のようにメリットしかないのですね。
 
豆は出雲のイオンの珈琲専門店で安く200g 600円で購入するとします。
比較1 100円のコンビニのコーヒー
比較2 市販されている2万円のカプセル式マシーンで一つ50円のカップを電気屋で購入する場合
 
で比較します。
 
 
一人が一杯/日で計算した場合で、すでに我らがDelonghiコーヒーマーシンちゃんは、9ヵ月以内には巷で美味しくて安いとされているカップ式のコーヒーマシンより経済的に有利になります。
 
 
 
今はまだ部屋ができていませんが、既に学生さんや研修医さんが興味シンシンでちらほら来てくださっているのと、
僕らは島根一丸となって改善運動をしてくので、行政の方や大学事務の方が本当にたくさん相談しにきてくださるので20杯/日は越えてしまっています。
この事から、既にこの数ヶ月で初期投資を回収できることは明白なんです。
 
 
このように、色々なことを費用対効果とアウトカム重視、改善するためにはどうしたらよいか?
リスクは何で、問題は何で、根本的な原因は何か?などなど。常時、PDSA meetingをして取り組んでいます。
 
その一例が一杯のコーヒーなだけなのです。笑
 
 
僕らは自分達の診療科だけとか、自分の施設だけとか、講座だけとか、そんな小さなことは本当にどうでもよくて
 
島根全体のために
 
本当にやりたいこと、やれること、やらなければならないこと
 
その中央突破を楽しくやっていくことが大事と思っています。
 
そのために必要なことには、提案された良いと思ったアイデアでは全て採用としてそれぞれの総合診療医がリーダーとして全てチャンレンジしていく!
 
そんな感じのことを始めていっています。イケオジで憧れる白石センター長(島前病院)、島根のみんなと一緒に、がんばります〜!
 
 
アマゾンのレビューや、感想、Q&Aはこちら。
     ↓
 
 


General Medicine Center 設立しました!!

2021-04-02 16:01:15 | 総合診療
みなさま こんにちわ
この半年、文字通り昼夜逆転しながらも、自分の為ではなく地域と今後の総合診療医育成のためにがんばってきました。
4月1日一人ぼっちであったこのセンターに正式に白石吉彦先生が就任いただけました。エイプリルフールではありません!
 
 
昨年度は個人レベルで思えば諦めるべきことが多すぎて辛いことばかりした・・でも大きな夢は絶対諦めないで、自分のエゴの部分の小さな夢であったボストン行きは中止して、島根でこの半年以上がんばってきたことになります。
 
しまね県と大学と基幹病院、家庭医、総合診療医、総合内科医、病院総合医etcみんなが一体となって新しいことを始めます。
 
もう我らがしまねにはGeneralistの差分や壁はいらないです。次世代のためにやるべきことをやりたいです、少しでも結果を残せなかったら、若い仲間が楽しそうでなかったら白石先生と二人で引責します。
 
現場の臨床医を大学や役職で運営/管理するという明治から続く古典的なマインドセットを転換し、逆さまにしてトライしてみたかったのがホンネです。
 
僕はとっても前からおもってきたことがありまして、地域医療で奮闘する現場の総合医たちこそがヒエラルキーなく中心となって、年齢・性別・役職、出身大学や自分の病院や講座とかを無視して全体の為に良い意見は透明性高く全て採択してチャレンジしていく!! ITを駆使して持続可能な成長をし続けるためのニューラルネットワークをつくる。良い挑戦にはどんどん資本を投入する!そんな仲間たちとの新しいTeam buildingをしたかったのです。
 
これは絶対Harvardの学びよりさらに楽しい実学になるだろうと。だから立ち上げ終わるまで島根に残る(多分前代未聞)
そしてバーチャルオフィスを作り上げれれば、物理空間を無視できるので海外からも大学教員として貢献もできる(多分前代未聞)
現場の総合診療医の活動の場所は卒前教育の中枢神経である大学や地域医療の現場で自由に移動しながら行える、離島からでもできる(多分前代未聞)
 
そんな新しいスタイルになればとみんなとがんばってきました。
 
4月1日になりましたので、ぼちぼち全体像をUpしていきます。
大学規定の枠外としての給与体系、働き方
独自の教育方法、それぞれのGP Stories,全症候学ビデオ全国公開etc、
 
これまで国としても前代未聞のことばかりなので、500円サイズの脱毛症数個くらいのぐったりと疲弊するやりとりがありましたが、医学部長、病院長すべて大学上層部の先生方の温かい理解と最強支援、県医療統括鑑お二人の強烈な支援、総合診療医の仲間達のあふれるパッション、真に必要な地域医療現場の需要と、供給しなければならない県と行政側としてのアカウンタビィリティ。全てが団結して一致できた不思議なつながりとタイミングの結果であるのは間違いありません。
 
今日からさらに仲間が増えます。めちゃくちゃ嬉しいです。
 
4月1日の一歩はとても小さな一歩ですが、しまねの総合診療医ととって大きな一歩になると確信しています。がんばります!!
 
General Medicine Centerのミッション:
へき地・離島を含む全ての地域の住民が安心して過ごせるよう優秀な総合診療医を育成し、持続可能な医療を提供し続ける。
 
General Medicine Centerのビジョン:
ヒエラルキー並びに組織間の壁の無い総合診療医育成の為のネットワーク
・総合診療医の育成を様々な場所からリアルタイムで可能にする。
・住民が安心できる医療を提供しつづけるために、総合診療医同士の相互サポートを行う。
・総合診療医が仕事、私生活を充実して過ごすサポートを行う。
・地域医療現場のネットワークを用いて総合診療医学研究で世界を牽引する。
 
2021年度 挑戦項目
1 Teal組織型バーチャル ITオフィスの構築
2 大学内の様々な総合診療へのBias除去
3 役職・年齢・ヒエラルキーを取り除く
4 離島や海外からでも総合診療育成するシステムの構築
5 日本の総合診療医育成のモデルになる
6 市中病院の総合診療医が逆に大学で働ける
7 Teal組織への浸透
8 意見交換/コミュニケーションを10倍以上達成
9 総合診療医学の教育と実習を充実・標準化
10臨床実習の症候学の不足を補う
11家庭医学の理念と学問を正規教育に組み込む
12県内総合診療医の心理的安全性と仲良さの強化
13総合診療領域の研究で日本を牽引
14高い透明性があり全員が方針決定に参加できる
15離島僻地に実力ある総合診療医を供給継続

島レジプロジェクト お金のはなし

2020-12-23 11:57:00 | 総合診療
第23回島レジプロジェクトはなんと”医師が伝える研修医が知りたいお金の話” しかも、YouTubeライブ。

ベテラン先生に聞きにくい医師のお金の話をYoutuberのなおき先生が教えてくださります。私は全然絡んでませんが、もうそんな画期的なところまで・・・

学生研修医のみなさん、お問い合わせは!!

島レジプロジェクト-チーム ZERO- へ直接お願い申し上げます。
shimaresiproject@gmail.com
編集
 
 
 
 

COVID-19から学んだこと

2020-10-24 15:41:00 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

自分がEditor in chief をつとめるジェネラリストコンソーシアムの方に書いた寄稿をこちらにも載せておきます。

正直僕はこのCOVID-19が自分に与えたは影響は計り知れません。かなり大きな方針転換や覚悟を強いらされ、考えさせられた経験になっています。今日は、Status quo bias:現状維持バイアスについてです。コロナという、変わらざるをえない外圧を受けた時の人間としての挑戦と、感情の乱れを毎日俯瞰的に観察するようにしています。

 

COVID-19から学んだこと

COVID-19によるパンデミックはマクロレベルで我々人類の新しい生活様式を模索するようになったと至る所で叫ばれている。そして、私がフィールドとする大学医学教育改革の仕事でも同様の言葉が使われている。しかし、そもそも“新しい考え方”、“新しい試み”等、謳われている内容を深く省察してみなければならない。

例えば、インターネットを用いて、新しくオンライン授業に移行することできた。各講座の教育が見える化された。決定事項を伝える無駄な会議が大きく減った。医学生とオンラインでセミナーを全国レベルで開くことができた等々。よくよく考えてみれば、これらの多くはすでにCOVID-19が到来する前から一部ですでに理論的にまた技術的に確立され実施されてきたことばかりである。

それを採用してこなかったのは我々の判断である。

 

今更ながら新しくともなんとも無い、以前よりある考え方や技術的なものをCOVID-19のおかげで”何とか取り入れることができた”という陰の側面の方が大きいかもしれない。Evidence Based Medicineは我が国に普及してきているにもかかわらず、おそらく医学教育面に関してはいまだEvidence Based Educationが採用されているとは言えない。大学医学部は、本来有用なアイデア、合理的かつ有効な医学教育手法などは大学の現場で仮説を検証して、実証していくべきである。医学部は教育機関であり、医学教育研究の最大の実践場であるはずであるからだ。

 

人は簡単に変われ無い、よって私を含む大学教員も簡単に変われない。これは人類が生存するために、デフォルトとして脳は変わらない事を選ぶ傾向があるためだ(Status quo bias:現状維持バイアスと呼ばれている)。強烈なバイアスは、より強い意志とシステムの構築で教員の省察を促し、De-bias(バイアスの除去)することでしか対処できないと私は考えている。医療の質と安全の分野では米国 Institute for Healthcare Improvement からRCA2 (Root Cause Analyses and Actions)が2015年に発表されたが、最後のAの文字の意味はActionである。結局はどの領域でもActionが全く足りていないということがうかがえる。これは我々の日常教育現場にそのまま当てはまるかもしれない。教育の理論や評論はもういい、我々は実践してこそ価値のある現場にいるのだと常々感じる。COVID-19が私にくれたもの、それはシステムを大きく変革するチャンスであり、医学教育の実践(Action)へ舵取りを行う機会であったと思う。

 

1) Dedeilia A, et al. Medical and Surgical Education Challenges and Innovations in the COVID-19 Era: A Systematic Review. In Vivo. 2020 Jun;34(3 Suppl):1603-1611.

2) Kahneman, D, et al. (1991). "Anomalies: The Endowment Effect, Loss Aversion, and Status Quo Bias". Journal of Economic Perspectives. 5 (1): 193–206.


白石吉彦先生にメンタリング&授業いただきました 隠岐島 島前病院

2020-10-11 14:48:08 | 総合診療
島根のカリスマ白石先生(隠岐島前病院)にこっそりお寿司屋さんで、メンタリングいただきました。
同時に授業も聴講し大変感銘を受けました。
 
行政の方達は総合診療政策を語る前に一度Videoで良いので白石先生の戦略やポリシーや哲学の聴講をおススメします。
 
リスペクトできる一流の先生の生きてきた人生の轍を垣間見ると、とても興奮します。
 
授業の内容:
 
・どんな環境でも、どんな田舎でも、自分が足りないものを自覚できれば、周囲の人と教え合う事ができれば、どこまでも学び成長する事ができる。成長しようとするか、しないか?それだけ。
 
・場所ではない。離島にも関わらず、どんどん若い人が学びにくる、医者が働き続けたくなるような病院づくりをすれば良い!
 
・一人でがんばれば良いというシステムはだめ、孤独感はもたせない。カンファレンスで精神的につながる、臨床技術は高め続けると楽しい。
 
・観光や余暇が楽しいだけでは、離島に人は集まらない。Happyで仕事が楽しくないと良い人材は残らない、そこをまず意識する。
 
・圧倒的に早く2006年には電子カルテ導入で、島外から圧倒的に早くオンラインカンファレンスを導入。
・ミッション、ビジョン、クレドーを提示し、全職員と共有する。
 
 
 

指導医講習会 完全Web

2020-09-23 15:10:05 | 総合診療
完全Full web指導医講習会、やり遂げました!!緊張しました。振り返りました。
 
いやー凄かったです。本当に事務局とタスクのみなさまが一丸となってやった達成感がありました。
 
*すでに、質問を数件いただいており時間的に僕一人では答えられません。よろしければ、こちらから県事務局へ問い合わせください。
非常に優秀で熱心なので色々とノウハウを教えてくださると思います。
 
正直、ここまでできるとは思っていなかったので、本当に県庁や各市役所から出向いただいている事務局の皆様の凄さにつきます!
 
**やっぱり確信したのですが、年功序列や階級や役職を無視して30代、40代の事務スタッフがアイデア、発想力、行動力を持って突き進み、年長者が全て責任はとるので全部やって良いと支持しながらサポートする。それだけで、ここまですごいのかということがわかりました。
 
SNSとインターネットの時代に、オンライン授業の改革などが進まない理由がなんとなくわかりました。これはやった言葉ない、見たことがないことは心理的に進まないのですね。役職ある方はもう適任の方に任せて、権限譲渡と責任はとるという姿勢を見せることが本当に大事だということをこの仕事を通して学びました。医者だからとか、年齢や役職とか階級で人をマネージメントする時代ではもうやはりなくなっています。
 
さて、下記がそのアイデアや工夫のメモのなります。
 
【Full Web指導医講習会で使用したToolの例】
オンデマンド講義作成の工夫のための機材
ZOOM(ブレイクアウトいってらっしゃい・おかえりなさい)
Eden(事前学習とオンデマンドのプラットフォーム、評価アンケートも全て)
Jamboard(KJ法とアイデア出し、会議に)
Google document
Google Slide (全体のパワーポイント的発表に)
Spread sheet (事前に数式を入れて点数化等)
FacebookとLine(タスク全員の裏のやりとりに)
チャイムの音
拍手喝采の音
時計表示
皆の本気な気持ち
物理的小道具の郵送(色々なものを事前に開封できる形で郵送しておく)
振り返りのたまご
*Webでの修了証授与は本当にシュール。
 
思えば、夏に僕らタスク全員が慶應大学の井庭先生からオンラインの盛り上げ方を学ぶことから始めましたし、また参加者の4割がZOOMやオンライン会議を使用したことがないという状況から事前勉強会などで使いこなせるまで慣れきっていただけました。これは確実に県全体の指導医のオンライン教育の底上げができたと思います。
この数週間、島根のタスク先生方が病院の垣根なく一致団結していた感覚を味わえたことが、今年一番の収穫でした。
 
事務局のみなさま、公務員らしからぬ、良い意見とアイデアの前では役職階級無視と前例にとらわれない斬新な発想の出しあいと熱意が本当に素晴らしかったです。
 

風邪のみかた講義 試験問題とその解答

2020-09-05 21:45:51 | 総合診療

皆様こんにちわ。

新型コロナウィルスの猛威は今度は世界の至るところに拡散し、日本ではニュースになっていない国で惨劇です。ボストンも毎日500人レベルで新規感染者が出ているようで非常に今後どうなるか見えない状況です。

さて、医学部で授業をすることは楽しく、若い学生さんの勉強したいというエキスを吸って色々と人生楽しんでおります。例えば今年の、感染症チュートリアルでの感染症診断学と風邪のみかたの授業の回答を見て素晴らしかったので、シェアしたいと思います。

一般の方には、意外かもしれませんが、医師は臓器別に得意な領域を作って研鑽していくことが多いために、風邪のみかたを学生のうちに学ぶことはありませんでした。

(少なくとも僕らの時代は)

この風邪のみかたの講義は、毎年毎年、工夫して進化してきたのですが、今年の試験問題は、下記のように風邪の病態を考え、原因を考えて、鑑別診断を考えて、患者さんに丁寧に説明できる

というレベルまで期待して試験を作ってみました。しかしこの出来が素晴らしく、色々と一人一人チェックして(余力時間を使って3日もかかりました)学生さんの答えを引用させていただきました。

*注意:下記の答えは医学生さんが書いたものです。人間力が素敵ですね。このような実際の現場感覚を来年以降も試験に出し続けたいと思います。

 

記述問題

あなたは卒後2年目の初期研修医です。

特に既往がない62歳女性が37.8℃の発熱を主訴に夜間の救急外来に受診しました。症状は咽頭痛から始まり、軽度の鼻水、軽度の頭痛、膿性痰を伴わない軽い咳があります。あなたは咽頭の診察で特に問題となる所見が無く、下顎のリンパ節の圧痛が無いことを確認しました。

 

しかし、この患者は2週間前に孫が「溶連菌」であると近医で診断されたとのことで、自分も感染しているのでは無いかと心配し、抗菌薬処方を強く希望しています。

 

あなたは医師として(1)風邪とは病態的にどのようなものか、(2) Centor 基準、(3) 抗菌薬投与の必要性の有無とその理由について、実際の患者に説明するように論理的に説明してください

 

(1)

風邪とは、鼻水、咳、喉の痛みや熱、頭痛、関節痛などが出る、ウイルスによる感染症です。ウイルスといってもたくさんの種類があって、例えばインフルエンザもウイルス感染症の一種ですが、もっと症状が軽くて放っておいても治るようなものをまとめて風邪と呼んでいます。今回のように全身色々なところに症状が出ている場合、風邪である可能性は高いと言えます。

(2)

 お孫さんが溶連菌感染と診断されたということで、自分もそうなのではとご不安なのはとてもよく分かります。そこで、溶連菌の感染がないかを簡単に調べさせていただきます。喉の痛みを調べる際にはよくCentorスコアという基準が使われています。Centorスコアには次のような項目があります。

  • 38℃以上の発熱があること
  • 咳がないこと
  • 喉のリンパが腫れていて痛いこと
  • 扁桃腺が腫れて膿が出ていること
  • 年齢が低いこと

これらの項目は、溶連菌による感染症で起こる症状と溶連菌に感染しやすい年齢を考えて決められています。これらの項目に2個以上当てはまっている場合、溶連菌に感染している可能性が高いのではないかと考えられます。今回の場合、この診断基準に当てはまっている項目はないので、溶連菌に感染している可能性は比較的低いと思われます。

(3)

 とはいえ、ご心配に思われて「抗菌薬を」と言われるのも無理はないことかと思います。しかしお伝えしておきたいのは、仮に今回の症状が溶連菌ではなくウイルスによる風邪の可能性が低く、抗菌薬は全く効かないどころかむしろ体に悪い影響がでる可能性があります。

 溶連菌のような細菌とウイルスは全く別の存在です。抗菌薬というのは細菌の体の特殊な構造を利用した薬なので、ウイルスを倒すことは基本的にはできません。また一方で抗菌薬は体の中の善玉菌も殺してしまうので、下痢などお腹が悪くなるような副作用が出ることがあります。他にも皮膚や腎臓、血液などに副作用が出ることもあります。

 これが、風邪には抗菌薬が効かず、むしろ体を悪くする可能性があることが理由です。それゆえ、細菌に感染している可能性が低い場合は、むやみに抗菌薬を使うのをひかえる方が良いでしょう。今回は、Centorスコアの結果などから、溶連菌のような細菌の感染ではなくウイルスの感染が疑われるので、抗菌薬ではなく風邪に対する対処療法のお薬を使った治療から始めさせていただこうと思います。もし数日の経過で、症状が良くならなかったり、むしろ悪くなったりするようでしたら、再度診察・検査をさせて頂きます。ご連絡下さい。私はまだ研修医の身ですので、より詳しい先生に診ていただいて説明をしてほしいなどありましたら、何なりとおっしゃってください。