第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

面白そうなのでCureusに投稿してみました。

2020-03-22 02:39:32 | 総合診療
春ですね。出雲は、湿った暖かい暴風でガラスが割れそうです。
冬用タイヤを2台分変えてから、夜から大学の机に戻り作業をしています。
 
自分の研究の一番大事にしているメイン論文のReviewer2がかなり細かい指摘(勘違いされていると思うのだけど)で、Minor revisionなのですが遂に我が師匠に相談してしまいました。師の判断としては、記述を追加して乗り切るようにとのご指示。明日頑張ります。
 
さて、夜22時からAM1時までの4時間で、ドドドと溜まっていた論文4本を投稿しました。この投稿作業が意外と時間がかかって本当に好きではありませんが、誰も代わりにやってくれないので・・・
 
とっておきのBrief report は夢のCIDにまず。
Case はBMJ Case reportに
また教員僕だけと医学生8人との共同執筆という前代未聞の4000wordsの挑戦はReviewとして
また塩漬けされていたImage的なCaseを「Cureus」に・・・
 
え??、Cureusってなんでしょうか?僕も今日初めて知り、とても勉強になりましたのでシェアしておきます。
 
実はY先生が共著を今日投稿したようです確認下さいと英語の連絡が来たので、不思議なメールだなと覗きにいって見れば、これはすごい!
 
近未来のPeer reveiwシステムのように感じます。一度も騙されたことはないですが僕が大嫌いなハゲタカ雑誌のように高額ボッタクリとは異なり、お金はちゃんとした文章と形態をとっていれば【原則無料】です。
 
 
個人的には世界初の投稿システムと謳っていたので、試しにやってみたくなって投稿してみたのですが、とても絵的に投稿しやすいし、自分で画像を文章に埋めたりできたので確かにこれはわかりやすくて良いですね。また、このシステムを使うことで投稿と同時に編集が進んでいっている感があり、確かにPublishまでの速度が速くなりそうです。
 
 
ただ、もちろんIFなどは多分ありません。しかし、ちゃんとPubMed掲載でPeer Reviewだそうです(質は一流しに比べて劣るでしょうが)。Reviewerは5人もあげる必要がありました。査読がどうしても断られる御時世賢いやり方ですね。
 
*追記:採択率は(2020年)現在50%程度でした。これは他のOpen Journalとあまり変わらないかもしれませんが、分野によるようです。また現在MHQSの同級生 集中治療医インド系アメリカ人も僕に自慢げにCureusに載っけた症例を提示してきたので、もしかしたら今後流行するかもしれません。Pub Med掲載は間違いないです!2020年ではIFはあるとする海外の雑誌評価サイトと、今のところ無いと記載されているのがありよくわかりません。随時確認ください。なんせケースレポートがメインなので。
 
 
 
特に気に入った文面がこれ、”Peer review, not peer rejection” 
Peer reviewは特に勉強になるので、私は原則すべて受けることとしているのと、査読してもらったのも原則とても勉強になるのですが、速く世に出したい時には良いかもしれないですね。やはり建設的なアドバイスをもらって改善して投稿できるようにしたいものですので。

Cureus takes the pain out of peer review. Your work is no longer at the mercy of an opaque and mysterious panel. Efficient pre-publication peer review and community-based, post-publication examination and discussion ensure that your article receives a helpful and informative review.

 
 
投稿受付けている文章はOriginal 、Review、Case report、Technical report、Editorialなどがあるようです。百聞は一見に如かず。
ぜひどのような論文が掲載されているかみにいかれてはいかがでしょうか?ケースレポートは楽しんで、気軽にやるくらいで
 

Accepted Article Types

Cureus accepts five article types. To be considered for publication, each article type must include the sections listed below. Only original articles may include abstract subheadings.

  • Original article

    Original articles report original research and are classified as primary literature. This is the most common type of journal manuscript used to publish full reports of data from research. Original articles may also be referred to as research article, research, or just article, as this format is suitable for many different fields and different types of studies. Meta-analysis articles should be submitted as original articles. Cureus is very selective regarding submissions that utilize survey-based methodologies concerning general knowledge, awareness and attitudes without a clear scientific impact.

    Original articles are limited to 30 references and contain the following sections: abstract, introduction, materials and methods, results, discussion, conclusions, references.

  • Review article

    Review articles give an overview of existing literature in a field, often identifying specific problems or issues and providing a balanced analysis derived from available published work on the topic. Review articles provide a comprehensive summary of research on the selected topic, and a perspective on the state of the field and where it is heading. Review articles can be one of two types, broadly speaking: literature reviews or systematic reviews. Cureus does not accept “brief” or “mini” reviews. Bibliometric analysis articles are only accepted when correctly submitted to a Cureus channel.

    Review articles are limited to 5 authors and 50 references and contain the following sections: abstract, introduction and background, review, conclusions, references.

  • Case report

    Case reports present the details of real patient cases from medical or clinical practice. Cases may contribute significantly to the existing knowledge on the field or showcase less novel results. The report is expected to discuss the signs, symptoms, diagnosis, and treatment of a disease. A goal of case reports is to make other researchers aware of the possibility that a specific phenomenon might occur.

    Case reports are limited to 5 authors and 20 references and contain the following sections: abstract, introduction, case presentation, discussion, conclusions, references.

  • Technical report

    Technical reports are formal reports designed to convey technical information in a clear and easily accessible format. They are typically divided into sections which allow different readers to access different levels of information. A technical report (also scientific report) is a document that describes the process, progress, or results of technical or scientific research or the state of a technical or scientific research problem. It might also include recommendations and conclusions of the research.

    Technical reports are limited to 5 authors and 20 references and contain the following sections: abstract, introduction, technical report, discussion, conclusions, references.

  • Editorial

    Editorials include perspective pieces, opinion articles or commentaries. Before submitting an editorial, the author must communicate via email with Cureus Editors-in-Chief to directly convey the rationale and importance of the proposed article. Editorials will only be approved if submitted by senior clinicians or researchers with an established publishing history.

    Editorials are limited to 5 authors and 5 references and contain the following sections: abstract, editorial, references.


ワクチン接種後30分待つという暗黙の了解の是非を英語オピニオン論文にしました。

2020-03-18 23:00:59 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

今日は自分が患者側となって経験した物語のオピニオン論文発射です。

ワクチン接種後に30分待つ??意味の考察してみました。短いですがぎゅーっと要約してます。

物語は冬のある日僕が子供三人を抱えて、インフルエンザのワクチン接種の場面から始まります。発熱の患児で混雑しまくりの中、接種後も隣の患児達の鼻水や咳嗽を気にしながら先生の指示通り3人分合計1時間以上滞在していました。

日本では毎年1700万人の方がインフルエンザのワクチンを摂取してくださっていますが、僕ら臨床家が悩むのは・・・「インフルが流行りだしてきた混雑した外来でインフルワクチン摂取後に30分待たせるべきかどうか」・・それを鳥取大学の朴先生がFBで質問してくださり機会を得ました感謝もうしあげます。これはもう山陰合同作業の結晶です。そもそも誰が30分(問題)を言い出したのか疑問でした。

レビューの結果は インフルワクチン111万本接種で17人がアナフィラキシー(様)症状が出現し、死亡数は0人でした。インフル111万を含む250万本の全ワクチン接種歴では、1/4の人が30分以内で発症でしたが、特に2-4時間後にIM/SCでは発症することが多いことがわかります。つまりあくまで確率論ですがワクチン接種後の30分以内にアナフィラキシー(様)症状の有無を確認するためであれば99.99%意義は乏しいと言えます。が、100万人に1~2人程度意味がある人がおられるかもしれないことは頭に入れておく必要があるかもしれません。重症になりうることもあるかもしれないからです。ちなみに100万人に1人という確率は東京中の人口全員にワクチンを摂取して8人くらい、逆にいえば宝クジの一等組違いが当たるかもしれない確率とのことです。

このあたりの確率の低さになると「何かあったらどうする!?」という誰の責任論で、ガチガチに身構えて効率を低下させるよりは、医療安全の中でのSafetyⅡのレジリエンス高い、柔らかい考え方が大事であると思います。

さて考察的にはアナフィラキシーはアトピー性皮膚炎の既往の人が8割もいましたので、むしろこちらを丁寧な問診でしっかりと探しだし、発熱患者などが多い混雑時は簡単なチラシなどで注意を喚起した上で、時間を有効に帰宅していただく(感染予防でも極めて重要です)かもですね、というオピニオン論文でした。よろしければご笑覧ください。。

*鳥取大学 朴先生に臨床家としての悩みを頂き調べるきっかけになりました。ありがとうございました! 来年からは我が国のインフルエンザ対策がきっと、劇的に変わるのではないかと期待しています。COVID-19よりも現段階3月18日では圧倒できにインフルエンザによる死亡数が桁違いに多いのは全く注目されていないという事実もあります。少しずつ日本がよくなっていっているのがわかりますね。

1)  https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jgf2.312

 


病院総合診療専門医プログラムワーキンググループ活動ほぼ終わり

2020-03-11 06:57:20 | 総合診療

病院総合診療専門医プログラムワーキンググループの活動の山場を超えました・・

議論に議論を重ね、時には笑顔で殴り合い、

夜も眠れず、

全ては患者さんのためという志で

みなさん忙しい中、一円にもならないExtra effortをしてくださったのだと思います。

僕は横で吠えていただけで、素晴らしい知性と人格と行動力を持った仲間に加えてもらって感謝に絶えません。

本当に、みなさまありがとうございました。

 

この機会に、ふと大学人としての総合医学の講座の発展しているところをしていないところを振り返ることができました。

これまで大学で総合医の講座がうまく行かなった大きな理由に下記のようなGeneralistのスキルがないままポジションが合いているからといってGeneralへ転向した人が多かったということがあげられます(当時は総合医のトレーニング自体がありませんでしたので仕方ないです、責めてはなりませぬ)。でも耳鼻科医が呼吸器内科の教授選に出る以上に、内視鏡をトレーニングなしに実施するように、実は下記のスキルをトレーニングなしに身につけることはとても難しいという実情があります。それを見える化したことはとても自分の中で有意義でした。

*あまりにもよく質問されるので・・島根大学の総合医学講座の教授選がどうなるかこうなるかは、僕は全く知らず関与すらしていないのですが、少なくともこの1-10全てに【浅くてもいいので】理解していて実施欲しいです。。これは、Society of Hospital Medicineのプログラムでもコアな部分であります。周囲と円滑なコミニュケーションがとれ、下記が理解と実施できなければ今後15年停滞します。

1.どのような疾患・病態の患者でも断らず、全人的医療を実践するマインドを持ち診療できる
2.地域包括ケアの要としてコミュニティとつながり、患者やその家族の生涯やそれをとりまく地域を見据えた病院診療を実現することができる
3.病歴、身体診察、基本手技全般に長け、病院の外来、救急、病棟、集中治療室において標準知識に基づき診断・治療・予防・患者説明の実践と教育を遂行できる
4.診断困難な症例では戦略的思考を駆使して最適解を追求し、マネジメント困難例では院内の各専門科、各医療職と緊密に連携して弾力性の高い医療を提供できる
5.医療チームにおけるリーダーシップに長け、その能力を適切に発揮できる
6.様々な部門や階層での組織マネジメント技術に長け、院内診療の最適化に貢献できる
7.医療の限界と医療資源の有限性を理解した医療の質を重視する診療を実践し、それに準じた組織運営を行うことができる
8.保険診療を理解した医療経営の視点を持ち、所属組織における最適なチーム運営を実践できる
9.次世代の病院総合医を育成する心に溢れ、俯瞰的な視野で卒前・卒後教育を指導できる
10.アカデミックジェネラリストの視点で、臨床研究を通じ日本・世界の病院総合診療分野の発展に寄与できる


講座配属はじめてみようと思います。

2020-03-05 10:24:29 | 総合診療

みなさま こんにちわ。

突然ですが、昨日医学部長命令で基礎講座配属の医学生達を持つことになりましたので、決意表明(シラバス作成、覚え書きです)。

そもそも講座といっても、僕は卒後C以外どこにも属していないのでよくわからないですがアクティブラーニングを促すのは慣れているので挑戦してみます。

また今月はフライト14回キャンセルのキャンセル料で自爆する寸前でした。JALさんありがとう。

今頃スウェーデンにいたはずなのになぁっと、新型コロナウィルスの影響力の凄まじさに驚いています。

どうせ普段は出雲に不在ガチならば徹底的にオンラインでやり、若い学生さんたちの為に何らかの形にしたいと思います。

モチベーションの高い出雲の医学生さん達への宣伝です。

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内容と目的:正解がないリサーチクエスチョンを立て、それを調べ、解明するための研究デザインを立案することを目標とします。

指導方針:週1回の全体ミーティングを行います。それ以外の指導は常時オンラインで行います(学生はチームとして全員のオンラインでのメンタリンググループに参加していただき、期間を通してチームビルディングを行ってもらいます)。故に、決められた時間に、大学にいる義務はありませんが、この学習期間を通して作成したプロダクトを学会発表、論文(できれば英語)として投稿できるレベルの意欲が必要です。

最初の数回は全員で自らのリサーチクエスチョンを設定するための議論を行います。リサーチクエスチョンは英語で読める文献が多数存在することを前提とします、みなさんが心から興味を持つ内容であればどのような分野でも構いません。

これにはFINER Criteiraを用いて実現の可能性を考えます。上記の課題は高い文献検索能力の上に初めて成り立ちますので、常に教科書を超えた学習が必要です。

指導教官が適時メンタリングを通して、疑問の見つけ方、文献の探し方、文献の読み方をグループオンラインでストレス無く教授します。

自らの疑問がどのレベルにあるのかを知り、それを解決するための方法を考えることは生涯にわたって糧になるでしょう。

また、学生のアイデアやプロダクトは学生同士で世界標準の査読方式に沿ってPeer reviewを行ないより完成させていきます。これは成人教育の一環として、このチーム内で適時教えあい成長していただくことを必須とします。

ぜひこの機会に、ただ教えられるのではなく自ら学ぶ能動的学習の楽しさとTeaching is learning twiceを経験してみてください。