第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

異なる何かとの対峙(ある本の序文予定より)

2018-03-29 22:45:12 | 総合診療

「異なる何かと」との対峙から学ぶこと。                                  

この書を手に取った読者は恐らくはジェネラルマインドを持って成長をしていきたいと考えてくださっている希望に満ちた将来の宝であると思う(老若男女問わず)

私はこれまで自分の診療科やスタイルについてあまり考えてきたことがなかったためか、専門医という言葉やその資格にあまり興味がない(大学教員として赴任した当初とても周囲に驚かれた)。強いていえばその目の前の患者さんの為の専門医であるという自負を持つように洗脳されてきた?ようで(いい意味で)、なんでも忌み嫌うことなく学ぶ姿勢を持つ事ができたように感じている。昨今では、総合診療医、総合内科、救急総合診療科、家庭医、色々なグルーピングと住み分けが行われ、再編が進んでいるようであるが、どうか読者の皆様はそのような住み分けやセクショナリズムは一旦置いておいて、ジェネラリストとして学ぶべき最低限の範疇として是非多くの方にこの書を手に取とり読破して頂きたい。

この序文では僭越ながら私の短い医師人生の中で「異なる何か」に最も驚き、そしてそこから学んだ事をシェアさせて頂くことで挨拶にかえたい。

私は、ある期間に約1年間、関東一帯の救急告示病院を回り患者の利益になりその施設の迷惑にならない限り「患者を絶対に断らずに受け続ける」当直業務(別名:戦国無双)をしていた。救急搬送が年間13000件ほどあり、患者の受け入れを断らない大病院で初期後期と研修した自分はそれが当たり前であると考えていたからである。

医師として初めて育った環境が夜間のMRIやCT、緊急内視鏡や手術、技師による心エコーだけでなく、他科のコンサルトさえも24時間当たり前であったために、つまりはまるでそれがどの病院でも同じように機能していると勘違いしていた。そして研修医の時代は他の病院や施設からの紹介状を見ては診療が十分なされていないと溜息をつきながら嘆いていた事もあった。極めて恥ずかしい、勘違い研修医であった。

 ある病院では看護師と2人だけでX線を含む全ての検査を行いながら来院患者を診察しなければならず、ある場所ではCBCと血糖と血ガスのみで勝負し、ある施設ではCT捜査もマニュアルを読みながら自分でおこなわなければならない全く未知の「異なる何か」の世界であった。非常勤医師として各病院を連戦・転戦し、医療資源が限られた環境に身を置くことで初めて自覚した事がある。

それは、今まで「自分の臨床能力」だと思っていたものが、全く自分の自身の力などではなく実は各科の医師の協力、検査の体制、コメディカルスタッフの献身的な姿勢、入院施設の充実等、数多くの他の要素で単に護られていただけに過ぎないという事実であった。若き日の自惚れにも程があった。今更ながら極めて恥ずかしい。日本のERの父 寺澤秀一先生はよく講演で「ハンディキャップがある環境の方が医者として鍛えられ、そして知恵がつく」とおっしゃられている。1人で診療を行う環境では、自分の五感を研ぎ澄まし、患者さんにとってベターな判断をするために病歴聴取と身体所見をフル活用しなければならない。もしかしたら、そういう環境こそが真の臨床能力を身につけるには絶好の場所なのかもしれない。読者のクリニカルセッティングは様々であると思うが、大病院で研鑽する医師も、診療所で研鑽する医師も、「異なる何か」と対峙することで謙虚に学ぶ姿勢を持ち続ける事ができるような気がしている。

次に、私がバンコクの大学で学んでいた時に一番悔しかった経験を述べると、日本の医学部を出た医師よりも、インドやフィリピン、シンガポールなどで学んだ医師の方が世界的に評価が高く、また実際に通用する知識と高い臨床能力を持っている事であった。私に取ってのバンコクでの「異なる何か」は全く予想していなかった寝耳に水の出来事であった。日本の方が優れていると心の何処かで自惚れていた。返すがえす恥ずかしい人間である。何より他国の医師達に感覚としてそう思われている事が日本人として辛かった。日本産ジェネラリストの端くれとして、私は思う。勤勉性とモラルに長けている日本のジェネラリストが今後世界の舞台で活躍する為には、高名な黒川清先生や我が師徳田安春先生が幾度も発言しているように、理由は何であれとにかく一回外に出て空気を吸って、外から自己を、そして日本という国家やシステムを自分の目で見つめなおす事なのかもしれない。「異なる何か」に対峙した時に初めて、自分自身の強みや弱みだけではなく、日本の医療制度や、研究スタイル、臨床技術など、それらを明確に認識する事ができる。それこそが自らの長所を活かし、短所を改善する事につながるのではないかと強く考えている。


SELECTED PRESENTATIONS (International presentation only)

2018-03-21 23:59:58 | Presentation

大学業務のメモです

SELECTED PRESENTATIONS (International presentation only)

  1. Watari T. (Invited speaker) International Forum: Research and Publication in the Field of Hospital General Medicine: Originals, case reports and letters. Annual Joint Meeting of Taiwan Association of Hospital Medicine and Taiwan Society of Hospital Medicine, Taipei, Taiwan, 4/15, 2023.
  2. Watari T. (Invited speaker) Gender bias in Japanese academic medicine. Eradicating Sexism And Sexual Harassment in Medicine. Online conference 2022, University of London, UK. 11/12, 2022
  3. Watari T. Internet Survey of the Big 3 Diagnostic Errors Using Japanese Internists’ Reflections. Diagnostic Errors in Medicine.15th International Conference, Minneapolis, USA. 10/27, 2022
  4. Watari T, et al. (Best of best abstract candidate) A qualitative root cause analysis of barriers for diagnostic error reduction in Japan. Diagnostic Errors in Medicine. 14th International Conference, Online, USA. 10/27, 2021
  5. Watari T, et al. The impact of system and diagnostic errors for medical litigation outcomes in orthopedic surgery. Diagnostic Errors in Medicine. 14th International Conference, Online, USA. 10/25, 2021
  6. Watari T, et al. Association between medical malpractice and diagnostic errors in Japanese emergency rooms. Diagnostic Errors in Medicine. 14th International Conference, Online, USA. 10/26, 2021
  7. Watari T, et al. Physicians' Reflection of Diagnostic Error in Internal Medicine: A Cross-Sectional Web Survey in Japan. Diagnostic Errors in Medicine. 13th International Conference, Minneapolis, USA. 10/19, 2020
  8. Watari T, et al. Analysis of diagnostic errors and cognitive biases based on physician's self-reflection. Diagnostic Errors in Medicine. 12th International Conference, Washington, D.C, USA. 11/10-13, 2019
  9. Watari T, et al. Negative impact and back ground of diagnostic error on malpractice claims in Japan. Diagnostic Errors in Medicine. 12th International Conference, Washington, D.C, USA. 11/10-13, 2019
  10. Sato M and Watari Housemaid’s knee complicated by lymphangitis. Diagnostic Errors in Medicine. 12th International Conference, Washington, D.C, USA. 11/10-13, 2019
  11. Suzuki M, Watari A Case of Pancreatic Tail Cancer Presenting with Bilateral Chronic Scrotal Pain. Diagnostic Errors in Medicine. 12th International Conference, Washington, D.C, USA. 11/10-13, 2019
  12. Watari T, et al. Malpractice Claims Related to Diagnostic Errors in Japan. Diagnostic Errors in Medicine 11th International Conference, New Orleans, USA. 10/8-11, 2018
  13. Watari T, et al. Poster. Potential Usefulness of Virtual Reality Simulation for Learning Clinical Reasoning in Japan. Diagnostic Errors in Medicine 11th International Conference, New Orleans, USA. 10/8-11, 2018
  14. Watari T, et al. Poster. No Doubt!! Certainly Pneumothorax!! Diagnostic Error By Intuitive Visual Diagnosis. Diagnostic Errors in Medicine 11th International Conference, New Orleans, USA. 10/8-11, 2018
  15. Watari T, Tokuda Y, Okazaki S, Onigata K, Rie Sato, and H Kanda. Poster. Experienced Nurse Knows so Many Patients, so Many PRN Orders. Diagnostic Errors in Medicine, 10th International Conference, Boston, USA: 10/8-11, 2017
  16. Watari T. Main oral conference “A 91-year-old woman with an unusual cause of syncope.” 1st European Diagnostic Errors in Medicine Conference, Rotterdam, The Netherlands: 7/1-2, 2016
  17. Watari T, Okazaki S, Onigata K and Tokuda Y). Poster. Expert Opinion; Mostly Trustworthy, Sometimes... Diagnostic Errors in Medicine, 9th International Conference, Hollywood, USA: 11/6-8, 2016
  18. Watari T, Shimizu T, Tokuda Y, et al. Not seeing the forest for the trees. Diagnostic Errors in Medicine, 7th International Conference: Atlanta, USA. 9/14-17, 2014
  19. Watari T, Terashima T, Tokuda Y. Poster, Celiac Artery Compression Syndrome: abdominal pain of unknown origin. Diagnostic Errors in Medicine, 7th International Conference: Atlanta, USA. 9/14-17, 2014
  20. Tokuda Y, Shimizu T, Watari T, et al. A revised diagnostic list for pulseless electric activity. Diagnostic Errors in Medicine, 7th International Conference: Atlanta, USA. 9/14-17, 2014
  21. Watari T, Shimizu T, Tokuda Y, et al. Main oral conference “Is this cold or not cold? That is the problem.” Diagnostic Errors in Medicine, 6th International Conference: Chicago, USA. 9/22-25, 2013
  22. Watari T, Sato S, Kitagawa I, et al. Successful combination therapy of corticosteroids, plasma exchange and intravenous immunoglobulin for severe toxic epidermal necrolysis. Society of General Internal Medicine, 36th International Annual meeting: Denver, USA. 4/24-27, 2013
  23. Ito R, Watari T, Branch J, Kitagawa I. The difficulty in differentiating infective endocarditis (IE) from non-bacterial thrombotic endocarditis (NBTE). Society of General Internal Medicine, 36th International Annual meeting: Denver, USA. 4/24-27, 2013
  24. Watari T, Shimizu T, Tokuda Y, et al. Epigastric pain and elevated serum amylase can masquerade as acute pancreatitis. Diagnostic Errors in Medicine, 5th International Conference: Baltimore, USA. 11/11-14, 2012

春のオールしまね特別企画  臨床研究の第一歩は先人に学び、活かす

2018-03-19 14:00:50 | 総合診療
みなさま、こんにちわ!最近はもっぱら自分の時間を犠牲にしていろんなことを挑戦しており、風邪を引くわ、インフルになるわ、無理が祟りました。
さて、ようやく春ですね。春なので、楽しく学びましょう。

そこで、敬愛する福原俊一先生、岡山大学から佐田先生に来て頂き特別企画を行います!

春のオールしまね特別企画  
 
研究って難しいものだと思っていませんか?誰でもできる、今からできる、どんなところにいても、アイデアで勝負できる方法を本邦を代表するイケてる先生から伝授いただきましょう。モチベーションさえあれば、老若男女問わずご参加を待ってます。

お申し込みはこちらまで(ネット設備の都合上ご登録ください)
 
主旨:臨床研究の第一歩は先人に学び、活かす事。
「AIが台頭してくるこれからの医療現場で臨床医はどうあるべきか?」について臨床研究の視点から考えます。臨床研究の第一歩に絶対不可欠な文献の検索・評価について学び、実際に自分でもデータをまとめる練習までも行います。

日時:3月31日 午後14:00-17:30   終了後懇親会あります(学生幹事) 
場所:島根大学国際交流ラウンジ
対象:興味がある方誰でも可!!(ノートPC持参下さい:要エクセル)
【当日の予定】
14:00~15:00 「
近未来の医師に求められるコアコンピテンシーとは?」 京都大学 福原俊一先生
15:00~15:40 「先人に学ぶ」 岡山大学 佐田憲映先生
15:40~17:00 エクセルを使用したデータ処理 ハンズオン
17:00~17:30 Q & A
 
 
ちなみに福原先生のことはWikiってみて下さい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%8E%9F%E4%BF%8A%E4%B8%80
 
 
なんと、福原先生の名著 臨床研究の道しるべの書評をHarvard 大学のIchiro Kawachi先生(ボストンで生で授業を受けた時にマジで感動しました;授業の最後に拍手喝采でした)がビデオレターをしてくださっています。こちらも、ご確認下さい。
 
https://www.youtube.com/watch?v=s07TRd0_JVQ&t=51s