第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

自分のデータを用いてChatGPTでSTATAプログラミングコード作成できました、ついに新時代が来た!

2023-01-28 18:41:33 | Research

みなさまこんにちわ。嬉しくて、ワクワクして珍しくブログを書いています。ミシガンは美しい雪の季節です。

 

最近話題のChatGPTで、STATAのプログラミングコード作成させれないかなと、ふと思ってやってみました。

大興奮の結果です(米国時間、深夜3時に吠えています)。

 

ChatGPTについては、普通に有名なので割愛するとして、今日は端的に実際のSTATAコマンドの作成方法を記しておきます。

これは理論上、STATAでもRでもSPSSでも使用できる(はずです)。ぜひ試してください。

 

まず興味があったのが、自分のデータを用いて、プログラムコードをChatGPTが作成できないか?と言うこと。できたらすごい。

そうすると解析が相当早くなるので助かるなぁと思っていました。

まずはChatGPTの画面から入ります。

命令します。大体どんな書き方でも、OKです。

 

論文を最短最速で作成する場合には、

まずは研究対象者の背景をまとめたTable1を綺麗に作りたいなぁと考えることが多いですよね!

 

*Dataは保護の観点からあえてめちゃくちゃにして作成しています。

"write stata code for Table.1, using this data. Divide two group by Sex"こんな感じでエクセルからダイレクトにコピペしてあとは命令します。

すると、勝手に自動でここからはデータで、ここまでは命令だなとChatGPTが判断してくれたのか、上手くいきました。

上記のように、一般的なコマンドから、Table1を作るのに必要な要素(この場合は性別の二群比較をしたいので)を教えてくれます。

 

もちろん慣れている方であれば当たり前のコマンドなのですが、初学者はスペースやコンマや( )などで上手くいかず絶望することが多いので

本当に便利だと思います。以前は、根を上げたメンティー達にコマンドを教えるのにいちいち時間を使って教えていました。

もっと言うと、例えばTable3 などで使用することが多い、多変量解析のコマンドを作りなさいという命令も一発です。

もっと複雑な解析も一発です。

 

 

このようなコマンドが出てきますので、それをSTATAを立ち上げて同じデータセットにコピペします。

 

一髪で、上手く機能します。

この間、数分です。

 

 

コマンドがわからない場合を調べることも当然できますし、DID分析なども作成可能です。

"write stata code for difference in differences regression"

 

何がすごいかと言うと、これまではSTATAのホームページやソフトのHelp機能でコマンドを調べながら試行錯誤しながら(それがまぁ楽しかったのですが)一つ一つ調べてはメモして蓄積していっていました。

ところが、自分のデータと変数を用いて、コマンドを作ってもらうことが可能になったということです。

しかし一点注意点があります。今回は情報量を少なくしているので正確に機能しているようですが、数千のサンプル数を用いたり、変数を多く入れたりすると機能しません。その場合は、極力サンプル数は少なくして、変数を優先して指示すると良いと思います。

正直、これまで苦労して勉強してきたことがわずか数分で乗り越えられてしまうと言う衝撃には笑うしかないのですが、

こういうVUCAの時代にこそ強いとされる総合診療医としてはワクワクしていると言うのがホンネです。人類の学習方法は無限に広がっていることに興奮しています。

 

ちなみにある一定の英語能力さえあれば、英文校正にこそめちゃくちゃ重宝するツールになってきていると思います(残念ながら業者さんよりも上であるのは間違いないと思います)。しかし、英文校正やフォーマット調整、リファレンス調整も、理論的にはやってもらえるのではないかと思ったのですが、無料版では文字量が多すぎて機能しませんでした。有料版であればできるのでしょうか?色々試してみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 


Author’s Statements(COI, Informed consent, Ethical Approval, Data availability)などの書き方

2022-05-02 04:30:24 | Research

みなさまこんにちわ。

すでにDr.Watariの論文一発変換ソフト(原著論文編、フルケースレポート編、クリニカルピクチャー編)を作成しました。

近日Pilot study的に実施してみてうまくいけば、全国一斉公開しようと思います。

企業であればもちろん有償で良いのでしょうが、(僕は国家公務院になるので)全国のGeneralistのためにも無料が良いかと。

さて、タイトルのことを質問されましたので、ブログをコピーして渡せるようにこちらに記しておきます。

そんなに難しくなく、もう決まりきったことなので、小脳反射レベルでこのようなことを埋めれるようにしておくといいかなと思う次第です(もちろんその重要性を理解指定いることが大前提です)

 

サンプル例(後で時間ができれば色々なパターンを増やしていきます)

Conflict of interest:

ない場合:The authors state no conflict of interest

ある場合:Author T.W. is a member of Committee XXXX. Author T.W. owns shares of Company Shimane mentioned in the article.

Informed consent: 通常これ一択のはずです。今後法律が変わり市中病院と大学病院で変わる可能性がありますのでご注意を(2022年4月)

Informed consent has been obtained from all individuals included in this study.

Ethical approval:

The research related to human use has been complied with all the relevant national regulations, institutional policies and in accordance the tenets of the Helsinki Declaration, and has been approved by the authors' institutional review board or equivalent committee.

Data Availability Statement: (すでに以前のブログで丁寧に記載しております。こちらはDiagnosisの雑誌の内容より転載です)

以前のブログ:https://blog.goo.ne.jp/wataritari/e/7f6789a657e6184f6da43cba177bd66f
  • The datasets generated during and/or analysed during the current study are available in the [NAME] repository, [PERSISTENT WEB LINK TO DATASETS]

  • The datasets generated during and/or analysed during the current study are available from the corresponding author on reasonable request.

  • Data sharing is not applicable to this article as no datasets were generated or analysed during the current study.

  • All data generated or analysed during this study are included in this published article [and its supplementary information

    files].

  • The data that support the findings of this study are available from [third party name] but restrictions apply to the availability of these data, which were used under license for the current study, and so are not publicly available. Data are however available from the authors upon reasonable request and with permission of [third party name].

 

 

 

 

 


査読が遅い時の穏やかな問合せ Editorへ問い合わせる方法 タイミング編

2022-03-29 13:41:22 | Research

みなさまこんにちわ。

Ann Arborの生活も慣れて、昼はUniversity of Michigan Healthcare systemでの業務、夜は日本の業務もあり、ほとんど休む暇もなく、土日くらいはゆっくりマインドフルネスをして散歩しようと決めています。そうしないと脳から煙が出る感覚を初めて味わいましたので、やはり健康が一番です。

往々にして、学生さんや研修医さんからもの大量のメールや問合せがくるのですが(それが若い人の特権なのでとても良いことではあると思います)、今日はよくどうしたらいいか質問されることの一つを見つけましたので、せっかくなのでまとめておきます。

今日はお遊びですが、とても重要です。ズバリ、論文を投稿したけれども、査読の返事がこない時にどうしたら良いか?

悩みますね。心の底から他者を思いやる日本人なのでどうしても、相手は忙しいだろうか?逆に怒られないだろうか?など僕も気になります。自分の博士論文ではそれで失敗して8ヶ月待ったり、責任のEditorが突然居なくなってしまう(亡くなられたのでしょうか?)などで、1年早く卒業できる機会を逸したのでそれ以降査読への確認依頼は独自にルールを決めています。

論文でもジャーナルの格式や、種類で変わると思います。独自の全く科学的根拠のない空想的目安としては

1 論文の形式 ✖️  ジャーナルの格式   =  連絡するべき待ち期間(月単位)

2 ジャーナルが明示する平均初回判断の日数✖️ 1.5 - 2.0 

くらいでしょうか。

2のように元々ジャーナルが既にアクセプトまでの期間や、パブリッシュまでの期間を公表している場合は小脳脊髄反射レベルで上記の式で催促OKと思います。

ではそれらがない場合ですが、

僕はジェネラリスト系研究の感覚ですので(基礎実験や臓器別専門的な雑誌は全く分かりません)、経験的直感を大切にしますので完全に適当な記載をおゆるしください。

論文の形式

レター 0.5ー1.0

ケースレポート 1.0-2.0

原著論文 2.0-2.5

レビュー 2.0-3.0

で考慮している感じです。

ジャーナルの格式ですが、

ジェネラリスト系の論文であれば (専門によって大きく変わります、単なる考えた方の一例です)

IFなしでは 1

IF 0点台〜 3未満 2~3

3<IF<10では3

それ以上では 4 

あたりを積算して考えているように感じます。あくまで直感です

しかし周囲と相談した経験的にはあながち外れていないように感じます。

さらに絶対的自信がある場合はさらに0.5をかける印象(つまり強烈に催促)でしょうか。

ともあれ、論文の形式 ✖️  ジャーナルの格式   =  1stアクションの連絡(月単位)に当てはめてみましょう。

ケースレポートを投稿ならば1点、そして例えば内科学会の英文誌IMやPC学会のJGFMでは論文の格式は2くらいとして計算すると大体2ヶ月待ってみるという感じでしょうか?例えばNEJMのケースレポートであれば、格式が高いので大体確かに半年くらい待っていることもあります。QJMのように一撃アクセプトのようなことが多い雑誌では逆に短くて良いでしょう。このようなことも投稿しないとわからないので、ぜひ投稿して感覚を掴むことををお勧めします。

次は、英語のマイルドな失礼のない催促状の書き方です。

とりあえず、遊びでこっちの先生にNative Check (Jasonさんや友達のAshwin Gupta先生)してもらっているので使えるかと思います。お楽しみに。

 

見出しの写真は

僕が購入する時に決まって3回に1回は故障して1ドルを損失するふざけたコーヒマシーンです。大体いつも壊れています。信じられないクオリティーの低さが逆に愛おしいです。


Author contributionの書き方 (テンプレート)

2022-01-27 01:41:30 | Research

みなさま

毎朝回診しているとそれだけで、結構時間が削がれるので、やはり午後と夜と深夜は集中して無駄な時間を過ごさないように意識を高めていたりします。

が・・日本の仕事はいっぱいありますし、トラブルはつきもので、今日は−20度近い極寒の中、アパートの水道管が破裂!?したり、昨日は洗濯機が使えなくなったりと米国あるある事情でなかなか邪魔はされることはつきものです。

 

さて、今日は後期研修医の先生に質問されたので、彼にFeedbackとしてお渡ししたものと同じものをこちらに添付しておきます。

今回はAuthor contributionの書き方です。これは米国では、著者の問題はかなりちゃんとしていて日本みたいに研究に関わっていなくて臨床業務だけしていたのに名前が入っていたりと非常に危うい医局を見かけたりしますので(Gift authorshipの問題ですね)こういうことをしっかりと明記する論文はまぁまぁいいジャーナルだなぁと思います。というかそれがスタンダーであるべきだと思いますが。

きっとお役に立つのではないかと思います。

Author contributionの書き方:

やっていることを書いて、イニシャルをたす方法

“Conceptualization, X.X. and Y.Y.; methodology, X.X.; software, X.X.; validation, X.X., Y.Y. and Z.Z.; formal analysis, X.X.; investigation, X.X.; resources, X.X.; data curation, X.X.; writing—original draft preparation, X.X.; writing—review and editing, X.X.; visualization, X.X.; supervision, X.X.; project administration, X.X.; funding acquisition, Y.Y. All authors have read and agreed to the published version of the manuscript.” 

次に、文章的に流れを書く方法です。

X.W. designed the study, the main conceptual ideas, and the proof outline. X.T. and T.W. collected the data. X.A., X.K., and X.O. aided in interpreting the results and worked on the manuscript. X.T. supervised the project. X.W. wrote the manuscript with support from Y.A. and Y.T. All authors discussed the results and commented on the manuscript.

イニシャルのところを、自分達の名前に入れ替えれば相当早く時間が捻出できると思います。

 

ぜひ、若手の先生方、お使いくださいませ。

*写真は凍結した川を余裕で歩いて渡る瞬間です。。やばいですね。外にずっと居たら多分僕は死にます。

 

 

 


CUREUSについて

2021-06-24 00:04:52 | Research

みなさま こんにちわ

意外と本当にびっくりしたのが、CUREUSについてのブログ記事がTop3に読まれているとわかりましたのと、良く個人的にSocial mediaで相談されることの一般論を掲載しておこうと思います。

驚くことなかれ、やはり日本ではあまり知られていない雑誌です。しかしこの雑誌のコンセプトが素晴らしい、Open journal feeで膨大な金額をとって運営しなくて良いように、誰でもアクセスできるように、なにより査読のシステムと、オンラインジャーナルとして投稿の段階から作成してくシステムが非常に効率的にできておりお金もかかりません。査読は時に異常に厳しいこともありますが、往々にしてコンセプトはRejectのための査読ではなく、カイゼンするための査読という背景があるようで、基本的にはとても親切に直してくれます(時には英語の些末な問題も)。

 

NativeのMGH/BWH/BIDMCの同級生達が結構ポップな感じで投稿していたのを思い出します。臨床医にとって思い入れのある症例って、IFを別に望まないし、なんか自分の勉強だったり共有したいという臨床家の喜びの部分って実際あるでは無いですか?多分そういう時の立ち位置で米国で好まれているのではないかと思います。

実際のアクセプト率は55%で、投稿からわずか平均39日でPublishされます(投稿時からURL上で作成していっていますし、CitationもAI自動作成です)。費用が1−3万円程度査読と英文校正料で必要になることがありますが、その割合は過去一年間で52%程度とのことです。悪い意味で最低限の運営費用は取るけど、それ以外は取らないというコンセプトに近いと個人的に感じています。

 

英文校正も、編集も一切不要のレベルだと最短で35日で全てComplete(査読も実際に本当に見に見えるので早いです)、また第三者機関に編集などの介入が入ると70日程度のようです。それでもその実費的な費用以外に殆どお金がかかることはありません。

実際には、下記に示すように殆ど英語圏の人が投稿していることがわかります。人口比的にはやや日本ではまだ認知されていない印象です。(逆にラッキーなのかもしれませんが。だからこのブログに記しております)

投稿者国別ランキングは下記のようになっています。1位は圧倒的にアメリカですが、インド、イギリス、カナダに続いて、14位が日本でした。

 

Rank Country Percentage
1 USA 36.3%
2 IND 12.2%
3 GBR 3.4%
4 CAN 2.8%
5 CHN 2.4%
6 PAK 2.2%
7 AUS 1.3%
8 SAU 1.0%
9 PHL 1.0%
10 BRA 0.8%
11 DEU 0.8%
12 TUR 0.6%
13 KOR 0.6%
14 JPN 0.6%

 

また大学ではpredatory journalを徹底的に取りしまる素晴らしい動きがありますが、これはそうなのか不安が有りましたので調べました。

ハゲタカ雑誌が僕は大っきらいで軽蔑しております。というのは無駄なメールを送ってきて、あまりにも多くて重要なメールを見逃した経験がちらほらあるので怒りがこみ上げます。

ハゲタカ雑誌については、便利なチェックサイトがありまして

 Stop Predatory Journalsというホームページで確認してください。

https://predatoryjournals.com/journals/#C

ここでもCUREUSは別にpredatory journalでもなんでもありませんので、本当に新しいコンセプトと立ち位置のJournalであることがわかりました。

ということで、あまり期待しない論文とか学生さんのとかを面白いのでまた投稿してみようと思います。

 

 

 


論文投稿時のICMJEについて

2021-01-17 00:04:39 | Research

多くの論文投稿時に、色々な雑誌で色々なCOI開示の書式や独自のやり方(ダッシュボードで打ち込んだり)などがあることに気づくと思います。ちなみに多分論文投稿のダッシュボードは概ね4-5種類程度ではないかと思います。

 

今回は、ICMJEについて聞かれたましたので、COIですとお答えしたのですが、書き方をどうしたらよいかと質問があったために記載しておきます。

ICMJEとは International Committee of Medical Journal Editorsの略なので、国際医学雑誌編集者委員会で、COIフォームを統一して掲載していただいていますので、要はCOI書類を提出しろと同義です。

 

多くのGeneralistの方は企業などが支援などを受けている方は少ないと思いますので自分の名前を入れて

No, No, No, No, No とチェックして ●● has nothing to disclose. 

と記載して終わります。

 

ICMJEのホームページで

http://www.icmje.org/about-icmje/

 

 

こちらに書き方サンプルPDFがあります

https://www.bmj.com/sites/default/files/attachments/bmj-article/pre-pub-history/COI_F.pdf

 

書き方はこんな感じです。

 

 

 


ジャーナルの査読状況について

2021-01-11 00:43:43 | Research

 

自分がせっかく書いた論文が現時点でどれくらい査読されているか、最終判断はどうなっているか、不安になりますよね。

今回論文を投稿して、"Awaiting AE Recommendation”どうなっているか分からない!!との質問を頂きましたので回答しました。

せっかく調べた為にこちらにまとめを載せておきます。

 

AEとはAssociate Editorのことになりますので、この場合は編集委員の判定待ちになります。その上でEditor in Chiefの最終判断があるなど

雑誌によってまちまちです。基本的に僕は、2ヶ月まったら容赦なく雑誌に確認します。そのあたりはまた余裕がある時にいつか。

 

査読状況の一覧です。だいたいどの雑誌もこうなっているはずです。

Awaiting Admin Checklist
雑誌編集部オフィスの管理者による論文チェック待ち
Awaiting AE Assignment
Associate Editor の指名待ち
Awaiting Reviewer Selection
査読者の選出待ち
Awaiting Reviewer Invitation
査読者への依頼待ち
Awaiting Reviewer Assignment
査読者の決定(返答待ち)
Awaiting Reviewer Scores
査読結果待ち
Overdue Reviewer Scores
査読提出期限を超過
Awaiting AE Recommendation
編集委員の判定待ち
Awaiting EIC Decision
編集委員長の採否決定待ち

論文のカバーレターの書き方 (How to write cover letter)

2020-12-16 12:07:45 | Research

みなさま、こんにちわ。

 

僕は色々な若手の先生と楽しくやっていることが多く、相談を受けることが本当に多いのでここにも書き残しておきます、URLでShareするようにします。正直はずかしいので嫌なのですが、良く考えると、色々な人に相談される割には下記のテンプで全く困ったことがないので公開することにします。

きっと日本の医師の中で論文を書く作業の抵抗が減り、日本の若手医師のスピード感が増すかなと考えて(恥ずかしながら)自分のCover letterをUPしておきます。

一番最初から貫いているポリシーとして、”ケースレポートに時間かけてはいけません”。さくっと終わらせる。理想的には1日、長くても1週間。そうでないと横入り仕事の無限地獄と、情熱・意欲レベルが指数関数的に減少していくのでだいたいうまく行きません・・。

Case reportは、臨床家にとって趣味や自学の勉強に近いExtra effortの仕事の分類になります。基本的には重要(大学の医局によっては全然評価されないレベルで、重要ですらないこともあるでしょう)だけど緊急ではないことがほとんどなはずです。となると臨床現場では後回しになるのは必然です。そこを注意しながら短期決戦で片付ける意識が臨床家には必要になります。

Case reportを書くのは臨床家として一番楽しく、最も興奮する作業なのですが、読者にとって役に立つだろう内容と、自分がただ医学的に知りたい興味内容の区別はつけなければなりません。後者は無限なので時間がかかってしまいます(そして無限の学びがまたキモ面白い)。

また僕も10年前そうでしたが、検索の方法が苦手だと検索式などの問題で文献が見つからない、多すぎる問題が必発します。そしてメンターである自分が検索するとメチャあるやん問題も頻発します。これは大事なので、どこかでMeSH検索や文献の絞り方を探してみてください。山ほどあるはずです。

そして、”カバーレターに時間を取られてはいけない” これは、経験的に事実と思います。そもそもケースレポートだと不要のこともありますし、査読する側に立ってみると多分読んだとしても20秒です(ごめんなさい!!)。カバーレターに無駄に思いを込めるくらいならば論文本文に思いを込めた方がいいと思われます。なので時間をかけずに!テンプレートのコピー&ペースト戦略が良いと思います

これはハーバードのメンター達も同じ様に「え?そんなん書くことどうせ決まっているし、奇を衒うより無難な方がいいし、重要じゃないでしょ!?」と口を揃えて言ってましたので、他国でもそうなんだと思います。

 

August 25, 2019

XXXXXXXXXXXXXXX(Editorの名前です)

Editors-in-Chief

BMJ Quality and Safety (雑誌の名前)

Dear Dr. XXXXXXXXXXXXXXX:

I wish to submit a systematic review titled, “XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(タイトルの名前),” for publication in BMJ Quality and Safety(雑誌の名前). The paper was co-authored by XXXXXXXX, XXXXXXXXX, and XXXXXX(共著者の名前).

This study examined specific patient and organizational-level factors contributing to the emergence of filed diagnostic-related malpractice claims over a 56-year period in Japan. We utilized the largest Internet-based claims database in Japan (Westlaw Japan K.K). Results revealed that a sizeable percentage of claims in the database (nearly 40%) were due to diagnostic errors, and these errors were common sources of patient harm, doctor burden, and hospital litigation. Certain departments were more likely to be the target of such claims relative to others, especially as a function of hospital type (i.e., small to medium sized hospitals). We discuss that targets for potential intervention for alleviating incorrect first diagnoses among physicians by addressing short staff-to-bed ratios, along with training and work shift arrangements. 簡単に本文をまとめましょう。あなたの論文は”で、結局何がいいたいのですか?"的なKey messageを持ってくる. 基本的には目的と結果と、Keyメッセージを1行ずつ。

 

We believe that this paper will be of interest to the readership of your journal given our focus on decreasing diagnostic errors within clinical practice so as to improve care quality within various medical settings. これはきっとここに役に立つので読者が喜ぶでしょう的な。ここからはほぼテンプです!

This manuscript is an original work that has not been published or presented elsewhere in part or in entirety and is not under consideration by another journal. The study design is consistent with ethical guidelines for the conduct of research. All authors contributed to the work. We have read and understood your journal’s policies, and we believe that neither the manuscript nor the study violates any of these. There are no conflicts of interest to declare. (二重投稿、剽窃、倫理委員会、全て問題ない場合)

Thank you for your consideration. I look forward to hearing from you.

Sincerely,

XXXXXXXXXXX MD, MS, MCTM, PhD

XXXXXXXXXX University Hospital

Department of XXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXX番地, Chomei, marumaru shi, Tokyo, 889-8511, Japan

email: XXXXXXXXX@XXXXXXXXX

 

となります。

次に、一度 Major やMinorなリバイズを要求された後のカバーレターですが、場合によってはResponse letterを貼り付ける必要があることもありますし、下記の様な簡単なカバーレターを書く必要がある場合もあります。こちらはほぼテンプレートを用いてください。それで十分です!

 

August 25, 2019

XXXXXXXXXXXXXXXX(Editorの名前です)

Editors-in-Chief

BMJ Quality and Safety (雑誌の名前)

Dear Editor. XXXXXXXXXXXXXXX:

We are pleased to submit the revised version of our manuscript titled “XタイトルXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX”

 

We have revised the manuscript according to the comments from the editors and reviewers. We hope that our paper is now suitable for publication in your journal and look forward to hearing from you.

Sincerely,

XXXXXXXXXXX MD, MS, MCTM, PhD

XXXXXXXXXX University Hospital

Department of XXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXX番地, Chomei, marumaru shi, Tokyo, 889-8511, Japan

email: XXXXXXXXX@XXXXXXXXX

 

リジェクトされないだけ、ましですね!丁寧にカバーレターはコピペで数秒で作成する様にしています。

 

今日も、米国イクイク詐欺扱いされました・・悲しかったですが。早くコロナが収束することを祈りつつ。去年のHarvard Clubでの卒業式パーティの写真を懐かしみ、コロナを憎んで人を憎まずで細々と粛々と過ごします。

 


統計ソフト STATAとSPSSとJMPとSASとR

2020-12-07 14:21:07 | Research

みなさまこんにちわ。

今日はよく質問されるのと、時間がなくて毎回毎回質問にfacebookなどで答えてられない(そもそも調べないわからない!!覚えていない)ので統計ソフトについて。

正直、なんでも良いです。一番重要視するのは、周囲の人と同じもの、そのソフトを相談できる環境が大事です。(ホームページ作れって命令されて、相談できずに作れないのと似ていますね。)なんでも良いから始めることが大事と思います。

 

僕の場合はSTATA>JMP>>SPSS>>>ちょびっとだけRです。

僕はSTATAが、個人的に大好きですが(理由はお金使って買ったから、メンター達とデータやりとりで使うから、なんかやってる感があってかっこいいから。笑)

医療の質でControl chartやRun chartなどのVisualで言えば圧倒的にJMPで、すでにあるデータを仮説なしで見る場合もJMPのビジュアル化のメリットは素晴らしいと思います。

が、仮説がしっかりとあり、統計手法もしっかりと決まっている場合は別になんでも良いのですが、将来的に現場の臨床医よりもData scientistになりたいという方は、無料のRを使いこなす方が汎用性は高いかもと思います。

 

運転免許で、MTやATどちらが良いかみたいのに似ていますが、いずれも共通認識と共通作法を理解していることで特に苦がなく進めることができると思います(大事なことは、気遅れして挑戦ができないこと)。

 

そこでとっても有用なサイトがありますので、こちらをみていただければ各統計解析ソフトのコマンドを一覧できるのでお役に立てると思います。

これさえあればなんでもOKと思っていただけるはずです。

 

UCLAのInstitute for Digital Research & Education のサイトです。

https://stats.idre.ucla.edu/other/mult-pkg/whatstat/

 


Survey design:研究に落としこむ正しいアンケート調査

2020-11-08 13:53:47 | Research

みなさまこんにちわ。

今週のHarvard  Medical school大学院の方のテーマはSurvey designです。これは以前自分もGCSRTプログラムで学習したつもりですが、やはり大学教員たるもの若手にちゃんと教えることができるようになるようにPitfallsなどをまとめておこうと思います。

 

アンケート調査の作成時の陥りがちな5つのこと。

Avoiding five common pitfalls of Survey design. Academic Medicine, Vol. 86. no,10/October 2011.

1:一つの項目に聞きたいポイントを2つ以上入れてしまっている。ex) 何か問題があった場合に、どれくらいの頻度で看護師や上級医に相談していますか?

理由:並列になっていると、上級医にはあまり相談しないれど、看護師にはよくする場合には矛盾で答えられない。

打開策⇨Sruvey ietem should adress one idea at time.一つの質問に一つの内容!

2: 質問内容にNegativeなイメージの言い回しを入れる。ex) どれくらい朝の授業で遅刻しますか?

理由:Negatively worded survey items are challenging for respondents to comprehend and answer accurately. 回答者はネガティブな回答は無意識に避け、正しく回答しない傾向がある。また、二重否定などの今わしも同様で、回答者は混乱する。 

打開策:Yesと答えが方が良いものにはYes. YesにはYes。NoにはNo. ex)週の平均でどのくらいの頻度で朝授業に間に合っていますか?

3:質問ではなく回答者の宣言になってしまっている。ex) 私はこの授業でAを習得した自信がある。

理由:Surveyは勘違いされているが、基本的には会話である。より正しい情報を引き出そうと思ったら、会話のキャッチボールにするべきで、一方的に宣言させてしまってはならない(回答者のバイアスが発生しやすくなる)

打開策:宣言タイプのから質問へ。ex)あなたはこの授業でAを習得した自信がありますか? 

4:同意を聞く回答様式になっている。ex)The high cost of health care is the most important issue in America today. (現在のアメリカでは医療費は最重要課題である) • strongly disagree • disagree • neutral • agree • strongly agree

理由:興味のある構成要素固有の回答項目を使用します。そうすることで、回答者が無関心になることが減り、質問の構成要素に回答者が集中できるようになります。そうすることで、測定誤差も少なくなる。

打開策:ex) How important is the issue of high health care costs in America today? 

5:選択肢の数が多すぎる、少なすぎる。ex) 選択肢3、ないし10個

理由:一般原則として、選択肢が少なすぎると調査の信頼性が落ちてしまう。

打開策:選択肢は5-7個程度でちょうど良い、先行研究的には9個以上に増やしたからと言って調査の精度をあげることはなかった。ex) 選択肢は5-7程度。

考えるべきポイント!

Relevancy and accuracy are two ideals that encompass the main outcome of creating reliable surveys. These two principles work together to write effective survey questions. To achieve relevancy, keep the following factors in mind. 関連性と正確性は、信頼性の高い調査を作成するための主要な成果を包含する2つの理想。

集めるべき必要な情報をまず見極める

・表現のスタイル、タイプ、質問の順序を工夫する。
・アンケートをアトラクティブにし、文章の長さや、全体に回答するのにかかる時間に注目する。
・アンケートを作成する際には、著者は自分自身を典型的な回答者として勘違いしてはいけない!そのような教育を受けていない回答者の立場であればどう回答するかを考える。

・関連性と正確性について考慮しなければならないことは質問の書き方と全体の長さ。なんのために、目的と、どのようなデータとして解析するか逆算する。

・センシティブな情報は正確性が落ちるために工夫する、ex) 実年齢を聞くよりは、生まれた西暦を聞くと回答の正確性が増加する。

 ・読みやすい質問を使用する - 読みやすく、素早く簡単に回答できる質問を作成。これにより、質問が完全に読まれる前に回答者が回答に飛びつくのを防ぐことができます。(質問や回答のリストが長くなると、データの質が低下することがあります, Iarossi 2006, 44)

・回答者に関連性のある質問にする - すべての質問が、すべての回答者および調査の目的に関連するものである必要がある。よってもし〜ならばなどの仮定の質問は避ける(Iarossi 2006, 44)。もしあなたが、タイのコーケンの市長の選挙についてアンケートされたとして、興味ないからちゃんと回答しないはず。

・回答者にとって苦痛のない質問を - アンケートの質問は、回答に可能な限り労力を必要としないものでなければならない。ほとんどの人は、難しく考えたり、時間をかけたりせずに、素早く回答してアンケートを完了させたいと考えているので、Rating scaleの真ん中のつけて終わったりなど。

・目的と場合によって異なるのでこうすれば完璧というsuveryの質問作成はないが、良い悪い質問紙を作るポイントはある。(Be Brief:簡潔に、Be Objective:目的を明確に、Be Simple:シンプルに、Be Specific:具体的に)です

・Leading Question Biasを避ける。よくある質問自体が回答を先導するのを避ける!

Bad Example: We have recently upgraded SurveyMonkey‟s features to become a first-class tool. What are your thoughts on the new site?

Replace with: What are your thoughts on the upgrades to SurveyMonkey?

・Loaded questions biasを避ける。言葉やステレオタイプ、威信的なイメージなど、感情的な項目に作用してしまう。「回答者のエゴや要望を煽ったり、回答者のプライドを歪めたりするような言い回しは避ける。これは、回答者を特定の回答へ導く結果へ。

・回答者が質問内容に対して精通していると勝手に仮定しない。対象者は適切か?

・否定的な表現や二重否定的な表現は常に避ける。また【常に】や【決して】や【絶対に】などの断定的な言葉の使用は、回答者に質問への回答を避けさせる原因となる。

・曖昧さを避ける。人の思考プロセスはそれぞれ異なり人によっては異なる意味を想起する。ある人にとっての「しばしば」は週に1~2回、他の人にとっては月に数回という意味かもしれないので、明確にすると良い

・Balanced or non-balanced rating scaleにするかどうか。Here is where you decide if you want to provide a “neutral” middle category to your scale. If a neutral choice is a possibility, then you may want to include a midpoint answer choice. However, if you want the respondent to take one side over the other, then an even number of categories is suggested. This will force respondents away from the neutral response (Iraossi 2006, 61).

中間をつけることで、賛成、否定の両方の傾向でもない中間の層を拾えるが、質問の内容によっては中間になるかもしれない。本当にどちらかよりに明らかにしなければならない内容であれば偶数にしてしまうのも良い。N/Aとすることも場合にはOK。

・質問順序の作り方も:良いアンケートのデザインは想起を促すのに役立つのと、質問の順序は回答者の興味を和らげたり、喚起したり、調査の意図に対する疑問を解消したりすることにもつながる。一般的なガイドラインとして、質問の順序には、

Opening questions冒頭の質問:参加者は調査の目的を明確にする。参加者の興味と全体的な参加意欲を刺激するように。

Question flow 質問の流れ:アイデアの流れを汲み取り、回答者の能力に合わせたもの。トピックはグルーピングする。

Location of sensitive questionsセンシティブな質問は最後に:アンケートの最初に難しい・センシティブな質問を入れると回答者がアンケートを拒否して早々に退出してしまう可能性を考慮。

3つの領域を考えると良い。

・アンケートの構造を設計する際には、最初から最後まで一貫性のある形式とレイアウトが重要。わかりにくい、不十分に構成されたアンケートは、回答者が質問を飛ばしたり、アンケートへの回答を完全に拒否したりする可能性。

・レイアウトに注意を払い、回答者側、またはコーディングやデータクリーニングの部分でエラーが発生する可能性を極限まで減らす。解析からの逆算が必要。論理的で、識別性、コーディング性、および保存の容易性を熟慮。要は、データをとった後に偏っていたり、カテゴリカルデータに落とし込めなかったり、missing dataやデータ入力など含めて解析に使えるか。

・Pilot testを実施して、実際の必要な時間、データの漏れやすさ、上記が問題ないか最後ではあるが、もっとも重要な仕事。下記チェックリストを用いると良い。

✔︎回答者はアンケートの目的を理解できるか?
✔︎回答者は質問に安心して答えられるか?
✔︎アンケートの言葉遣いは明確で丁寧か?
✔︎回答者にとって使用する時間は適切か?
✔︎選択肢は、その問題に関する回答者の経験と一致しているか。
✔︎回答する前に、回答者が長く考えすぎたり、一生懸命考えたりする必要がある項目がないか? どの項目か?
✔︎どの項目が感情を揺さぶってしまうか?(イライラして、恥ずかしさ、答えにくさ)
✔︎質問のどれが回答に偏りを生じさせルカ? 
✔︎収集された回答は、調査の目的を反映するデータてなるか?
✔︎受け取った回答には十分な多様性があるか?
✔︎アンケートは長すぎないか?
✔︎pilot test施工車の意見では何か他に重要な問題が見落とされていないか?