第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

メンターがいない若者へ

2018-12-20 10:36:14 | 総合診療


「メンターがいない」嘆く若手に言いたい!!を島村さんに記事にしてもらいました*

尊敬する人・指導医がいないなどよく相談されます。個人的な意見としてはその方の受容体の問題(ごめんなさい)で、受容体が塞がっていればシナプスが発火しないではないのかと。特に高校時代は凄く成績が良かったので潜在意識下で自分はエリート的に思っている医学生達に多い印象ですが、彼らには必ず下記のように伝えます。人の良い点を見ることができて、良い点を真似ることができるのは貴重なスキルだと。特にネット社会の学生さんを見ていて思います。

学生さんですらパーシャルにメンターになりえます。完璧な人なんて絶対いないんで。伝統的日本の徒弟制度がメンターは火の打ち所のない完璧な尊敬できる一人だけ!みたいな感じになってますが、世界的には医師や先人でなくても誰しもがメンターでメンティになりえます。女性看護師が院長でかつ若手医師達の頼れるメンターのケースもスウェーデンにはありました(マネージメント能力に職位や性別や年齢は関係ありませんよ)。部分的に尊敬できるだけで十分です。誰かの良いところを見つけてまなぶことができるか?ここが、なんだか僕には重要なスキルかなと日々感じます。

M3の私のインタビュー記事を一部だけ引用します。

〜人生の折々で、尊敬できる恩師から温かいアドバイスをいただいてきました。迷ったり、自信が持てなかったりすることもありましたが、医師として充実感をもって働けているのは、支えてくれている方々のおかげだと思っています。

自分より若手の先生方にも、ぜひそうした出会いを大切にしてほしい。ただ、このようにお話しするとよく、「どうしたら、自分のメンターの先生が見つかりますか?」と質問を受けることがあるんです。「自分には、メンターになるような人がいない。どうしたらいいですか」と。でも、どんな状況であれ、身の回りに尊敬すべき人たちは絶対にいるはずなので、まずは周囲をよく見渡してみてほしいですね。どんな人にでもリスペクトすべきポイントがあるはず。気づいていないだけで、アンテナを張ってさえいれば、誰だってメンターになりえるのではないでしょうか。私の場合は島根大学の学生さんでさえも、「自分よりすごい」と思うポイントが見つかったら、「君は僕のメンターだ」なんて伝えてしまうことがあります。

百歩譲ってもしも本当にメンターになりえる人がいないのだとすれば、自分から会いに行けばいい。私なんて本を読んだだけで「この人は僕のメンターだ」と思ってしまって、なんとしてでも会いに行ったりしてしまうほどです。自分らしさを大切にしてキャリアを思い描く一方で、回りにいる人たちの声や、温かいまなざしにもしっかりと目を向ける。そんな日常の延長線上に、医師として、人間としてのより良い人生が待っていると、私は思います。

 


医師の為のアウトプットのススメ

2018-12-13 16:18:31 | Harvard medical school

みなさまこんにちわ。現在ロンドンにいます、GCSRTの中間地点まで来ましたのでこっちもボチボチご報告していきます。

(チームのコラボの出来が悪いとDirectorに呼び出されてしまいました... とほほ)

 学びを結果に変えるアウトプット大全 
 
自分の抱えている問題の打破にどう適応したら良いか熟読しました。
実は内容の95%くらい自分が実行してきたということに気づき、メタ認知して、ゲゲェと驚愕したのですが、
これは同じ医師としての視点や、科学論文などを読む能力がある日本人同士であれば当たり前で、同じようなところにたどり着くのかもしれません。
 
とはいえ、講演や原稿依頼や論文執筆依頼や英語の査読依頼も含めて何故にこんなに自転車操業的な状況に陥っているのかを考えると、この本のご指摘の通りで、とっても良い気づきもたくさんありました。(さすが精神科医、素晴らしいです)良い面も悪い面も、確かにそのせいか(おかげか)という納得の内容でした。強いていえば、この書籍の唯一の欠点は引用があまり記載なく、非科学的な書籍、また自分の書籍の内容にとどまっていたこと(ビジネス書などばかり、原著を引用しないと科学者には売れにくいが、一般向けには逆に読みやすくベストセラーになりやすいか)。いつか指導医講習会などの教育面でもたっぷりと使えるので、機内で一つ一つ、オリジナル文献は本当にそう言っているのか検索していってました。
 
中でも自分の中でも忘れたくないエッセンス的なものだけを作成しましたので、題名の通りアウトプットしておきましょう!
 
1)ポジティブ:ネガティブアクションの比率は
良いチーム3 : 1 
すごく良いチーム6 : 1 
良い夫婦 5 : 1
幸福優位7つの法則 ショーンエイカー著。
これはおそらくは原著はロサダラインの論文からか。
 
2) 伝え方:No BUT→Yes BUT→ YES AND→YES HOW
(〇〇いいね、どうすればもっとよ良くなる?)
これはいつも意識して使い分けたい。
 
3) 本当にやるべきこと/やりたいことを優先するために断ることを覚える
メリット:自分のprotect timeを増やせる、それを自己投資に回せる、やりたい仕事の依頼が増える、ストレスを減らす、自分のポリシーであるGive and Giveができる。
そのためのルールを作成しておく。
 
A 優先順位をはじめに設定しておく、
B 迷わずに断る
C ケースバイケースで判断しない
D 断りの公式を使う(謝罪と感謝+理由+断り+代換案の提示)
 
4) アイデアはリラックスしているときに出やすい
 
創造性の4B:
Bathroom 
Bus 
Bed 
Bar
 
確かにその通り!!で、自分は移動の機内と飲み会、寝る前に圧倒的に多いと思う。特に懇親会時のSystem1同士の会話で決まる重要な案件やアイデアが多すぎる。
 
5) 本/論文を作成するときのアウトプット方法(TW ver1.0 2018/12/17)
A いつも使用しているKJで最低100個をあげる
A’ 論文検索(ENDNOTE:Pub-med, Scorpus, Google scholar, 医中誌, UPTODATE)
B アイデア、考え、キーワード をインスパイアされたものから作成しておく。
C 分類してグループを作成する(スマホで写メ)
D ワードで目次(アウトライン機能を使って)作成する。
E まず各項目を20点を目指して書き始める.(第1原稿は気楽に)
F 最初の原稿作成には50%以下のエネルギーに抑える
G 校正と追加に残り50%以上を。
 
6) 優先順位の高い目標は毎日見える化しておく、さらにそれらは周囲に公言し、かつ細分化してそれぞれを撃破していく。大きな援助を周囲から貰えることが多かった。
(期限の設定と少しだけ難しい目標に落としこもう)
 
7) インプットとアウトプットの黄金比率は3 : 7
本や論文を読んで知識を蓄えているつもりでも、圧倒的に書く、行動する、発言するの方が大事で長期記憶や実力に結びつく。これは本当にそう。
 
8) マルチタスクは必要であるが、細分化して集中攻撃に変換する。外部環境からの中断はできるだけ減らすように努力する。
 
9) 新しい挑戦やチャレンジはZPD(以前のブログ参照)に落とし込む。
新しいことが嫌で恐怖を感じるのはリスクがあるDanger zoneに入っているからで、目標や課題が高すぎる。安定した現状を望むのはConfort zoneに入っているので、楽であるが成長がない。ここにZPDに落とし込むことで報酬(dopamine)増加。
 
10) やる気が出ないときは、まず5分とりあえず始める。
(クレペリン、作業興奮、側坐核)
 
11) Fast thinking とファストチェス理論、System1
プロチェス棋士の5秒考えた直観と30分考えた指し手は86%が一致していた。
Dual process modelのSystem1を重視したベテラン医の思考パターンも同様であろう。
 
12) アウトプットは直観を大事にするべきであり、ワクワク楽しい気持ちになれることを優先した方が良い。最初に思いついた方を選ぶべき。
 
13) 睡眠は削らない(救急やる以上無理であるが・・)7時間以上寝る。飲み会に出ない。暴飲暴食しない。運動はこのまま続ける。ネガティブな発言はしない(もともと能天気なので、しないのですが)。これらは脳科学的にエビデンスが出揃ってきている。後日、さらにPubmedで検索を。
 
まず一つ目
Alan Hobbs, Ann Williamson & Hans P. A. Van Dongen (2010) A CIRCADIAN RHYTHM IN SKILL-BASED ERRORS IN AVIATION MAINTENANCE, Chronobiology International, 27:6, 1304-1316, DOI: 10.3109/07420528.2010.484890
睡眠に関しては、これが元ネタか。
 
 
(ちょうど悩んでいるところに、レクチャーがくる痒いところに手が届く教育です!)
 
 
 

GCSRTでのチームの課題。もうすぐ全世界からロンドンに集まります。

2018-12-02 18:38:34 | Harvard medical school

みなさま

 
こんにちわ。
さぁ、GCSRTも佳境に入り、うちのチームが一部の学生に負担が集中していることに対してどうしたらTeamの学びとアウトカムが効率的かつ効果的に出せるかについて、Facultyよりフィードバックをもらいました。それぞれのチームミーティングでの参加割合や、大学が把握しているメールの回数などは本部にフォローされているとのことでした。
 
それに対して次のLondonに世界中から集まるWork shopと課題授業の合間の昼休みにDeanを交えて改善案を話し合いをする予定になりました。
 
その前に、これらのことを話し合っておくようにとの別課題が出ました(下記)
もうこれは臨床研究の勉強だけでなくどのようにTeam Buildingをするかという勉強のように感じます。
 

TEAM CHARTER TEMPLATE

Team Purpose – What’s the value of drawing these people together? What problem are they facing and what would be an acceptable outcome? (世界の人と繋がり参加する意義は?問題は?許容できる結果は?)

Team Goals and Milestones – Define how the team will know that they have been successful. Define major activities and time frames.(ゴールとプロセス、何を持って成功と言えるか?そのための課題と行動)

Duration and Time Commitment – The amount of time the team will be working together needs to be documented (for example is this a 12 months time frame?).(チームが活動するタイムスケジュールを見える化する)

 Scope (in scope / out of scope) – Thinking though the scope helps to define the beginning and end of the spectrum. The scope, while setting parameters, also helps the team leader(s) easily identify tasks that are outside of the scope, minimizing scope creep.(俯瞰的にみて、チームの外からと中からと)

 Members – Team leader and members should be listed individually. This provides recognition and enhances commitment. (チームの名前と役割を明示しておく)

Define Roles – Who will do what, define responsibilities (5W1H 特に誰が何をしておくか)

 Norms – what behaviors are permissible. How will the team deal with breaking of norms?

 Desired End Result – This provides an opportunity to begin with the end in mind.

 
 
結局は積極的に動く学生だけが中心的に参加していたりと、基本的に30歳過ぎた大人たちの集団ですが、単に卒業できれば良いという人もいれば(あまり参加しない組)、僕らのように折角なので国を超えた他施設で実りある研究ができればと考える人も多かったりとそれぞれです。 
 
一緒に住んで、挨拶しながら、授業を受けて、時にパブで飲み、文句を言い合いながら、喧嘩して、少しずつ仲間になっていく・・、そういうことが出来ないのが唯一の難しいところで、欠点ですかね。チームメンバーの時差が8時間〜12時間あるので、ネット飲み会とかも出来ないし。
 
世界的にもこういう学びのスタイルが増えていくと確信していますが、これが最先端の教育システムの【弱みか】もしれませんね。
 とはいえ、僕らは頑張るしかありません。