皆様こんにちわ。
今回、久しぶりに映画を見にいきました。ハドソン川の奇跡です。医療者として超緊急時の対応などで自分の判断は良かったのか良くなかったのかの葛藤でいつも悩まされますが、まさに自分のジャッジでアウトカムが大きく変わる瞬間の緊張感は痛いほど共感しました。さて赴任して一ヶ月、趣味は走ってストレス解消をすることですが、子供たちを寝かしてから妻の許可を取って行く(申し訳ない!)映画館のレイトショーが唯一のリラックスタイムです。
さて、今週のSSCFC3は浮腫でした。診断を当てる事に着目するのではなく、診断の過程をわいわい楽しむカンファです。ちょっと今回のは難しく設定してあります。
次回の希望は「めまい」です。予習は不要。
【106A38、108I67、107D54、98A37】
50歳の女性が足の甲のむくみを主訴に島根大学医学部病院 医学生ミラクル外来を受診。
【主訴】足のむくみ
【現病歴】
2ヶ月前より、歩行時のふらつきと両側下腿の浮腫を自覚していた。2年前から慢性的な食欲不振と吐き気が出現し、この3ヶ月で体重が5kg現症した。複数の医療機関を受診し、貧血、自立神経失調症等の診断を受けて対処療法として鉄剤とベンゾジアゼピン系の抗不安薬を内服している。6ヶ月前に両下腿を中心に、温度や痛みなどの感覚が鈍い事と軽度の浮腫に気付いたが経過を見ていた。ここ数週間で浮腫が増悪して朝に改善を認めなくなった為に受診。
・追加病歴:
発熱・発汗は自覚していない。便の異常は認めていない。尿はやや泡が立つように感じている。ほぼ同時に両側下腿が浮腫んできた。また本人は気付かなかったが、一緒に来院した夫より本人の声が枯れてきているように感じた。旅行歴なし。性活動歴問題なし。
【職業】事務作業で日中はずっと座っている事が多い
【社会歴】酒・タバコなし
【既往歴】貧血?自立神経失調症? 手術歴無し。
【内服薬】鉄剤、抗不安薬
【家族歴】父親 結核、母親 糖尿病性腎症で透析、姉 肝硬変で他界
【現症】JCS0、GCS15、162cm, BW43kg、BT36.8℃、HR 80、BP 臥位110/74、座位102/60, RR18。
HEENT:口腔内乾燥なし、眼瞼結膜やや蒼白。眼球結膜黄染なし。やや舌が腫れぼったいように感じるが定かではない。
Lung:清明、心音:心尖部でLevine 2/6の収縮期雑音を聴取。腹部所見:腸音正常、
肝臓を肋骨弓下2横指触知。CVA叩打痛なし。全身のリンパ節は触知しない
四肢:両側下腿にfast pitting edema。脳神経:両側下肢遠位を中心に温痛覚の低下を認める。
【検査】
CBC:WBC 6000、Hb9.0g/dL、Hct27%、PLT25万
生化学:HbA1c 5.3、TP5.0g/dl、Alb 2.5g/dl、BUN 8mg/dl、Cre0.6mg/dl, AST 30I/L, ALT 20I/L, Na 142mEq/L, K 3.8mEq/L、CRP0.3mg/dL、CH50 35IU
尿検査:尿蛋白3+、糖-、潜血-、尿蛋白4g/日
追加検査:何をしますか?
【胸部XP】心拡大なし、肺野清明
【心電図】低電位
【腎生検・直腸生検】Cong red染色で陽性